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意味不明な援助者の言い分 (奥宮香理)


私は三果にはどうしても確認しなければならないことがあった。

そして相談しなければならないこともあった。


「あの、不思議なことがあったのは確か2回だったはずなのに今日確認したらいつの間にか真っ黒になっていて、びっくりして…その…。」




三果はわたしがもってきたおまもりを数十秒ほどしっかり見つめていた。



「いや、3回既に使われている。」


「え?」


「多分、無意識の時か気持ちに全く余裕がない時に使われたかで、記憶がないだけだと思う。」


いったいいつそうなってしまったんだろう?

まぁそれでも一応は約束通り、お守りを返しに来れただけでも抑速は果たせたと言えよう。



「んーでも困った。」


「なにか?」



「いやさ、このお守り一応卒業までは何とか持つかなと考えていたんだけど、たった一か月でこうなるとは想定外だったのよー。」


そういわれても、そんな魔法みたいなことなんかまったく素人にたったそれだけ言われても判るわけがない。


一応、今の状況よりかはマシになるだけとかいう話は聞いていた。

そしてそれだけは何となく理解はできた。

まさか、ああいった現実にはやっぱり無理ある形で、いきなり状況が変わる言うのは毎度心臓に悪い。


まだ2回しか体験できてないが、毎回違う場所に送られて、周りと辻褄合わせつつ会話をするのは、なんか厳しいかも…。


そしてあと一回はいったいいつ使ってしまい、どうなってしまったか?言うのも謎のままだ。


ただ、なんだかんだ言ってその場所から逃げることができたというだけでホントにありがたいのは確かだ。


一回目の帰り道にいきなり山本に遭遇した時は、もしあのままだったらボコられていたのは間違えなく私だ。近松が私の代わりに殴られていたことには、かなり驚いたのもあったが、やっぱり心の片隅でざまぁとも思えたのは確かだ。



二回目の時もなんとまた、私は殴られそうになっていたということを知ることになった。あの後、校長室で事情徴収をされていた鈴木由香たちの話を聞く限りでは、里奈を探していて教室を再度見に行ったら、いきなり嶋田恭平が里奈をボコボコにしていたと聞いた。



その時、鈴木たちは「いい加減にしろよ!ブス!」という声のタイミングで、鈴木さんたちは教室の入り口に来ていて、そこで里奈の顔が一瞬で崩れてしまった場面を目にしてしまったらしい。



まぁものは考えようで、私ってこんなにも殴り易そうな顔をしているのか?とも思えてしまうぐらいへこんでしまう事ではあるなーと今思った。そんな顔してる私に対して、三果ですら呆れているんだろうか?


確かに人ってさ、近松みたいにある程度は顔は整っていて、常に威嚇取れそうな顔は明らかに殴りにくいだろうし、逆に築さんみたいにかわいらしい容姿した子をいとも簡単に殴る言う事もないであろう。どちらの顔にせよ、殴る前に少し考えてしまって結局殴れなくなるのがオチだろう。だから美形は得なのだ。


それを今回はその美形をいとも簡単に殴ってしまった珍しい事件がここ最近起きているのだ。


「今は誰が殴られるのかが判らないから、こわーい。」

「私たち、あんなふうにだけはなりたくなーい。」



と鈴木由香たちも言っていた。



そして今回もあのままあの場から、私が移動することがなければ、嶋田から殴られていたのは私いう事になる。



あのまま殴られて、今の顔が更にブスになるのがいいか?と聞かれれば、全然知らない場所に飛ばされて、適当に話を合わせて適当にごまかす方のがどう考えてもマシだ。



てことは、あともう一件も殴られそうになったとか?



まぁ自分が移動することになった共通点とは自分が思いつく限りだと、自分が殴られそうになった時のタイミングだということを今回の件でようやく理解できた。


「まぁ何はともあれだ。今あのクラスは荒れに荒れているんだろうな。」


そうなんです、まさにそれです。



「これ以上変なことが起きないといいんだけど、更に変なことが起きそうで…。」


「まぁ避けられないだろうね。いろんなものを歪めてしまった結果だし。」


「どうすればいいの?」


ほんとそれだ。




「どうにもならないね。あのクラスそのものが、元から歪んでいる状態だったし。どちらにせよ、うちのクラスはあのまま拗らせていくしかなかった運命だったんだよ。」



言われてみれば自分含めて性格の悪い奴がほとんどのクラスだから、三果がこんなこと言う理由は判る。ここまで不思議な力を持っているはずの三果ですら、解決方法がない言うのはもう絶望的でしかない。




「香理は別にあのクラスを救おうとは思ってないのでしょ?」



「あ、」



「香理がそう思うなら別にあのクラスがどうなろうとどうでもよくない?」


言われてみればそうだ。


「じゃあなんで私を?」


三果は少しだけ間をおいて


「一つはあなたがあまりにも不憫過ぎて、もしこのままあなたに死なれてしまっても浮かばれたい魂が無駄に増えるだけになることを避けたかったこと。


もう一つは…。」


「?」


「あなたを援助してもしなくても歪む運命は避けられないなら、あなたを助けることによって少しだけ運命を変えて、あのクラス全員に何等か課題を与え、反省する方向へと導きたかったこと。」



ん?あのまま何もしなかったら私は死ぬ予定だったの?

言われてみれば、ここまで人から殴られる標的にされるだけの運命だとすると、さすがにいつ死ぬかもわからないかも…


ってそれって?


「まさかと思うけど、あのまま放置して、私が死んでいたら…。」


「私を含めてあのクラスのほぼ全員の魂は浮かばれなかったでしょうね。」


そして未果は容赦なく私に問いかける。


「なぜだか判る?」


私はその意味がさっぱり判らなくて何も答えられなかった。


「まぁそれはあなたにも何度か言ったはずだけど、それはあなた自身が気付いてあなたが反省すべき点なので、あえて言わないわ。」



三果は話を続ける



「正直、以前は小津にもこのお守りをあげようと思ったことがある。」


「えっ?」


「小津も不憫だと思えたからね」



まぁ判る気はする。



「でも小津は…変わってしまった。だから無理だと思った。人間あそこまで腐ると元には戻れない…。」


まぁそれは私も小津を見て思ったことと同じ意見だから、判らないでもない。


でも私だって、内心あのクラスの連中は嫌いだし、はっきり言えば存在ごと消えろ!とさえ思っているぐらいに腐っている。

その思いを持つものとしては小津とさしては変わらないと思うのだが…。



「でも香理は違った。香理は小津の両親が事故で亡くなった時の堀からの地獄の尋問にもさらっと答えることができたし、大人の対応ができていた。そこで私はあなたのことを人間だと判断した。」



堀先生の地獄の尋問とは、まず出席番号がその日にちと一致した人をあて、その人の席から順番に堀先生からの質問に答えていく定番の尋問だ。そして制限時間内に答えられなかった者はそのまま立ったままその時間帯を過ごすという、イヤな議論会だ。まぁそんなもの席から最初にあてられた人の離れている人はその間に考えればいいという運ゲーみたいな議論会でしかない。ホント誰が嫌う無駄な時間である。


はっきり言うがあの議論会は全部担任の堀が悪いとしか私目線からでも言えない。


もしそんなに活発に意見を出し合い議論をしたいなら、意見がある人だけが言えばいいのでは?と誰もが考えていたことであろう。それを一人ひとり順番に無理やり意見を絞り出そうとするあのやり方、私はすごく気に入らなかった。もしそこで一人もいい意見が出なくてもそれはそれで仕方ないんじゃないか?とさえ思う。



もし仮に私が小津の立場で、クラスの誰からも意見が出なかったとしてもそれは私の人望のなさの問題なので仕方ないと思えるし、おそらく小津だって大体似たようなものだろう。



それに先生本人が自分から開いた議論で、全然話にならなかったとしても、それは半分は先生の責任でもある。現に先代の私の担任だった竹本先生のクラスの時はどんなくだらないタイトルの議論であれ、すごい盛り上がった。そこは先生が持つ魅力の問題はやっぱりあると思う。


確かあの時の議論のタイトルが


“これからの小津君にしてあげれること“


だった。


これは小学5年生にはかなり難しいタイトルだったと思う。


でもな―あの時はあの時で、私はあてられた人の席からかなり離れていたためかなり時間があったから、あ、頭の中でうまくまとめられただけなんだよなー。


まぁこんなことを考えている私の思考ですら三果はよんでいるから、そこも踏まえて三果は私を手助けしてくれているとは思える。



「どちらにしてもあなたのあの立場で、あの場で意見が言えるだけいえる言う事は私もそこは賞賛すべきことと思えたのよね。

私も小津のあの時の腐りようには、あきれてものが言えなくて、私ですらなんもいえずに突っ立っていただけだったのに、あなたはそれをやり切った。だから私はあなたをどう救うかということをその時点から考え出したわけ。」




そこからすでにみられていたわけだ。



「ほんとはもっと早くから、この計画を始めたかったんだけど、おばあちゃんがなかなか許してくれなくてね。小津の時はあっさり許可してくれたのに…。」



まぁ小津のことは事情が事情だし、割と簡単に許してくれるとは私でも思える。



「でもまぁ、おばあちゃんが今までさんざん止めていた理由も今となっては納得した。

まさかここまであっさりと一つ目のお守りがだめになるとはさすがに私も予想していなかった。

このことを多分、おばあちゃんは予想していた思う。

だから「もう少し待て!」と、おばあちゃんはよく言っていたのはホント頷けるわ。」



なるほど、小津のことで議論会をした件からもうかれこれちょうど一年がたとうとしている。

何をいまさらその話を持ち掛けたと思ったら、そういういきさつがあったんだということは納得した。



「まぁ納めてくれたことだし、これが二つ目のお守り渡しとくわ。

一応これも3回しか効果なないよ。もし今回みたいに記憶がなくても、このお守りが真っ黒になったらおさめに来て。このお守りが真っ黒になった言う事は、既に使ってしまって効果なしという事だから。」



「…いいの?」



なんかすごい言いたい放題言われ、こちらの闇がありまくりな思考も全部お見通しとされているのに



「いいも何も、これは私の意思でやっていること。

このお守りを使った結果どう転ぼうが、別の歪んだ結果になるだけなのだから。」


「・・・」



「唯一歪んだ結果にならないとしたら…その条件は一つしかないけど…。


それがあなたに援助した上で起こる未来の一つの可能性だからこそ、これをあなたに託しているだけのことだし…。」


「それは荷が重いな。私できないかも…。」


「それにあなただって、あんな腐ったクラスの中でも助けたいと思った相手が5人はいるのは確かでしょ?」


「えっとまぁ…」


だから、私以外にも同じようなお守りをサブで5つ渡してくれたわけだ。

これをクラス内で助けたいと思った相手にあげてと言っていた。


それも驚くべきことに最初に私にこのお守りを渡した時から、すでに人数分作られていた。そして私目線、このクラス内で何が起きようとも救いたいと思い浮かべていた人物たちと同数だった事にも驚きを隠せなかった。


「多分、その人たちは陰ながらあなたのことを応援してくれている支援者たちだろうけど、あなたにもその大事な存在がいたからこその私からのささやかではあるけど、動いたいうわけよ。


多分、あなた一人の力ではどうにもならない言う事は判っていたからね。」


「なら、三果ちゃんがやればよかったんじゃない?その役目?」



「無理よ。私には誰かを助けるという動機はない。それにもう、あの学校にも行かなくなると思うから…。」


「え?」


「だって、あんな学校行きたくないもん。みんな考えてることがキモ過ぎてさ。その場にいたらおかしくなりそうなのでね。」


もう学校にも来なくなるのになぜ?あのクラスを救おうとしているのか?理解できずにいた。


「もちろん、私ははなっから助ける気はないよ。あくまで完全な成功率は最終的に5%未満でしかない問題だからね。それにもうすでに完全ではないしで。」


「だったらなんで?」



「どちらにしても、あのクラスの問題は全部あなたの行動にかかっているだけのこと!」



三果はそれ以上の質問には一切答えなかった。


それどころか…。


「うち一つはまだ渡してないようだけど、益井さんじゃなかったのよね?」



私には全然違う質問を投げかけてきた。

そこまで言い当てられている。

ホントに言いづらいが、正直千絵子はあまり好きではなかったりする。

確かにあと一人は遠い存在で何も接点がないので、渡すに渡すことができなくて困っている。


「誰なの?あと一人は?」


そりゃあと一人は誰もが気になるよな…。

でも…それだけは言うわけにはいかない…。

私が一番答えにくい質問をここで投げかけてくる三果もずるい思えてきた。


そういわれた途端、私にいきなり眠気が襲ってきた。

私はそのまま、それ以降の記憶が曖昧となった。


「…ごめん…なんか……眠くなってきた…。どうしよ……?」


「え――――っ!?」


いきなり眠い言われてさすがの三果も驚いていた。


「まぁ、こうなることも想定内だったかも…。

まぁ多分すぐ、あんたを迎えに来るクソまじめなのも来るから、安心してお休み…。」


三果はやっぱりすべてをお見通しのようだった。

三果のその言葉を聞きながら、そのまま私は眠りについてしまった。


残りのあと一人は誰なのかも三果は見抜いてしまうのだろうか…?

さすがに不思議な力には誰もかなわないよな……。


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