美人は得か⁉損か⁉ (村木さゆり)
とうとう勝島君までもが倒れてしまった。
香理ちゃんや真穂ちゃんは、今この場にいないにも関わらず近松君に振り回されている勝島君に呆れて教室を出て行ってしまうし、教室には突然よく判らない人が来るしで、今日は私も周りに振り回されっぱなしだ。
そして今保健室の先生の大江先生も不在。
そんな時だった。
“がらっ”
保健室の戸が開いた。
目の前には校長先生や教頭先生並みにお年を召した年配の先生がいた。
かといって教務の吉川先生でもない。知らない先生だ。
その先生は入ってくるなり、私と荒谷君を見て
「あぁちょうどよかった。ちょっとどちらか手伝ってくれないか?」
と言い出した。
正直「何この人?」思ったが、そこは表情に出さなかった。
「あぁ君がいいな。」
「私ですか?」
その先生は、荒谷君など見向きもせず、あっさり私の方を指名した。
なんか、あまりいい気はしなかった。
「すぐに来てほしい。」
といきなり腕をつかまれ、連れて行こうとするので、その力には適わなかった。
「ごめんね荒谷君。勝島君のことはお願い。」
と慌てて言い残して保健室を後にした。
「あの、痛いので放してくれませんか?」
私は少し大声をあげて訴えてみた。
「ああすまない。じゃあこっちに来てくれるかね?」
正直「なんで私が?」としか思えれない状況だったけど、ここで騒いでまた腕つかまれても面倒思ったので、黙ってついていくことにした。
ついたのは体育館倉庫だった。
こんなところで何なんだろう?
と思った時だった。
すごい勢いで倉庫のドアが閉まり、内側から鍵をかける音がした。
「…えっ……?」
さっきの知らないおじさん先生はニヤニヤしながらこっちに近づいてくる。
「…ヤダ……。」
「げへへへへへへへっ」
明らかに気持ち悪い態度で近づいてくる。
どうしよ…
逃げようと思っても怖くてうまいこと体が動かない。
そうこうしているうちに腕をつかまれてしまった。
「こっちをみるんだ。」
「・・イヤっ!」
私は必死で抵抗した。
「上を見て!」
それを言われた途端、私は思わず上を見てしまい「しまった!」思った。
その途端、もう終わったと思ってしばらく体が動かすことができなかった。
しかし目を開けると、不思議なことに目の前にいたはずのおじさんはいなかった。
私は少し体がふらついてしまった。
「あぶない!」
いつの間にか私は後ろから、体を支えられていた。
「いい?落ち着いて。上の方にある赤い箱を取ってほしいの。」
あれ?さっきまでおじさん先生に頼まれごとをしていたはずだけど、声の主は女性だった。
まぁいいや。さっきのおじさんと違って本当に何かを頼んでいる様子だった。
赤い箱ね…。
ああこれ、運動会のクラスカラーグッズが入っている奴じゃない。
1組が青、2組が黄色、3組が白、4組が赤なのが我が校のクラスカラー。
確か毎年6年生が管理するのだったよね。
他のクラスのはもうすでにとりき来ていたので、うちのクラスが最後だったみたいだ。
やっぱり思っていたよりも重い。
こんなのよほどの力持ちで大柄な子に頼んだはずだ。
「ごめんなさい。思ったより重いので、何人かで途中で受け取っていただけますか?」
と頼んでみることにした。
正直この箱を最後まで自分だけの力でおろすという自信はなかった。
「OK。こちらには男子が4人もいるから、大丈夫よ。荷物を下に渡したら、もうあなたは帰っていいわ。あとは男子4人に任せて。」
「判りました。」
私はゆっくりと荷物を下で待機している男子たちに渡した。
箱の大きさが大きかったことと、部屋の中は薄暗かったので誰がいたのかを確認することはできなかった。
部屋の外から声が聞こえた。
「ありがとね。えっとそういやなんて名前だっけ?」
「ああ、黒島美由貴って言うんだよー」
男子のうちの一人が私のことを黒島さんだと紹介していたが、私は黒島さんではない…。
「あらそうなの?ありがとね。黒島さん。じゃあ気をつけて帰ってねー。」
とそのままみんな行ってしまった。
まぁいいか…。
たいした仕事はしていないから、黒島さんの活躍いう事にしておけばいい。
私はいつの間にか机の上で突っ立っており、しばらく机の上で呆けていた。
私は体育倉庫にいたはずだったのに、なんでこんな暗い所にいるのだろう?
それも机を台にして、高いところにある物を降ろそうとしていた。
そして、あのおじさん先生?は私の目の前からいきなり消えていた。
なんだったんだろ?
教室に戻ってカバンにつけておいたお守りを見たとたん、ヒヤッとした。今まではきれいなピンク色だったのが、ほとんど真っ黒になっていた。
「確か黒くなったら神社に納めに行かないといけなかったのよね…?」
今日はホントに不思議なことが起きたけど、ほんとにお守りのおかげなの?
私は元々物持ちがいい方で、このお守りだって絶対に汚さない自信はあったのだけど、こうも簡単に真っ黒になることで驚きを隠せなかった。
「今から行った方がいいのかな?」
一応家の方角が違うけど、今日は神社によってから帰ろうと決めた。




