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そっくりさんのそこが知りたい! (神子三果)

ああ、こいつはどこまで鈍いんだ?

いやいろんな意味では鋭い感覚は持ち合わせているはずだが、色恋沙汰となるとこれだ。


「そんなの決まってるじゃん。

この子の好きな相手に決まってるじゃないか!


そんなもん私だって知りたいわ!!!」



「はぁ!?」



「だってさ、紫のお守りを誰にあげるつもりか、そこは知りたいじゃん!!」


「そこかよ!?」



まぁ、その紫のお守りを手にしたい手だって、いずれはここまでお守りをおさめに来るけど、おおよその確率でその時には私はいない可能性の方が大きいのだ。


「私はこの子にかなりの貢献をしたというのにそれを知ることができないのは、なんか違うんじゃないか!?とさえ思うのが私の主張だ。」



「・・・」


ここまで主張してしまったとたん柳生君はさすがに言葉を失っていた。


「それって、職業的にか?普通の女としてか?」



「どっちもだよ!


だいたいね。あなたたちにあげたお守りは私が特別な力で作った特殊なお守りだよ。

それが誰に渡ったのか、しっかり把握しておきたいよ。よほどのことでもない限り大丈夫かとは思うけどさ。正直な話、性格が悪い人の手にわたって利用されるのは、やっぱりイヤだし…。


…もう、こんなにすさんだ気持ちのまま、修行に臨むとなると不合格にしかならない気もするけど、やっぱりそこは素直に普通の子の立場としても知りたいさ…。」


そう、今は自分が生贄になってしまったり、不合格になって帰ってくることが嫌というほど怖い。本当は普通の子として普通に楽しみたいのが本音だけど、私は何にしてもこういう立場でいるしかできないのだ。



「まぁ、落ち着けって。いろいろ滅茶苦茶だが言いたいことはだいたい分かった。

つまりは、お前を含めたうちのクラスの女子のほとんどが、奥宮の思い人を知りたがっている。それでそっくりさんをやめさせるようにすればいいのだな?」


「そうなんだけどね。本当なら香理ちゃんの口から。素直に吐き出させるのが一番なんだよ。

どうやったら、それ奥宮さんから聞き出せると思う?」



私は柳生君に意見を求めた。



「無理だな」



と即返された。


「だいたいさ、お前らだってさ他人のことは聞いて置いたあげくに自分は「いない」だの「お父さん」だの言って逃げるくせに、そんな質問された側が答えると思うか?無理だよな!?」



そうでした。


大抵の女子というものは他人には簡単に「好きな人誰?」と聞くくせに、自分が同じ質問で返された場合、「いない」だの「お父さん」だの言ってごまかしった答えしか言わないのがお約束。


それを何度もやられていれば、言わなくなるのは当たり前。


特に香理みたいな子は、そういう場をイヤというほど踏んできたであろうから、すごく警戒されているのは、至極当たり前だ。


「それでいてさ、さんざん「おねがぁーい!いわないからぁ―教えてー」としつこいほど言っておきながら、絶対に誰かに喋るよな?」



「ああ確かに、それ宣言しておきながら、喋らなかった女見たことがないわー。」


「なら言わなくても当然だよな?」



いろいろ説得力がある。

考えてみたら、ホントそれだ。



「あと言いにくいことだけど、奥宮の今の立場考えたことあるか?」


「?」


「あいついつもクラスの男どもから、人間扱いすらされてないんだぞ。そんな中で恋愛なんてできると思うか?」


「私がこの子で、毎日男子から罵倒されてる立場なら無理だな。」


「だろ?だからそんな相手にまで、わざわざ聞く理由が判らん。

まぁそれでも毎日容赦なく、誰かが奥宮にその質問してるんだから、俺的には悪意にしか見えんのだけどな。」


「でも、何も知らない他のクラスとか、違う学年なら問題ないのでは?


ほら、香理ちゃんさ、修学旅行中に他校から修学旅行に来ていた同い年の男の子からナンパされとったやん。なぜか、かわいい子グループの子たちを差し置いてさ。」


そうなんだよね、まだ中学生の修学旅行でナンパされたのなら判らんでもないが、小学生の修学旅行でナンパされるか?である。


それってやっぱり、普通とは違う魅力がないと無理である。


「なんかこの子ってさ、変なところで社交的だから、あなたの道場とかでの他校生の子といい感じっていうのあるんじゃないの?


最初のうちは荒谷君や一部の男子とも友好的に喋っていたし、この子異性と仲良くすることは、元々長けてるんじゃない?と私は思えるよ。


多分女の子たちは、香理ちゃんのそういうところが羨ましいんだと思うんだけどなー。


だから一概に悪意とは思えれないけどなー。」


そう、

この子なんでか、基本的には社交的でフレンドリーだ。誰にも物おじせずに初対面でも平気で喋れるというか…。

もし、クラス替えして最初にいじめの標的に選ばれなければ、結構ムードメーカーポジにはつけていたとは思う。


このお守りをあげるまで、ほとんど会話してなかったからそれに気づかなかったけど、なんでこの子がいじめられてるんだ?と疑問に思うぐらい自然と喋れる子だったので、ホントびっくりだった。


「おまえはそういう風に思えるかもしれないが甘いな、その考え。」


「そりゃどうして?」


「こいつ、最初のうちはその質問も鬱陶しくて、「別の学校の子だからあんたの知らない子だし、つまんないよ」と言ってごまかしていたんだけど、そしたらうちのクラスの女子はどういったと思う?」


「まさか…。」


「「このクラスの中から選べ」とまで言いよったんだぞ。さすがにあいつらマジで鬼かと思ったわー。」



「なるほどな。そこまでくると悪意でしかないわ。

そうなるとクラスの女子らがしたいことといえば一つ!「奥宮香理の好きな相手」という、このクラスで最高におもしろいネタとなる情報を我先に仕入れて、周りにマウントとりたいだけやん。それ、すごい陰湿すぎやしないか?」



「そこなんだよな。奥宮は毎日がそれだから、ストレスたまってみたいでさ。」



「それで前は、行き場なくして益井さんにビンタしたわけか…。


まぁ男子からは常に嫌な事ばかり言われていることはクラスでは誰もが明らかに知っているはずなのに、そして女子からは毎日が「好きな子誰?」質問攻めで、見事に挟み撃ちにされれば行き場はないわな。


そしてその本人は、


「みんな私が男子からバイキン言われてるの判っているのは明らかなのに、なんでそんな質問するの!?そんなことする人なんか好きになるわけないじゃん!いい加減にしろ!」


と言いたいけど、言ったら人間として終るというプライドがあるから、必死でこらえているというわけか…。というか、わざとやってるなら「挟み撃ちにしてそれを言わせて面白がりたい」という感じでもなるなこれ。


なんか、話を聞いててホントにつらそうだな…。


ああ、この上私までが「好きな子だぁれ?」と聞いたら、この子の精神崩壊するだろうな。」



「あぁ俺が仮に聞いたとしても…、今のこいつなら迷うことなく、俺相手でもビンタしてきそうだしだな。」


「何よー?柳生君もやっぱり気になるんじゃん。」


ちょっとからかいこめて言ったら、柳生君はぎょっとした顔をして、


「そりゃ俺だって、お前にそのお守りのことを言われりゃ気になるわ。」


「ホ―――。」


それはどういう意味でか言う事は、知りたいので反応をうかがうことにした。


「なんだよ!?俺が保護者として、こいつのこと気にかけるのはダメなのかよっ!?」


ん?保護者だって?


「ぶっ…保護者って…あははははははは―――――。」


「何がおかしいんだよっ!!?」


「なんか、しっくりしすぎてて笑える――――――。」


うん、ホントしっくりしすぎていて笑いが止まらない。

それにしても、同い年にてオヤジと娘みたいな関係とは、おもしろすぎるー。


やっぱり、お前ら只ならぬ関係とは思っていたが、そっちでそういう意味だったとは、半端なしにウケたわ。


「まぁ事情はどうであれ、この子から、直接いろいろ聞きだすのは無理言うわけよね。

だから、そっくりさんをやめない子が絶えないわけいうのも判った。」


「そういう事だ、だから女子たちには諦めてもらうしかなさそうだな。」


しかし、そうは言うものの、あの子たちがそんなに簡単に諦めてくれるものだろうか?

おそらく無理であろう。

そして香理もそろそろ限界だろう。

多分香理はこの先、そっくりさんで何回も頻繁に呼び出されようものなら、何かを糧にしていかないと生きていけなくなるだろう。


そうならないうちに止めないとまずい。


「しかたない。」


私は自分の机の引き出しから、水晶のブレスレッドを出して香理の左手首にはめた。まぁメインは推奨ではあるが、他にサブとしてローズクォーツとアメジスト等もいくつか混じっている対応のを選んだ。



「それは?」



「一応、そっくりさんへの呼び出しに反応しないための魔除けだ。」


お守りグッズ的には、この子らに渡した者よりか、結構レベルの高い品だ。それ故に未熟者が作った作品だとうまくいかないかもしれない。



「とりあえず、私もこれは試したことがなかったから、一人前になるまでは、あまり気が進まなかったんだけど仕方ない。

この子はこの先も卒業するまでの間そっくりさんで呼び出されるのは、イヤというほどあるだろうから、この子には試作品で試してもらう。」


「それって、失敗するかもしれないのか!?」


「その代わり、無料だ!」


「は?無料の代わりに実験対象になれと!?」


「そういう事だ。こんな高価なもの本来タダでやってたまるか!それにうまくいけば効果は絶大だ。文句は無かろう。」


「…」


「そしてもう一つ頼みがあるのだが。」


「なんだ?」


「私もいつまで、この子の事を守れるか全く保証はない。


だから、代わりにお主がこの子の事を守ってやってほしい。」


私はもう一つの推奨ノブレスを柳生の左手首にはめた。


「おいおい、俺がこんなのしてたら。」


「大丈夫。悪意ある者やみられて都合が悪い者には、見えないようにできておる。

ほら、私だってしておる。」


私も学校へ行くときとかには、誰にもバレないようにしていた。

たまに見える者もいて、このブレスレッドの話題を振ってくる者もいるが、そういうものはそれなりに心がきれいなものか、見えてもあまり気にしない者の方が多い。


学校でいた時にバレたのは、奥宮香理と他数人ぐらい。


「一応、知ってた。」


「そうか。」



やっぱり、香理はお守りを渡す相手を間違えていない。

他の人物はよく判らんけど、悪い奴ではない事だけは祈ろう。



「あと申し訳ないんだが、このブレスの説明を後でもいいから、この子にも説明してほしい。これが一応説明書だ。」


「ああ、了解。」



その時ちょうど、部屋の戸が開いた。


「なんかお迎えが来たけど、どちら様だ?」



おばあちゃんが来た。


「あ、はい俺です。ありがとうございました。」


「そっちの子は?」


「あ、一緒に連れてきますので。」



「そうかね…。…ん?」


さすがばあちゃん、異変に気が付いたみたいだ。


できればブレスのことは見逃してほしものだが…。


「じゃ、気をつけて帰るのだぞ。」


「はい、ありがとうございます。」


ばぁちゃんが部屋から離れていってホッとした。


「じゃ、またよろしく。」


「またはないかもだけどね。」


その日はそれで笑いながら、お開きとなった。



そして彼らが帰った後の私は、こっ酷くばぁちゃんから怒られるのであった。

怒られるのは予想していたけどねー。

でも、さすがのばあちゃんも今回ばかりは、緊急的にああでもしないと余計に厄介になる言う事も判っていたらしい。

だから、私がいない後もできる限りのことも何とかサポートしてくれるとまで言ってくれた。

ありがたい話だ。私はまだ恵まれている方かもしれないな。




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