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そっくりさんは何がしたいの? (尾高美知子)

好きな異性の話題以外の質問しかしてはいけないという縛りがあるそっくりさんなんてして何が楽しいのだか…。


あーバカらしー。



あの後日、益井千絵子らが律義にもそっくりさんの約束を守り、そっくりさんをしたせいでこんなつまらんことをするはめに…

もう、そんなことは私が休んでいる間に全部丸投げして逃げ切ろうとしたのに、その計画もパァ。

結局逃げ切れなかった。


そもそも、なんでこの私がそっくりさんのコインをいじらないといけないのよ!


いつもはリーダーゆえに絶対にコインをいじらないですんでいる尾高美知子は内心穏やかではなかった。


まぁ当然といえば当然だ。


まずこの多分通称「そっくりさんの会?」のリーダーをあのクラスカースト底辺から第2位であったあの小汚い小娘の益井千絵子にいつも間にか主導権を握られていたことが、屈辱でしかなかった。


そして何よりも今でも頭の中で苦悩していることがある。不可抗力な事故ではあったけど、あのおしっこパンツの汁をすすってしまうなんて一生の不覚だったいう事だ。それも小さい頃から大切な人のためにあたためてとっておいたファーストキスをほとんど怒りの感情だけで自分よりもブス女に捧げてしまうなんて…。それもその大切なはずのファーストキスがおしっこの味という人生最大の黒歴史にもなりえそうなあの忌々しい出来事…。



私は益井千絵子よりも目の前でニヤニヤしているこいつのことが許せない!



警察沙汰にまでなって、ものすごく落ち込んでしまって、ようやく学校にこれたというのに、完全に気を取り戻す前にまたそっくりさんってどういうこと!?

そんなもの、今まで学校にこれたもの同士で、私が学校に復帰できる前に何とかしておきなさいよ!


そしてついさっき不覚にも



「なんでやり直しになるのよっ!あんたたちどれだけトロくさいのよっ!」


そっくりさんのやり直しの話を聞いて思わず、きれてしまったのが運の尽き。



「そこまで言うなら、美知子がやりなさいよ!」



悪目立ちしたせいで、千絵子に言われてしまい。



「そうよそうよ!」



「美知子自分でやったことなんか一度もないくせに!」




と他の子にまで言われてしまったので、「今回は美知子がやるということ」言う意見に全員一致で可決となり今に至るわけだ。




そしてそのションベン小娘規世は今回もコインをやらず状態だ。



その代わり、自分の親が経営する病院の一室を提供するという条件で今回もこいつだけはコイン役を逃れていた。


まぁ、千絵子曰くあの時いたメンツ全員をそろえないとそっくりさんは納得しないとのことだった。だがそれだと、いまだに入院している里奈までそろえるのはかなり厳しい。だから、病院の娘の規世のコネを使って、辛うじて部屋を借りれているわけだ。そう、この病院の一室のどこかで里奈が入院している。里奈までそろえるのはどちらにしても無理がある。せめて同じ建物の中で揃えたことになってくれないか?という気持ちを込めて私らの涙目まぐるしい努力をそっくりさんに認めてもらうための場所選びであった。




今回のコイン担当は私とじゃんけんで負けた奈江と香寿美だ。


以前の件を考えると映理奈がコインメンツじゃないだけマシではあるが、やっぱり納得できないでいる。何せ、あの益井千絵子は自分はただ単に巻き込まれただけなので、今後一切コインはやらないとのこと。



事情はよく判らないが、由利と香寿美は完全に千絵子の言いなりになっている。


「もし、この先なんかあった時のため、千絵子には子乃神社に出向いてもらわないといけなくなるから」


とのこと。


あの時で唯一、子乃神社を出禁にならなかったのは千絵子だけだし、したがってこの中では唯一、神子三果とコンタクトがとれる人物だ。だから、何があろうとここで千絵子にへそを曲げてもらっては困るというのだ。



悔しいけど、オカルト系な問題で解決のつながりを持てるのは自分の近い知り合いでも三果以外にいない。しぶしぶその意見に従わざる得なかった。




「そっくりさんそっくりさん、この間は大変失礼いたしました。同じ部屋の中で全員集めることは無理でしたが、この病院の中には一応築里奈さんもいます。ご不満かもしれませんが、一応これで納得していただけないでしょうか?」



そっくりさんへの言葉掛けは、コイン役の私たちではなく、なぜか益井千絵子がやっている。以前も奈江が腰を抜かして声も出なかったこともあり、結局千絵子が外野ではあったがこういう方法でなぜか解決したので、多分今回もありと見た。




そしてコインは



“はい”



一応納得はしてくれた。



それはいいのだが…



「いったい何を質問しろと?」




とそれである。



はっきり言って今回も前回もだと思うが私たちのやる気の問題でそっくりさんをしているのではない。そっくりさんの我儘に付き合って仕方なくしているだけなのだ。


それでいて、そのそっくりさん本人の恋愛事情を聞いてはいけない言う縛りもあって、最も興味あることが気蹴れないそっくりさんいうのは味気なさすぎる。

はっきり言って何を聞けばいいのか?この先どうすればいいのか?ホント判らない状態だ。



そしたら


「そっくりさんそっくりさん。そっくりさんが今やりたいことは何ですか?」


香寿美が気を利かせてくれた。



そしたら…



指は



“え”


にとまった。


「「え」って?なんだろ?」



「もしかして、エッチとか⁉キャ―――っ!!」



意外にも盛り上がっているようで面白くなってきた。


と思った瞬間だった。



次にとまった文字は



“い”



だった。



その瞬間。



「いたっ!」



私の頭にチョップか何かで殴られた痛みがほとばしった。


私はとっさにコインをいじっていない左手で頭を押さえた。



「どうしたの?」



「なんか殴られた感覚があって。」





「もう、しっかりしてよ。美知子が手お話したりなんかしたら、またやり直しになってしまうじゃない。」


本当に殴られた感じがしていた。

それなのに文句まで言われるなんて理不尽すぎないか。


今回は何とかコインを離さずに済んだが、次こんな感覚に襲われたら、もしかしたら今度こそ手を離してしまうかもしれないとまで思えてきた。



「なーに?“え” “い” と来たけど次はもしや“ち”とか?」


「キャー、エッチ―――」


と映理奈が言ったとたん、指はまた動いた。



なんと映理奈が言った通り指は本当に血の方向へ向かっている。



「おお――――!すげぇ―――――!!!」



といったとたん、指は


“た”


でとまった。



「なに?“えいた”って誰だろ?」


「男の子の名前よね?」


「うちのクラスにはそんな名前はいないはずよ。」


「ひょっとして他校生の男子と付き合ってるの?」




これまた盛り上がってきていた。



まぁ香理がまともに男と付き合うとしたら、他校生の男と付き合うしかないだろうしね。


私たちは香理にいつもこのクラス内縛りで「好きな人誰?」と聞いているけど、それはあくまでこのクラス内で香理に好きな人がいたら面白すぎてネタになるから、わざと香理にそう言う縛りをかけているわけだ。それに何より香理の困った顔を見るのが本当におもしろいから、それを聞くわけだ。多分あいつも気づいている。もし自分が、このクラス内だけで誰がいいだなんて言う質問にまともに答えてしまったら、自分の立場がなくなるという事に。


だから、なかなか答えてくれないのも私たちは判っている。



そしてやっぱり


「なんでそんなこと聞くの?私ただでさえ男子からばい菌呼ばわりされてるんだよ?それを好きな人をクラスから選べってひどくない?」


と半泣き状態でそんなようなセリフを言ってくれることを私たちは望んでいるのだ。何分その動揺して言っているその表情を見るのがもう楽しみで楽しみでしょうがないのだ。てかそれは香理には絶対にやってほしい。それで悩んで悩んで悩みまくって苦しんでいる姿を滅茶苦茶見たい。それでいっそ自殺してくれたら面白いのに―――。


とさえ正直妄想したことさえある。


残酷な事だが子どもの考えなんて、命の重みなどなんも判ってないので、当たり前のように「しね」とか暴言言うのはごくごく当たり前だったりする。こういう現実を知らない大人は当たり前のようにいる。うちの親だってそうだ。私が子供同士で何をしようが


「うちの子は成績がいいから悪くないのよ。こういうトラブルって成績が悪い子の方が悪いんじゃないの文句言ってる暇あるなら成績をよくしたら??そうすれば、お宅の子もいじめられないんじゃないの?」


とまで言い切ってしまったのだ。私はこのセリフを母が言っているとき母の後ろで、相手のこと相手の親に向かってした出して、挑発していた言うのに。それに気がついてないというのもあるけど、それでも私が正しいと言い切ってくれるなんて、ホント大人なんて、いい成績さえとっていれば信用してくれるというちょろい生き物なのである。



でもまぁ私たち目線。香理の好きな相手が誰だろうとどうでもいいのだ。



どうでもいいから、適当にこっちで決めつけて、おちょくりまくって遊ぶのが目的なのだから。


だから、5年の新学期ごろ、香理と仲がよかった荒谷だと無理やりこじつけて、毎回毎回香理に好きな相手を聞いては最終的には「荒谷が好きなんだーキャッキャ」と言って騒いでいるのが、私たちの日課だ。もうそれが楽しくて楽しくて仕方ない。


とにかく香りが本気で好きな人が判れば、こちらだって本気でおちょくれるし、更におもしろいことにその相手の男子が香理を滅茶苦茶にボコるなり、こっぴどい罵声を浴びられるところを見れるかもと思うだけで、そこがまた楽しみでしょうがないのだ。


それをなんだ?

香理のくせに他校生の彼氏がいるってマジ?これはまた面白いことになりそうだ。

そうだ!今度塾で他校生に「えいたっていう男、同じ学校にいないか?」聞いてみよう。

いろんな学校の子をあたってみればもしかしたらいるかもしれない。



とニヤついた瞬間だった。




いつの間にかまた指が動いていた。



指の位置が



“あ”



の位置に就いた瞬間!



「いた―――――――いっ!」



今度は顔を思い切り蹴られたかの痛みが伝わってきた。



そして今回も運よく指だけはなぜか話していなかったようだった。


それはいいのだが、指の動きはずっと“あ”の位置をぐるぐると回っている。




「美知子大丈夫?」



「…もう…なんなのよ――――っ!!」



「なんか美知子だけ変…。」



と規世に言われてしまった。

規世はこんな時でも思いやりのかけらすらない。


どちらにしても、自分の周りには思いやりなどある奴などいないという事に気が付いていない美知子である。

何せ仲間はみんなどこかしら意地の悪い奴ばかりしかいない。

類は類を呼ぶとはまさにこういうことだ。


「どうしたのいったい?」


唯一、まともに気が使えるのは今までほとんど部外者だった千絵子くらいなものだ。



「さっきから、殴られたり蹴られたりしている感覚があって何か変なのよ。」



といってみたら、



「あはははははは――――――!なるほど――――――それが香理の本心かぁ―――――。めっちゃうっける――――。」


「何よ!?それどういう事よ!!?」


いつもは勉強できないバカのくせに映理奈は何かが判ったようだ。

なんか悔しいけど、反発しないとなめられるので一応



「香理は美知子のこと殴りたくて蹴りたくてしょうがなかったんだね――――。なんか納得――――。」


映理奈の意見にはみんな大爆笑していた。


「…(確かに私も殴りたいかも…)」


とこの時、誰も口には出してなかったかもだが、ここにいるほとんどの奴がそう思っていたと予想する。まぁ元はといえば私のせいで、こんなくだらないことを何度もやり直しているのだから、それは恨まれても仕方ないだろう。がそれはお前らもそれに賛同したのだから、お前らだって自己責任なはずだ。


私以外は楽しい楽しいそっくりさんの会として盛り上がっているが私はちっとも面白くなかった。


ああもう!この指を離してやりたいぐらいだ。


でも、そういうわけにもいかない。なんでもいいからこのそっくりさんのループから抜け出したい。


そしてなぜか、指の動きは



“え い た あ”


を繰り返し、私はそのたびに殴られたり蹴られたりしている感覚が何度かあった。


もういい加減に



「あのさ、いいかげん殴るのやめてくれる!?」



という声が勝手に出てしまった。



そしたら指が



“い い ぞ”



と動いた。


一応こちらの言い分は通ったようだ。



“た だ し”



なんだろ?



“ま た お わ ら ん ぞ”



まだ終わらないらしい。


「まだ終わらないって?…まさか……また次回もある言うこと…?」


と奈江が口にしてしまい、周りはざわついた。


そしたら指がまた動き、その行先は…


“はい”


とすでに書いてあるところを縁でかくような動きをした後に止まった。



「そんな…。」



そんなそっくりさんの答えに



「いったいいつになったら、終わらせてくれるのよ―――――っ!!」



と思わずキレてしまった!



そしたら、



“つ ぎ”



「え!?次なんてあるの!!?」


「もういや――――」



もう指をコインに置いているのが精いっぱいで、頭の中は大パニックになってしまった。



「どうすればいいの?どうすれば終るの?もう私もやだよー」



と香寿美までが半泣き状態になっていた。


そしたら…



“か た て と り”



と言ってまた手が動いた。


そしたら映理奈が



「かたてとり?って?片手を取るわけ?多分次にはそうなるとか?こっわーーーッ」


「イヤ―――――っ!!」



もう限界だったのか、香寿美が大パニック起こしていた


「片手を取るって?誰の片手を取るわけ?」



「私はイヤよ!」



そんなの誰だってイヤだわ…。



でも、前回のいけにえが堀由美子で提出したのであれば、今回も少なくともこの中のうちの誰かがその役割をやらないといけないという結論にはなる。



「ああもう!いったいあんたは私たちのことなんだと思っているのよっ!?」



とまたブチ切れてしまった。


そしたら、また指が動いた…。


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