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差し伸べる手が欲しいなら (神子三果)


今日は重い客ばかりが来る。

さっきの村木さんもそうだが、裏表ある性格の子ってホント面倒くさい。


「で?なに?」


正直この子とは深入りしたくない。


おそらくこの子だって、このクラスの人のほとんどと深入りしたくない関わりたくない思っているはずだ。ただし自分の得になる事なら、いかなることであろうと動く。



「もう帰りなって。私はあなたにしてあげられることは何一つない。」



と冷たくあしらった。


「…よ……。」


「へ?」



いつになく感じが暗い。

いつものあの子のすました何があろうが他人事と言わんばかりなあのにくったらしい涼しい顔はどこにもなかった。


いつもはハキハキした声で、はっきりものをいう子なのに今日は何も聞こえない。



「……………し…………も……ってよ…。」



まずい。マジで何にも聞こえない。

私ってここまで耳悪かったっけ?


いやでもこれって?まさか…。


「…なるほど、声が出なくなるほど、ショックなことがあったみたいね。」


そして、おそらく彼女が村木さんの身代わりだろう。


「…ち……がっ……。」



どうやら、虚勢を張って「違う」とでも言いたいらしい。いつもは絶対に弱みなど見せない彼女からしてみれば、こういう時も何があったとしても隠し通したいという思いがバレバレだ。それも、誰かから攻撃を受けて弱っている時だからこそ、それを隠そうとしてもその余裕すらないのがこの状態だ。


奥宮香理もまさに一時期はこの状態まで、弱っていたことがあった。



いつもは何があろうと平静でいられるこの子がここまで落ちるのだ。そりゃよほどのことだと思うかもしれない。


がこの子だ。


いつも自分さえよければ他人はどうなろうとかまわないことが判る人から見れば判るレベルに態度に出ている子だ。そして、それでも自分に余裕はあるはずなのに自分の今の状態を保つために誰にも手を貸そうとはしないのだ。そんないつもの態度からして、おそらく元からの気持ちの余裕など、奥宮香理よりもかなり狭いだろう。


まぁいい。私がいう事を否定する気なら好都合だ。


「違う言うならさっさと帰りな!」


贔屓するわけじゃないが、こんな時にまで意地を張ってる奴に手を差し伸べる気など毛頭ない。



彼女は日ごろから見下していた雑魚みたいな子から、いきなり怒鳴られさすがにびっくりしてそのまま帰ってしまった。いつもは他人をバカにしてるくせに、こういう時だけ頼ってくるなと思う。


ほんっとこの女にはそれが態度にまで出ていてむかつく!



睨みつけてやったらそのままそそくさと帰っていった。




「いいのか?」



その場面をばぁちゃんに思いっきりみられていたようだ。



「さっき先に返した子もだが、お前が完全に突っぱねたあの子…、お前が作ったお守りのせいで、相当ショックうけてるみたいだぞ。」



「そうみたいね。」



あのお守りがどういう感じで当事者にご利益あるのかは、今回のは試作品で私もよく判らない。ただこの間、柳生君から聞いた話によれば、大ピンチだった時にほとんど同じ場所にいた奥宮さんとともに違う場所に飛ばされたとは聞いた。


それと今回のこと。

それとはまったく違う感じだ。危険すぎることを偶然な感じでうまいこと回避できることもできるらしい。



私の勘だが、おそらく私が作ったお守りを持つ者だけは、この腕時計をつけられずには済んだはずだ。


当然のごとく私もこんなものつけない。


そう思っていると婆ちゃんは


「そこからすごい邪気を感じる。」


「やっぱりね。」


「すごい悪意がある。そんなもの絶対に身につけてはならぬぞ。」




当たり前だ。

益井さんがこれを届けに来た時から、いやな感じがした。




「それにしても一番気になるのは、あの娘だ。」


「黒島さんのこと?」


「おまえ、あの子の事好いてないだろ?」



ああここでまた、贔屓はダメだのいわれるのだろうか?



「まぁお前にしては、よくやったと思う。」




「…えっ?」



ほとんど自分のエゴだけで、やったことなのにまさか褒められるとは思わなんだ。


「今回ばかりは因果応報で、あの娘に報いるべきことをしたまでじゃ。だからあれでいい。」


ならよかった。



「だがな。このままではすまされないことは気をつけろ。」


「!?」


「おそらく、あの娘は自分が助かるためなら何でもやる奴だ。このまま何事も無ければいいがのう。」




本当に何事も無ければいいんだけど…。

多分祖母ちゃんも気が付いていたとは思うが、黒島さんなら自分が得になるためなら絶対になんかやりかねないなとは、この時すでに感じていた。


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