ブタもおだてりゃ調子に乗る (奥宮香理)
誰かに見つかってしまったと思ったのか?
こいつらはかなり焦っている様子だった。
「人の事をいつもばい菌呼ばわりするくせにこういう時だけ思いっきり触るんですか!?」
小津は後ろを振り返るまでかなり恐る恐る振り返ったが、私の顔を見るなり表情がかなり緩んだ。
どうやら相手がどう考えたって勝てると思った奥宮(私)一人だったから、私を見たとたん余裕で勝てると思ったんだろう。
なめられたものだ。
私は小津のその他人をなめたような顔つきにさすがに腹が立ったので、小津の顔が低い位置にあるうちに小津の顔面に正面蹴りをくらわせた。
私だって、小津一人なら余裕で蹴れるわ!
“ドカッ”
それに私だって、こんな低俗なブタにそんな余裕面されるのは憤慨だ!
「ふごごごごっ…」
私に蹴られた小津はまるでホントのブタみたいに床に倒れてうめいている。
それを目にした嶋田の方は
「おまえなんてことしたんだよ!?」
「おまえらだって人のもの盗もうとしたじゃないかよっ!」
「普段、人扱いすらされてないお前のもんをそうしようが俺らの勝手だ。」
「はぁ?なにそれ?」
「それに、そんなもん。誰も見てなきゃどーでもいいんだよっ!」
「ふざけるな!デブブタ!一人じゃなんもできんくせに!」
「なんだと!?もう一度いってみろ!」
「近松のペットやらんと生きてけないくせに!クソブタコンビ!!」
ほんとこいつらの存在そのものにはむかついてくる。
「近松に飼われているブタやん。お前らなんか。」
「は?それが何が悪いって?俺はお前にどう思われようがどうでもいいんだよっ!
悔しかったら、クラスで俺らの地位を超えてみろ!」
とまで行ってきやがった。
「ブタに成り下がってまで手に入れた地位なんか誰も羨ましがりもしないわー!
少なくとも私はブタに成り下がったおまえらよりかは遥かに人としてプライドもってるわー!」
「ブタブタブタブタ言うな!俺はっ…」
多分その続きは「人間だ!」とでも言いたいんだろうけど、それを言わせてたまるか!
「うるせぇ!ブタにブタ言って何が悪いんだよっ!?お前ブタやん!顔だって思いっきりブタやん!そのうえ、他人のブタになってしまっては完璧にブタやん!お前らもう、ブタ以外何もんでもないやん!ブタ―!」
「言うな!ブタ言うなっ!!」
「おまえもそこで転がってる腐ったブタと一緒に「ふごごごごーっ」ってブタみたいにうなっていればいいじゃん。キャハハハハハーーーーーっ!!」
もう、ここぞとばかりに言いたい放題言ってやった。
「…俺はブタじゃない!」
「残念だけど、あんたのことブタだと思っているのは私だけじゃないの!クラスの女子ほぼ全員あんたらのことはブタコンビ呼んでるの!」
そうさっきは私からどう思われようがどうでもいいとか言ってはいたが、そもそもこいつらのことをブタ扱いしているのは近松や私だけでなく、クラスの女子のほとんどがこいつらのことは陰でブタコンビと呼んでいる。
そればかりは嘘ではない!
その事実は一応、なるべく使うまいと思ったが、このブタコンビの自分らの立場の勘違いぶりにあまりにも呆れたので、今回ばかりは遠慮なく使わせてもらった。
「………じゃない…」
「えー?何言った?聞こえなーい♪」
「………」
「だいたいさ、お前らってさ、女一人に複数で攻撃して恥ずかしくないの!?クソだッさー♪」
「…」
「なぁに?結局おまえ一匹じゃ、なーんもできないんだ。さすがブタ!人間やめると一人じゃ何もできなくなるんだねー。」
私もかなり調子に乗り過ぎたかもしれないが、人間よりか知能はないと思われるブタにも、人間とブタの違いを判らせてやるにはここまでやらないとブタは判ってくれないだろうと思った。
私もこの数年でかなり意地悪くなった。
言っておくが意地悪必勝法を教えてくれたのは、言うまでもなく私を先にいじめてきたこいつらである。
まさに因果応報である。
まぁ私の意地悪なんか、やっぱりたがが知れてるけど、それでも今回はブタ相手にだったけど頑張ってみた。
でもまぁ正直なところもうこいつらの相手をするのは限界だ。
はっきり言ってこの場にはもういたくないし、これ以上ブタの顔を見ているのも精神衛生上よくないとまで思えてきた。
そしたらその時、ブタは最後に何を言ってきたかといえば…
「いいかげんにしろ!ブス!」
ブスだって?
なんか定番だなともった瞬間だった…
いつの間にか、目の前から嶋田の姿は消えていた。
「おまえがいいかげんにしろ!ブタっ!」
と私がやけくそになって嶋田に向かって言ったと思ったら、
「ひぃっ!」
という声が聞こえてきた。
自分がしっかり目を見開いてみると、自分が啖呵きっていた相手はなぜか由利だった。
「え?」
まさか、口を開けはイヤな事しか言わないあの由利が「ひぃ」とか言うなんて…
と気が付いたときには目の前に由利と千絵子と香寿美がいた。
由利はビビったまま、顔をこっちには向けずにいたが、千絵子と香寿美の二人は。まさか私がいきなり由利に啖呵きっていたことには驚いていた。
「えっと…?」
私も意味不明だった。
ただ判ることは、ああまたか…ということぐらい。
以前にも同じようなことが数回あった。目の前で起きていたこととは全く違う状況になっていたり、周りにイヤな奴がいっぱいいた思ったらいきなり、全然知らない人と喋っていることになっていたり状況は様々だが、とにかく自分のいた場所とは全然違う場所にいたりしたことがあった。
その時は、何とかごまかしようがあった状況だったかもしれない。だけど今回、完全に人が見ている瞬間にこうなったのでごまかしようがない…。さて、どうごまかそう…。




