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そっくりさんの生贄は誰? (益井千絵子)



「なんで!?助けてくれるって言ったばかりじゃん!」


「イヤーーーーーーーーーっ!!」


香寿美がまた、今まで以上に響き渡る大声で悲鳴を上げていた。




「じゃあさ、香理を生贄にしよう!」


「え?」


「あいつなら、嫌われ者だし、あいつ生贄にしても誰も文句言わんだろうし、なんにせよ、どうでもいいじゃん。」



といきなり由利が言い出した。


そりゃそうかもしれんけど…


もちろん答えは「いいえ」の方に指が動いた。


そりゃそうだ。


「あのさ由利。仮にも今そっくりさんとして呼び出しているのは香理のそっくりさんなんだよ。本人が納得いくわけないよ。」


それが大きなネックだったのだ。

だから「いいえ」と出て当たり前。

香理を呼んでおいて、香理相手に香理を生贄に差し出すなんてまぬけな事できるのはお前ぐらいなもんだ。


「そんな…。」


そう思っていたがまさか香寿美までそういう思考とは思わなんだ。



ああもう、これさっさと言わないと私が生贄になりそうだ。



私もさすがにやばいと思って、昨日いたメンツのことを思い出して、その中から選ぼうと思って、とっさに思い浮かんだのが。



「尾高美知子!」



いきなり香寿美が叫んだ。


「!?」


さすがに私も由利も言葉が出なかった。


実は私も美知子を選ぼうとしていたところだった。



「だってむかつくじゃん、こいつ!いつも自分勝手でさー。

いつもそっくりさんだなんて言うくらい遊びをしようとか言い出しっぺになるくせしてさ、毎回自分は見てるだけ!あれホントマジむかつく!」


さっきの香寿美とはえらい違いな態度だ。

いつも偉そうなリーダーは嫌われるってか?

ここまでくると香寿美の方が取りつかれているみたいに怖い。


そしたら


「ああいえてる!あいついつもむかつくんだよねー。

人がいないところで、いない人の悪口ばかり言ってるし、ホント最低!」


てか、お前だってそうじゃんよーと言ってやりたかったが、ここはあくまで自分にヘイトを向けられないようにそこは黙っておくことにした。



そして指は意外な方へと動く。

「いいえ」だ!



「なんで!?なんでよ!?」



ああまたパニックになってきた。

もう、私までが気がおかしくなりそうだ。



「そっくりさんそっくりさん。先ほどは助けてくれるとか言ってましたが、なぜまた心変わりされたのでしょうか?」



そこである。



指はまた動く。



“い い そ う だ か ら”



なるほど信頼されてなかったから、いけにえを差し出せと。



確かにこのメンツなら簡単に言ってしまいそうだ。



「あの、紫のお守りの件は黙っておくことを誓いますから、許していただけますか?」


また指が動いた。


“そ れ で も い け に え は ひ つ よ う だ”



マジでどうしよう??



香理もダメ、美知子もダメ、じゃあ誰ならいいの!?



「じゃあ、築里奈をさしだすわ。」


「香寿美!?」


「だって、いけにえいうものは本来美女がやるものでしょ?香理はブスだし、美知子は一応中の上はあるかと思うけど、里奈に比べてみれば微妙だし、それに里奈の顔はもう治らないかもしれないし、治らないのなら嫁に行く当てもないだろうし、遺伝子的に美少女である里奈の方がよくない?」



香寿美の理屈は滅茶苦茶だが、一応は理にかなっている。

他人んことをを平気でブスという割には香寿美も由利も大したことはない面構えだ。


一応、美人を生贄にするという方向に向かっているので、いけにえの標的が私から遠のいたことは助かったと言えよう。



おそらくそっくりさんは美人を求めているのであろう。


そして答えは…



「いいえ」



だった。




「ちょっと何でよ!?」


そんなこと私も知りたい!


どちらにしてもこのままでは何も解決しない!



「ちょっと、香理でしょ?香理は一応あれでも女だよ。」


「だから何!?」


「だから生贄は男じゃなきゃダメなんじゃない!?」


「ああそうか!由利、頭いい!」


ここはさすがに由利がさえてる思えた。



これでさらに私が生贄になることは遠のいた。

マジでラッキーでしかない思った。



まぁ男子なら、星川くん以外なら誰でもいいやと思える。



「じゃ荒谷郡二で!」


ああ荒谷郡二なら、すごく妥当だ。


5年の新学期が始まったばかりの時、香理とイチャコラしてて仲が良かったから、そこから香理が荒谷のことが好きという噂がさっぱり絶えないのだ。

それに、香理本人が好き?だと思われる人物なら香理だって、その生贄は喜んでもらうであろう。


そうおもった。


コインの結果はまたもや「いいえ」とでた。




「もう!いったい何が不満で「いいえ」しか出ないのよ!!?」



ホント意外だ。


でもまぁ普段は香理と仲のいい私なら少しは判るが、香理はずっと荒谷のことの件に関しては否定し続けているのだ。そこから考えるのそこは香理の本心であることはよく判った。




「じゃあ仕方ないから、荒谷よりかはかなり上玉過ぎるけど近松君にする?」




そうだ!


一か月前のそっくりさんの結果では、確かに近松と出ていた。

幸いこの3人の中には近松が好きだというのはいない。


なら近松でもいいではないか!!


「いいね。それ。」


思わず賛成してしまった。


だいたいあいつ、自分があのクラスで一番足が早いのか何なのか知らんけど、たったそれだけのことで鼻にかけすぎていて、どうも好かん!見た目だって、よく見れば平均よりかちょこっといいぐらいで、顔だけで調子に乗れるほどでもない。


それも


「次の運動会で、このクラスで徒競走ビリになった奴はぶっ殺す!」


ってなんだよ!?

あと2週間後に運動会を控えているけど、その運動会の時点で近松の存在そのものが消えてくれるとありがたい。

何せホントのところ、このクラスで一番足が遅いのは香理ではなく私なのだから。


委員長から聞いた話によれば、あと一か月入院で休むとか言ってはいるけど、あの化け物級の根性と厄蛇以上の執念を持つ近松のことだ。絶対と言ってもいいほど、そんなにも長くは休まないであろう。

何せ、毎回各自分目標は自分が休んでいる間、クラスメートが幸せそうにしていたという情報を耳にしただけで、あれ以降は夜道に誰かにボコられた次の日でも学校に来たぐらいだ。


あいつがそんなに長く休むわけがない!


骨折が治るまでどれくらいかかるかは知らないけど、下手したら、2種間で復帰する可能性なんて当たり前のように考えられる!


それに荒谷はクラスのみんながあの二人を引き離しちゃった感じだから、香理目線荒谷には直に恨みはないのが原因なのかもしれない。

その点、近松は香理目線、ラスボスと言ってもいい存在。ならばかなりの恨みもあるだろうし、結構上玉な生贄だと言えよう。


「OK!近松直也が生贄で!」



この時の私の気分は最高だった。


何せ今年の運動会ぐらいは、そこまでプレッシャーがないと考えるとそれだけで嬉しかった。


そして答えは…



やっぱり「いいえ」だった。


「え―――――っ!?」



さすがの私も驚くしかなかった。



近松ほどのモテ男を生贄にしてもダメとなると…やっぱり…。


「こうなったら、最終手段よ!」


イヤな予感。


「香寿美、千絵子いいわね?」


「ダメよ!それだけはダメ!」


「まさか、星か…」



「千絵子それ以上言っちゃダメ!」


私も星川君の名前をのどまで出てきて言いかけた。

そうだ香寿美の言うとおり!

ここで星川君の名前を危うくいってしまえば、運が悪けりゃそのまま星川君が生贄になってしまうことだってあるんだ。


確かに、一般的な童話や神話の世界などでは、生贄に差し出すのは美女と決まっている。

となるとメスの怪物のいけにえに差し出すとなると、やっぱり美少年でないと許されないのか!?

と大真面目に考えていた。



「仕方ないでしょ!?」



「仕方ないとか言われてもさ、じゃあさ、由利は由利の好きな人を自分よりブスな女に差し出せ言われて差し出せる!?」


と問いただした。



「うっさいわねー!私だったら相手がブスだろうが美人だろうが、自分の好きな人は誰にも渡さないわよっ!」


ああこの人、私よりかなりわがままだ。


「だいたい私は、あんたたちとは違ってそこまで面食いじゃないから、そんな被害遭わないのよっ!悔しかったら面食いやめてみなさい!」


とまで言い切っていた。


「ふーん、そこまで面食いじゃないとするとやっぱり近松のことなんじゃないの?」


近松も星川君ほどではないが、そこそこ悪くはないのは言えること考えるとそれだ。


「違うわよっ!だいたい近松のことが好きならさっき近松を生贄に差し出したりはしないわよっ!」


ああそうか、なるほどじゃあそうなると由利の好きな人は星川君と近松と荒谷以外の男子となる。


「じゃあ誰なん?」



「え?」



「教えてよー。由利の好きな人誰よ!?由利はいつも人の事ばかり聞くくせに結局自分のことは答えないよね?それずるくない?」


さすがの香寿美も由利のその狡さには、嫌気がさしていたらしい。


そうだ!由利を含めて多くの女子に言える事だけど、自分は他人の好きな人の事を先に聞くくせに、自分のことをは絶対に答えない女って多い。ホントムカつく!


とは思うけど私もまたそれやる事も多々あるから、人のこと言える義理はないんだけどさ、この由利に限っては、ホント頑なに自分のことは言わない。


前なんか、自分が誰かに由利の好きな子誰?とか聞かれて攻撃受けていた時、


「私はね。勉強にしか興味ないのよ。1に勉強、2に勉強。3.4がなくて、5に勉強だからー、男子になんか目にもくれないわー。おーほほほっほほーっ!


あでもー、香理の場合はー、1に郡二で、2に直也、3・4がなくて、5にナンパ。だもんねー。」


なこと言って、最終的には香理にその話をパスした挙句、逃げていったいう事は絶対に忘れんぞ!お前のずるさを!


次いでいうと、その勉強一筋の割には頑張ってもオール3どまりいう事も私は知ってるぞー!いつだったか、通信簿配る時、私がたまたま一番前の席にいた時にほとんど丸見えだったもんねー。


おまけに香理のこと裁縫下手だとか言う割に自分の名札の付けぬのあれ何?別にほつれもしないフェルトをすんごいぐしゃぐしゃに縫い付けてそういう自分だって汚いやん。名札の付けぬのは黄色って何?普通基本色でまとめないか?1年生のクラスカラーで分けるわけじゃあろまいしそれマジだっさい!


私も兄弟多くて、服が選べれなくてさっぱりセンスないけどさ、由利だって自分が思っているよりはるかに完璧ではない思う。


「私はいいのよ!!あんたたちと違ってそんなのいないし!あんたたちと一緒にしないでっ!」


結局、由利は「私はいいのよ!」と自分を棚に上げる。


なんかその態度からして、どう考えても由利には同じクラスに好きな人がいて、私たちが絶対にその人を言い当てられないことに自信をもっていっているって感じだ。



それも仮にそれがバレたとしても、おそらく完全には恥じることのない相手だと思う。そうでないなら、ここまで強気ではいられない思う。


てか誰なんだろう?それに該当する妥当な相手とは?



そうこう言ってるうちに最悪なことが起きた。



「星川優で!」



私たちが黙っている間に由利は隙を見たかのように、優の名前をあげてしまった。






ところが、その答えも「いいえ」だっだ…。






ここはホントに



「よかった」



と香寿美と二人でそれを言っていた。




「……よくないわよ…。」




そりゃ由利にとって、生贄が優に選ばれなかったことは、何もメリットはない。



「どうするのよ…。いったい誰ならいいのよ―――――――?」




と由利がいったとたん



“こ こ に あ る な か で え ら へ”



最悪な結果が出た。


果たして、ここまで断られ続けた結果。

生贄は誰に誰になるのか!?

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