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本来生贄になる者とは? (神子三果)

そりゃさすがに驚くよな。


「まぁ勝手な事情で誰にも言わないで去ろうとしたけど、それはどうも難しそうなんでねー。」


「生贄ってどういう事なんだ!?」



「まぁ毎年あるんだけど、その年である系列の神社で産まれた12歳になった娘が、その年の年末頃にほぼ生贄状態で召集されるのね。

今時、こんな話がある言う事事態が私も信じられないけど、表向きは一人前の神に仕える身になるための修行という名目で行かされる。」


「そんなの無視すれば、いいじゃないか。」


「まぁ無視をするという手もあるのだろうけど、どちらにしてもいろんなやり口で無理やり連れていかれるみたいでな。まぁあの場に行って何とかまともに帰ってきたおばあちゃんの話によるとさ。下手に抵抗せず、素直に従った方があの修行場での生存率はあがるとのことなので、そこは自分の我が身のためにも腹をくくっていくことに小さい頃から決めていたのさ。」



「なぁこのことは奥宮とかにも話したのか?」



「ううん言ってなんかないよ。


柳生君の場合は、うちみたいに特殊な家業を継ぐ者同士だから、気持ちは判ってもらえるかなと思って話せたものだし。


そもそもさ、こういう話を柳生君以外の普通の子に話したりすると、簡単に言いそうだから。」


「なるほどな。まぁうちもあまりないような特殊な家業だから、判らんでもないかもな。」



「もうさ、私もこういうことは一人で抱えていくことも正直限界でさ、誰かに聞いてほしかったところだったんだよね。」


「それにしてもホントに生贄って、今のご時世でもあるのか?」


「それに関しては私も詳しいことはよく判らないのだけど、おばあちゃん曰く、世の中の何らかの調整のためとかで、それでも生贄は必要だ。と言っているんだよね。」


「いったい何のために?なんかその需要は俺にはよく判らんけどな。」


「多分だけど、神社をまとめていく者としてふさわしくない者を早いうちに排除するという一例の儀式だと私はこの儀式に関してはそう考察してるんだ。

心が汚れていたとなると神様に使える者として資格はないのはある意味当たり前だしな。」


「で、その修行場に行って、戻ってこられなかった奴っているのか?」


「うん、毎年必ず何人かは戻ってこれないし、戻ってこれてもまともな神経で帰ってくるとは限らなかったりする。」


「実際に見たのか?」


「うん。」


「じゃあ、何回か行ったことあるのか?」


「その現場まではいったことはないけど、7歳の時から先輩たちの見送りと出迎えの行事だけには毎年参加してるから、そこでいろいろ見てきた限りだとそんな感じ。

そこで一番印象的だったのが、逃げたり無視したりした先輩たちが無理やり連れてこられていた先輩たちの扱いがものすごく酷かったこと未だに覚えているよ。」


ああ、あれは忘れもしない壮絶なものだった。

大きな袋に入れられて連れてこられたり、暴れている先輩を無理やりバスに押し込めたりとか、もう毎回半端ないほど、なんかあるのは当たり前。


そしてもうほぼ間違いなく、行く前からそういう騒動を起こした者はそのまま帰ってこれないか、精神的にダメージをくらったのかが原因なのか?まともではない状態で1年後に帰ってくるのだ。


一度だけ、対象者である全員が一丸となって、誰も抵抗せずにまじめに参加した年があったとは聞いたけど、その時にしても一人は帰ってこなかったと聞いた。そして、帰ってきた他の参加者たちも精神的にいろいろ耐えられなかった先輩も何人かいて、その先輩たちも今では神社の生活から距離を置いて生活しているらしい。


そりゃ不相応な人を選別しているのは判らんでもないけど、そこまでして追い込むのは本当に解せないものある。




「なんか思っていた以上だな。」



「ここにいる中でえらばれるだろうからさ。」


私は柳生君にある書類を見せた。



「これは…」



「今年の参加者名簿だよ。その中に私の名前もある。」



「あ、本当だ。」


「まぁ仕方ないのさ。なんか知らんけど謎の圧力でこんなことに巻き込まれてて、納得いかないけどなー。


どこの家庭でも、自分の家庭の環境や空気とか親の方針とかには、子供は絶対的に逆らえないのが現実だからねー。」


つまりはそういうこと。

どんなに家庭環境が悪かろうが、おかしかろうが自分がそこの家に生まれてきたことが悪いということで片付けられてしまうのが現実で、根本的なことは何も解決しないのだ。


だから私みたいに明らかにおかしい特殊な環境でも、「それは特殊な例だから…」とか言われて誰もまともに向き合おうともしやしない。


まぁこんな特殊過ぎる非現実的な環境なんか誰もまともに取り合うわけないのも判らんでもないけどさ。


「おまえまさか、小津や奥宮に手を貸そうと思ったのか?」


「そう、ほとんどは自分だけでも無事に助かろうと思ったことからなんだよね。柳生君に比べてみれば、私の事情なんて我ながらエゴでしかないのよね…。」


ホントそれなんだよなー。

正直、私だってもとはといえば普通の人間。元々人助けなんかするガラでもなければ、他人の面倒ごと何か関わりたくもないとまで思っている人間だ。こんな奴が本当に神に仕えるであっていいのかすら疑問だ。それに私だって。結果的に自分の周りが平和であった方がいいとは思っている。


だからこそ、自分目線でも目に見えてわかるような困っている人に手を差し伸べようとは思った。ただそれだけなのだ。



「でもそれが自覚できているお前はすごい思うぞ。お前がまさかそこまで考えることができる奴とは今まで思わなんだ。」


「…え?」


「俺が見てきている限りだと、あのクラスでそれができる奴はホントに少ない。まぁ俺が奥深く話した相手が少ないのかもしれないが、さらっとみても片手の指で数えられるかどうかぐらいだったぞ。」


私の頬には知らないうちに涙が伝っていた。


「だから自信持て!」



そういわれて、涙が止まらなくなっていた。


「絶対に生きて帰ってくるんだぞ!」



生まれて初めて自分の理解者ができたことにはうれしすぎて涙が止まらなかった。


「ありがとう」


そして生まれて初めて心からの友達ができてうれしかった。

私にとってこの経験も最初で最後かもしれない。


ううん、また大切な友達に再会する手目に絶対に帰ってきたいという気持ちが芽生えていた。


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