そっくりさん私らの事どう思うの? (尾高美知子)
「ああもう!いったいそっくりさんは私たちのことなんだと思っているのよっ!?」
とまた香理のそっくりさんにブチ切れてしまった。
そしたら、また指が動いた…。
“ば か”
「ん?バカだって?」
結果バカと出た…。
「あはははは―確かにこんなことに振り回されてる時点で私たちバカだわ――――。」
とまた映理奈の解釈はすごかった。
そして、半部外者である千絵子もこの中では一番冷静にこの状況を見ていると言えよう。
「なんですってぇ――――!!!?」
そして私はまた怒りに任せて
「じゃあ、千絵子のことはどう思ってるのよー!?」
そしたらまた指が動いた。
答えは…。
“ば か”
だった。
「あはははは―――千絵子あんた。仲いい香理にすらバカ呼ばわりされてやんの――――!!」
相変わらず映理奈はこんなノリを崩さないでいる。
「は?別に自覚あるんでいいしー。」
千絵子は少しすねながらも、開き直ったことを言っていた。
確かに千絵子はおそらく成績は後ろから3番目ぐらいだと誰もが判り得そうなことなので、今更って感じだな。
それにしても悪口で返ってくるのはおもしろい。
ならこれをチャンスに
「杉村規世のことはどう思っていますか?」
少しは落ち着いてきたので冷静になって聞いてみた。
“ぶ す”
「ブス…」
「ぶははははははははは――――――!!ブスだってブス!ヒぃ―――――おもしろすぎ――――っ!!」
私は今回そっくりさんをやって初めて腹の中から笑えた。
まぁ確かに規世はブスだ!
一応、天然の日本人だというのに明るい茶髪でハーフ顔とか、かわいいとか、個人的な好みによっては言われていることもある。しかし私からすればそんなハーフ顔いう武器を使わないと可愛いとまで言われてのし上がれない顔なんてブスでしかない。
なにより、規世の意地の悪さは顔に出ている評判は知っている。
何せ塾でも規世が入塾した三日後には他校生が「杉村って、パッと見かわいいかと思ったけど、性格悪そうな顔つきしてるよな」と陰で言っているところを聞いてしまったことがあった。
それを聞いて自分も気を付けないとまずいなと思えたので、そこから気をつけるようになった。
そして、いつもは「私はハーフ顔だから」と調子に乗っている規世がブスと言われたことは、ここにいる誰もが大爆笑の嵐だった。
「じゃさ、尾高美知子のことはどう思ってる?」
とその仕返しかのように規世が私のことを質問だった。
この答えに対しては絶対にバカとかブスとかは許さない!
絶対的に美人とか天才とか言うと思い込んでいた。
ところが答えは無情にも
“く そ”
だった・・・。
そしてこの結果にバカ受けしていたのは…
「ぎゃはははは―――――この間はションベンで、今回はついにクソまで落ちたか―――――。」
規世だった。
「ちょその話…」
「判ってるってー」
さすがの規世もそれを言ったら、諸刃の剣になるのは判っているのでそれ以上のことは何も言わなかった。
ただ、クソとか言われてこれだけで済むわけではなく、
「へぇークソってさ―つまりはウ〇コという事じゃん。
バカとかブスとかならまだ人間いう立場だけど、ウ〇コってすでに人じゃないよねー」
「さすがにイヤだわーそれー」
それを突っ込んできたのは由利だ。
もうこうなりゃやけだ!
「ならさ、水野由利はどう思う?」
“ぶ す”
迷うことなく指はブスと動いた。
「ざまぁー」
「何よ!今、美知子勝手に指動かしたんじゃないの!!?」
正直無理やりにでも「ぶす」という方向に持っていけるように動かそうとした。が今回ばかりは別に私が力を入れなくてもうまいこと動いてくれたのは事実だ。
「あっれ?ブスで不満?私よりかはマシじゃなかったんだっけ?」
「てか由利ってブスだよねー。」
「それは言えてるかも―――。」
「色黒系だし、だんご鼻だし、唇なんかクラスで一番分厚いたらこ唇通り越してるしーキャッキャッ。」
由利はあくまで自分をかわいいと信じ込んで疑わないブスだ。
元から、香理や千絵子や真穂の底辺的存在であるブストリオ言われている三人しか見下す相手がいないぐらい言うのに、自分が小峰留美子や村木さゆりよりもかわいいと思い込んでいる痛々しい奴だ。でも、そんな由利のことをクラスメートはもはやめんどくさがって誰も由利のその主張を否定しないだけである。
そして、その争いの火花はさっきから全員に突っ込みいれている映理奈へと矛先が向く。
「じゃ次、樹 映理奈のことについて語れ!」
語らせるんかい!!?
“で ぶ”
“え ろ”
“ぶ す”
「すっげー語らせたら3連発で出てやんの―――――。」
「デブ、エロ、ブスって…。確かに全部当たってるわ―――――。すげぇ―――!」
なぜかみんなまじまじと議論している。
「え—-えりなー、デブでもブスでもないけどな――――。」
こちらも由利と同じく無自覚らしい。
「でも―えりながぁー、エロいうのは当たってるかもー。てへっ」
まぁ映理奈の自宅は飲み屋でもあり小料理屋だ。そこにはやっぱり飲み屋とか、いかがわしいお店が並ぶ真っただ中にあるので、映理奈はそういった意味では、本当に他の子よりかは早熟で耳どしまだ。
でも実際のところ、映理奈はどうなんだろう?
私たちですら女同士であれ、すでにキスまでしてしまったのだ。
そこを考えると映理奈は本当に耳どしまなだけなのであろうか?
そこかなり疑問だ。
何せそんないかがわしいところに住んでいるのだから、何もないなんてことはあり得ないだろう。
実際、映理奈の家にも行ったことある。映理奈の家の中は全体的に一応は適当だけど片付いてはいたが、問題は映理奈の部屋はもうぐちゃぐちゃな汚部屋だった。外は一歩でも出たら、ものすごく治安が悪かったし怪しげな雰囲気を醸し出していた。
実際、私たちも変なおじさんから追いかけられた。
みんな自転車があったから、逃げ切れたものの、もし誰かが自転車がなかったとしたら、おいてでも逃げないと大変なことになっていたことぐらい予想はつく。
とにかくあの辺一帯はやばい。私も二度と行きたくないと思えたぐらいだ。
まぁ私が予想するに映理奈は多分なんもないかもしれない。
おそらく映理奈はこのクラスで一番のブスと言っても過言ではないからだ。
まぁ映里奈がブス呼ばわりされる前に、うちのクラスではあのブストリオの存在の方が目立っていたので、映理奈はそれをかくれ蓑にしてうまいこと立ち回っているだけである。
何せ、はっきり言えばあのブストリオよりかはるかにデブだ。はっきりいってそれだけで見目が悪い。そして顔の方は男子で言うあのブタコンビみたいに豚顔だったりする。もうあのブタコンビに映理奈を加えれば、ブストリオに匹敵するブタトリオになる。ちなみにそのブタトリオいう呼び名も、クラスメートの一部ではすでに陰でこっそり言われている悪口だったりもする。
でもまぁそれも映理奈だからあまり言われないかと思う。
あのおばさん異常な図々しさと気の強さじゃ誰も文句は言えない。
「そんなことよりさー、奈江はまだ聞いてないよねー、じゃあ次は奈江行こう!
ねね、そっくりさん。奈江のことはどう思ってる?」
なんかじたいは映理奈が自然に空気を変えてくれて、明るくなってきていた。
ところがだ…。
“き”
「き?」
“た”
「た。」
“な”
「な?」
ここまで来て。。。
「え?ずるい―――。奈江だけ普通に名前言われるだけで…あ…。」
ここまで来てすごく嫌な予感がした。
そうただでさえ、奈江は…。
“い”
ここでまた空気を読まない者がいた。
「ぎゃははははは―――――っ!!さいご「え」だとおもったら、「い」だって――――――っ!!」
由利だ。
こいつは何でもかんでも自分の思ったことは考え無しに言うから、結果的に無神経なことばかり言って他人に嫌な思いをさせる天才だ。
「“きたない”って!!?あ――――おかし―――――!!
一瞬、奈江だけ名前言われるだけで済むんか?ずるくね?と思ったけど、きたないって―――――?マジウケるんですけど――――。」
由利は一人で笑い転げている。
「そういえば、なんか名前的にも奈江ってさー、フルネームで言えば「きたない」っていう発音に似てね?」
あーあ言っちゃった――――。
「てかさ、奈江の名前いっそ、「なえ」から「ない」にかえたら?それマジぴったしだし、しっくりくるし――――すっげぇいい名前じゃん。」
もう定番になっている、由利の名前いじり始まった。
ものすごく嫌な予感がした。そう奈江のことをフルネームを呼ぶのは…。




