みんなの本音。私の本音。(樹 映理奈)
大変なことになった。
ほとんどおふざけ半分で、そっくりさんを始めたのがきっかけで、まさかこんなことになるとは思わなかった。
簡単に言えば、そっくりさんは私たちのことを
“ゆるさない”
らしい。
そして、今度は何を思ってか
“さ ん に ん”
と出て、どうやら生贄を3人差し出せとのことだ。
もう大パニック。
悲鳴の連続でとうとう、内線で電話までかかってきて、規世がお母さんから怒られてもうこれ以上騒げないとのこと。
とはいえ、私は一回も悲鳴なんか上げていない。
もう、ハナホジしながら今の状況を楽しんでいる。
実際ハナホジなんかしたら、まぁこのお年頃では面倒くさいことに要らぬ噂話で身を滅ぼしそうだからしてはいないが、まぁそれしたくなるぐらいというほどいう意味だ。
てか、マジおもしれぇんだよなー。
こんなことぐらいでギャーギャーギャーギャーとよく叫べたものだ。
どちらにしてもガキのお遊びでしょ?
ほんとこいつらガキだわー。
規世からの電話報告を聞いてから、しばらく静まり返っていた時に一番に口を開いたのが、
「里奈にしよう。」
規世だった
「え?」
みんな呆気に取られている。
「…だってさ、そっくりさんの要望通りまた全員揃わないとだめだとしたら、またこの部屋を借りないと無理でしょ?」
「それは…そうだけど…。」
「もうね、これ以上この部屋借りるのマジで無理なのよ!この部屋借りるにしてもお母さんに無理言って借りたの!今、お母さんから、滅茶苦茶怒られたの!それでもう無理だって言われたの!!判る!?」
規世はもう限界らしい。
ああもう、この他人が限界感じで崩れていく様もまた最高におもしろい。
あの優等生で常に余裕ありまくりなニヤつき顔で意地悪している規世がだよ。
ここまで真剣に悩んで、大真面目に面倒ごとを解決しようとしているところなんて見たことがない。
これってめっちゃ見れない顔じゃね?
と内心笑っていた。
「築里奈、小津義彦、あと一人は…。」
もうこれは、決まったようなもの…
というか、里奈のついでに小津を生贄にするのはナイスだ。じゃあもう一人は
「近松直也!」
と代へんで言ってやった。
「ちょっと!なんてことするのよっ!ダメに決まっているでしょ?」
と美智子が怒っている。
知ったことか!
私だってあいつがいるせいで、去年の運動会終了後くだらない罰ゲームに付き合わされたんだ!近松さえいなきゃこんなくだらないことに巻き込まれずに済んだんだ!ざまぁ!!
「いっておくけど、近松はここに入院してないの。ここに来る前にうちの病院は拒否ったみたいだから…。」
美知子を含め何人かホッとした感じが態度に出ていた。
「前にも言ったけど、差し出す生贄は同じ場所にいないと意味がないらしいの。」
今度は恐る恐る香寿美がそれを言ってきた。
前回の参加者の中ではそうだったなということを今思い出した。
なぁーんだ、つまんないのー。
そして無情にも誰も触れられていないコインはまた勝手に動き出す。
“あ と ひ と り”
と動いた。
つまりはだ。この時点で里奈と小津が今回のいけにえと決まったわけだ。
さてこの状況どうなる??
これまたすっげー楽しみだ。
あと一人は誰になるんだろう?
そこがものすごく楽しみでしょうがなかった。
もしかしたら自分が指名されるかもしれない言うのに?なんてこと重々承知だった。たとえそうなったとしても笑い飛ばしていく満々でいた。
もちろん私以外の誰かがそうなったとしても同じように笑い飛ばすつもりだ。
だってさ、こんなくだらないことで死ぬなんてことマジあり得ない思うもん。
ならば、身をもって証明してやりたかった。堀が死んだ件に関してもたまたまだってこと。
そしておそらく、もう一人のいけにえに該当するものは、この中で一番使えない奴が選ばれるであろう。
それはおそらく私。
と思えた瞬間だった。
「私…。」
「!!?」
「美知子がいい。」
いきなりボソッと香寿美が言い出した。
「え?」
「もううんざり!なんでいつも美知子の悪巧みに付き合わされなきゃなんないの!!?」
「ちょっと!何勝手なこと言ってるのよ!勝手に人の名前出さないでよっ!!」
「うるさい!そんなもの崎に言ったもの勝ちよっ!!あんたみたいなウザい奴早く死ねばいいと出会った時から思っていたのよっ!!」
「なんですって!!?」
おいおい先に言ったもん勝ちかよ!!?
しかし今の状況だとまさにそれだ。
それも出された名前がこのグループのリーダー美知子とな?
それは更におもしろい!!
こういう展開を待っていたんだよなー。
そしてまた更におもしろいことに…。
「ああ同感。」
そこへしばらく黙っていた由利が口を開いた。
「よく言った!ナイス香寿美!!」
なぜかすでに奈江や規世までもが香寿美の言い分には賛同していた。
「あたしさー別に美知子のことが好きで味方していたわけじゃないんだよねー。」
奈江がそれを言うと由利も規世も首を縦に振っていた。
「どういうことよ?」
「美知子ってさー、頭いいしなんでもできるし、大人からの信頼もあるから、そんな美知子についていけば自分も大人から好印象持たれるから、一緒にいただけなのよねー。」
と中学受験うける予定だった規世はそんなこと言い出した。
確かにこれは納得がいく答えだ。
「そうよ!私も美知子から被害に遭った子から話を聞いていたんだけど、美知子にいじめられてそれを親に「やめてくれ」と言いに行ったら、「うちの子は成績がいいから、そういうのって成績が悪い子が全部悪い!」みたいなこと言われて話にならなかったとか聞いたの。」
ホーそんなエピソードがあったとは初耳だ。
「だから何でもいいから美知子の味方して美知子を持ち上げてさえいれば、自分は被害に遭わないと踏んであんたの後ろにいただけで、ホントは同じクラスになんかならなかったら、あんたとなんか関わりたくもなかったわ!!」
なるほどね。
弱い奴ほどそういうことするってホントの話だわ。
しかし、もしかしたらそんな意地悪な相手も、早い者勝ちで死んでほしい人の名前を先に言えば、消せるとなればここぞとばかりに
「悪いけど、早く死んで!あんたまじでウザい!あんたと一緒にいて楽しいと思える事なんて一つもなかった!」
と香寿美が言った瞬間だった。
私はここぞとばかりに美知子の顔を見ると、美知子が今までに見せたことがないぐらいの絶望感に浸っている顔だった。
「いやぁ――――――――っ!!」
という叫び声と共に起こったことは…。




