そっくりさん。再び。 (益井千絵子)
とうとう、私たち3人だけになってしまった
私だって心の奥底では、ものすごくアホらしいことだとは思ってはいる。
でも、そっくりさんと約束をしてしまったからには仕方ない。
そっくりさん本人が納得してくれるまで、私たちはそっくりさんのお相手をするしかないのだ。
昨日神子さんのおばあさんにも「そう約束したのなら、最後まで責任はもて!」と言われた。
だから私たちはもう後戻りはできない。
「あのさ…里奈ってホントに呪われたの…?」
「判らないけど、あの顔が元に戻らないかもと思わっれるぐらい殴られたんだよ。それも大事な話し合いの時にいきなり逃げていなくなったしで。それ考えるとやっぱり逃げられないと思うよ。」
この二人はどう思っているかなんてわからないが、少なくとも私はそう考える。
それに今日の欠席者は主にあの場にいたメンツがほとんどだ。
それも欠席理由も昨日あの場にいたメンツに限って誰も迷惑ではない。
もしかしたらであるが、里奈以上に重傷かもしれないと考えるのが妥当であろう。
「とにかく、呪われたくないなら、私たちだけでもなんとか解決しない?
正直な話それだ。
もうこうなったら、私たち3人だけでも助かろうと今ここにいる3人の思いはそんなところだろう。
「判った。」
正直、香寿美も由利もクラスでは意地悪グループに所属していて、私とはさっぱり仲がいいわけでもないが、今日ばかりは珍しく利害が一致している。
「いい?終るまで絶対に離してはダメよ。」
もし、コインを離そうものなら、私たちまで里奈みたいに顔をつぶされることになるかもしれないのだ。
「そっくりさんそっくりさん。
奥宮香理さんのそっくりさん。
私たちは昨日子乃神社にて、あなたを呼んだものたちです。
昨日のご無礼をお許しください。
あなたのお話を聞くために約束通り再度お呼び致します。
こちらの今回の会場は子乃小学校6年4組でございます。
教室の窓が開いておりますそちらよりお入りください。」
昨日はそっくりさんにタメ口叩いてしまったけど、せめて今日はなるべく無礼のないようにしよう。
「奥宮香理さんのそっくりさん。
もし、いるならお返事ください。」
コインは、「はい」と書いてあると場所に動いた。
これ毎度思うのだが、誰か動かしているんじゃない?とさえ思えてくる。
でも今回ばかりは違う思う。
ここにいる3人は、おそらくできればそっくりさんとはもう関りたくない。
できれば来ないなら来ないでもいいから、早く終わらせたいと願っているもの同士だ。
わざと動かしているということは、ほぼほぼあり得ないと思う。
ここで動いてしまったということは、そっくりさんはまだ私たちに何か言いたいことがあるということ。
もしくはこの中のうちの誰かが、この期に及んでふざけているかである。
もし、後者であるなら、私はそいつのことをリアルでしめたい!
「そっくりさん。昨日は本当にごめんなさい。
昨日は話の途中だったので、その話の続きをお聞きしたいと思い本日呼び出しました。」
なんでもいいけど、さっきから私ばかりがそっくりさんに話しかけていて、あとの二人はずっと無言のままだ。そもそもお前らがやり始めたこと言うのにホント使えないし、腹が立つ。
ここまで来たけど質問はどうする?
私は質問の内容を必死で考え込んだ。
そういえば、そっくりさんの用意をしたまでは良かったけど、昨日の話の続きになるような質問を考えておくことをすっかり忘れていたのだ。
そして昨日はみんな大パニックで、どんな状態で終了したのか?私ですら覚えていない。
困ったどうしよう?
とりあえず、今のところそっくりさんは「はい」の位置から動かずに、安定している。
正直この続きをどうするかについて困っていた。
何を聞けばいいか本当にわからなくなっていた。
でもそっくりさんを呼び出したからには何かを質問しなければならない。
そこへ由利がまたとんでもないことを言い出した。
「何を聞くかって?そりゃやっぱり定番で好きな人の事でしょ?」
「!!!」
私はこの時すごく嫌な予感がした!
「やめて!今日はそんなことを聞いてる場合じゃないでしょ!?」
私は由利を何とか制止させようとしたが、
その時、コインはいきなりゆっくりと動き始めていた。
それをよんでいくと…。
“ゆ る さ な い”
すでに手遅れだった。
私たちはまた余計に拗らせてしまった。




