今までの努力は秋の空にとけた… (黒島美由貴)
最悪だ…。
………なんで…?なんでこうなるのよ…!?
黒島美由貴は突然のハプニングで、心がおれていた…。
上を向いてと言われたから、上を向いたら自分の顔に何か当たった思って荷物でも落ちてきた?と思ったら、いきなり知らないおじさんとキスしていた。
ファーストキスだった…。
女の子にとってみれば、はじめていうものはどれもこれもみんな何より大切なものだ。
それもいきなりの事で、おじさんも私の顔を離してくれなかったので、かなり長いことしていた思う。キスされながら、ついでに身体まで触られてしまった。
こういう事にならないように、いつもならものすごく気を付けて行動しているはずなのに、なんで?いきなりこうなった?あまりにもショックでしばらく動けなかった。
あのクラスのスケベ大魔王の宅幹一のあの魔の手からも私は他人に擦り付けてまで回避していたのに、まさかこんなところでいきなりこうなってしまうのは予想外だった。
確か私は今まで、あの渡辺という女に何等かの手伝いを半ば強引にやらされていた最中だったはずなのに、なんでいきなり体育館倉庫になどいたのだろう?
「うおぇ―――――っ!!!」
私は洗面所で吐きそうで吐けない気持ち悪いものを一生懸命吐いていた。
バシャバシャバシャっ!!
急いで必死で口や口の中を洗う。
あんな気持ち悪い感触一秒でも早く忘れたいという気持ちでいっぱいだった。
でもどんなに洗っても洗ってもあの気持ち悪い感触は全然拭いきれない
「うわ―――――――――――――っ!!!」
もう精神的に限界だった。
私の今までの完璧すぎるあの生き方の努力はなんだったの!?
何のために私はがんばってきたの!?
私はいついかなる時でも完璧に自分お思い通りの生き方をするために、ある時は人から一目置かれるような活躍して、ある時は自分が攻撃されないために目立たず控えめに人から五3歩離れたところで観察しながらも慎重に行動してきたのに、ときには誰よりも我慢していたことだってあったのに、
なんで?なんでなんで――――――――っ!!?
私はその場にへたり込んでしまった。
訴える?
多分、この学校では見たことがないような人だったけど、あの格好だと結構えらい立場の人間で。私と同じく普段は目立たず影を消してでも存在していた先生だと思う。
その高い地位を、親を使って訴え奪ってしまうのもありかもしれない。
でも、それをすると私はあのキモ親父とキスしたことが世間にバレてしまうかもしれない。そうなったら、私は多分どこへ行ってもキモ親父とキスしたことがある薄汚れたかわいそうな子と言ううわさが流れて、私の華々しい人生を送る予定が全部パァになる。
それだけは絶対にイヤだ!
そして今、3年生の時の忌々しい出来事を思い出してしまったのだが。奥宮香理と他5.6人の女子で幹一がセクハラ行為をやめないことで不満に思って集団で担任である高山に訴えに行ったことを思い出したけど、その時はその時で。
「あ?俺がこんなブスたちなんかのケツなんか触るわけないだろ!?先生だってこんなブスたちのケツなんか触りたい思うか!?」
という一言でブスたち一同を黙らせ、担任を呆気なく説得し、幹一は自分がしたことを全部もみ消してしまったのだ。小3男子ですら、そんなことをやってのけてしまうことだってあるのだ。
さんざん自分の身体を好き放題さわられたあげく、ブス呼ばわりされるのだ。
女子にとってそこまで理不尽で屈辱なことは何よりもつらいことだと思う。
そして、このことを公に法で訴えたとしたら、全国公開されるようなニュースにされて自分だけがさらし者になるって?
なんの罰ゲーム?
そのことを考えると自分が余計にみじめになるだけだ。
そしてその後はもし仮にあのキモ親父や幹一みたいなセクハラヤローを成敗できたとしても、それを訴えた自分は一生好奇な目で見られた生活をするのだ。
そればっかりは絶対にイヤだ!
どうしてもその事態も避けたい。そしてそのセクハラ被害にも遭いたくないなら、女は常に気を張ってそういう男を注意して観察しながら行動しなければならないのだ。ホントに女ってだけで疲れる。
それにその件があったすぐ後、幹一が言っていたことを聞いて、ホントに凍り付いた。
「だってさー、さゆりちゃんとか、ひとみちゃんとか、恵美ちゃんとかは美人だし、将来お嫁に行く大事な身体だろ?きっと子供だってかわいい子が生まれてくるに決まってるし、かわいい子をこの世に増やすことで、絶対的に世の中に貢献できると思うから、ああいう子たちは俺が嫁にするまでは絶対に手が出せないけどさー。
でも、あいつらブスはどーせ嫁の貰い手すらない将来暗い奴らだろ!?
それにあいつらブスが結婚!?ないない!これ以上この世にブスを増やして意味あるんか!?
だったら、嫁の貰い手がないなら、ケツさわろうが裸見ようが、別に俺が好き放題練習台にしてもいい事ってだろ?なら問題ないじゃんかー。あはははは――――――!!
いざ、なんか大人に言いつけられてもブスを理由にああやってうまいこと回避すりゃいいんだよ!
だいたい、ブスに限ってああやって告げ口したりするから、マジ陰気くさくて面倒くさくてホント嫌なところしかないよなー。あははははは―――――――っ!」
とまで、他のクラスの一部の男子たちに言いきっていたことを目撃してしまった。
そして、それは奥宮香理たちにもついでに目撃されてしまい。
悲しくなって泣き出す子や、すごい勢いで怒り狂って幹一に攻撃する子もいた。
がしかし幹一はずるいことに、親の職業柄の家庭方針で剣道や柔道を習わされているため、自分に食って掛かる者は相手が女子であろうと容赦なく返り討ちにしていた。
ホントああいう奴に武道とか習わせるとか、やめてもらいたいものだ!
仕方ないから一度、柳生孝昌の家の道場まで苦情を言いに行ったが、残念なことに奴が所属している道場は違うところらしく、柳生のおじいさんに言いつけたところでどうにもならなかった。
私はこの時、宅幹一という人物は最低でも自分の半径5メートル以内には近づいてはいけない危険人物だと認識し、それ以降は絶対に近づいていない。まぁたまに運悪くたまたま席が近くになってしまったという時はしぶしぶ受け入れていたが、その期間はかなりの注意や気を使って行動していたため、その時の成績はやっぱり少し落ちていた。
本当に自分のすぐ近くにそういう危険人物がいるとなるとそいつ一人のためにどれだけ気を遣うか。ホントに4年間連続もあんな奴と同じクラスであることじたいが疲れる。
ちなみにすごく情けない話ではあるが、私は先ほどのオヤジから、
「なんだぁー。思っていた以上にブスじゃないか―――。選択ミスったわー」
と幹一と似たようなことを面と向かって言われている。だから仮に訴えたとしても、ブスを理由にあのキモオヤジがうまいこと罪を回避されてしまうことだってありそうなのだ。もうブスという言葉を武器にされる展開は目に見えて判る。
ただ、運がいいことにブスということが原因であれ以上のことをされずに済んだとは言える。そのおやじは私の顔があまりタイプではないと判ると、言いたい放題言ってそのままスタスタと体育倉庫から出て行ってしまったのだ。
ホントそこは情けない話だが、助かったといえば助かったのかもしれない。
でもやっぱり全然納得できない。
さんざんな言われようだったが、私は自分のことをそこまでブスだとは思いたくはない。確かにうちのクラスの留美子ちゃんやさゆりちゃんほどではないが、肌はニキビ一つなくきれいに手入れしているから、ブスではないと信じたい。そういう思いはある。
あってごくごく普通の容姿だと信じている。(ただ我ながら鼻はでかいかもとは思う)
そう、私の容姿は普通よ。
普通だからこそ、普段はそこまで目立たずに済んでいると思っている。
私は普段自分の周りは必要最低限に抑えて、なるべく面倒ごとに巻き込まれないように気を付けて行動している。
私の行動はいつも完璧だった。
それなのに!今回はなんで!?
悔しかった。
いろいろ納得いかなかった。
私が今までしてきた努力はいったい何だったんだろう?
今まで自分が如何に安全な立場でいられたか言うのは、あくまで自分の身の切らすように気を使いつつ行動してきたがゆえだと思う。
そんな私がいったい何を悪いことしたとでもいうの?
そりゃ、自分さえよければどうでもいいというスタンスで、今までさんざんいろんな人をあえて助けなかったり裏切ってきたり、イヤなこと、都合が悪いこと、やりたくない事は全部他人任せにしてきたけど、それがいったい何が悪いというの!?
そんなの人として当たり前じゃない!自分が犠牲になってまでやる事じゃないと判断したら、即他人に擦り付けて逃げることなんか誰でもしてる事じゃない!
だから、私は普通の人間として普通のことをしたとしか思ってないわ!
私は何も悪くない!!!なのに…。
なんで?
なんで?
なんで?
全く信じてはなかったけど、自分だけでも助かるために紫のお守りだってかったのに。
ホントに心から神様という見えない存在のことを信じてないと、助けてくれないわけ?
目に見えないものなど、信じてない人なんか当たり前のようにいるのに…。
おかしくない?
……そうだ…!?そういえば……
私はすでにここである行動をしなければならないと感じていた。
あとがき
今回は問題ある回かもしれませんが、前もって言っておくと昭和ではこんな感じの男子から女子への嫌がらせは本当にありました。(今でもあるんかな?)
私は昭和女子たちのこの悲痛な訴えや思いをなるべく多くの人に知ってほしいためで、こちらに書き記しました。
今どんな規制がかかっているのかよく判りませんが、私たち昭和女がされてきたセクハラは、ほぼほぼ全部もみ消されていたようなものでした。そして現代では、その今までされてきたことまでも全部封印されそうな勢いで規制が行われているとも思えます。今回の回はそんな昭和女たちの悔しい思いを表現し書き綴ったものです。誤解のないようにお願いします。
こんなひどいことがあったが上で、今の法律がようやく成立したことを知ってもらいたいのです。今ある法律が決してあって当たり前みたいな軽い考えだけで見ないでほしいというのが願いでかきました。こんな状況下に今までいた私は今はいろいろ平和すぎる程な状態だなと思えます。
さて、今はすごくセクハラ問題は法によって守られる様にはなってきましたが、少し前までは
「セクハラセクハラと騒ぎ立てる奴は大抵ブス!」
「ブスやババアに限ってセクハラを訴えてくる!」
と自分がセクハラしておきながら、そういって逃げる卑怯な男ホントに多かったです。
はっきり言って、何かにつけて「自分の都合の悪い女はみんなブス!」と言い訳すればいいという考えな男が多いことが原因で、多くの女性たちはセクハラ問題について気軽に相談できなかったんだと私は思います。
そんなにあとでブスに訴えられるのが嫌なら、しっかり顔見て美人にだけセクハラすればいいのでは!?顔見れば文句言われるか言われないかが判るなら、最初の時点でかなり判り易いのでは!?と思うんですよね!
とこういう男に不美人がどれだけ訴えてもその時は見事なぐらいにスルーされます。
奴らにとってみれば
「ブスにどう思われようがどーでもいい」
「なんかいった?ブス?(by弱井トト子のセリフ)」
といった感じで、ホントよくイジメられたらイジメ返せだのなんかいい返せだの言いますが、全く持っていじめっ子には何も刺さってないので全く意味はありません。それはいじめっ子がかまってほしいだけの言い訳なんです。そのアドバイスだけは絶対に真に受けないように。
実際、私のクラスにも幹一みたいなキャラの子は存在しましたが、まさにそのまんまでした。クラスの美人な女の子には絶対に手を出さないのです。あと気の強そうな子とかも。だいたいセクハラされるのは、あえてあとで言い訳できるぐらいのレベルな容姿の子や、明らかに気の弱そうな女の子しか狙っていませんでした。
で言い訳する時は決まって
「おまえみたいなブスにぶつかってしまって俺も迷惑なんだよっ!」(←じゃあ近寄るなよ!)
「ブスはブスらしく、はじっこ歩いてろよ!そうすれば当たらずに済むだろうが!」(←そこまでしてもぶつかるんだったら、お前がデブすぎるか、明らかにわざとだろ!)
とみたいなことまで主張しているのですから。
で、それにしたがって明らかにはじっこを歩いていたとしても、絶対に何等か絡んでくるので、もう存在そのものにイライラしてましたわ。
ホントあの当時の小学生男子とは、私からしてみればこんなイメージしかなかったのですが、今はどうなんだろうね。
みんなが平和に学校生活がすごせるようになればいいかなと私はいつでも願っています。
正直、他人が不愉快になるようなウザがらみしてまで、ストレスを発散しないと心が保てないほどの家庭環境ってどうな感じだろ?ホントそこ知りたい。そんなクソガキを平気で学校に放流する親もそうとう問題ある思うんだよな。




