友達だって、顔で選ぶのは常識です (築 里奈)
お昼放課の校舎裏。
この学校の校舎裏は、なぜか人が集まりにくい場所だ。
4人の女子がそこに集まっていた。
益井千恵子、水野由利、近藤香寿美、築里奈の4人だ。
「どうするのよ?」
この中でも益井千恵子はカンカンに怒ってる。
それもそうだ。彼女は昨日、無理やり呼び出されたらしく、あんなめんどうくさい事に巻き込まれ、結局自分が一番指揮をとることになってしまって、その挙句、約束した翌日にそのうちの約半数がバックレたのだから。
「…」
誰も言葉が出ない。
そんなこと言われたって私だって、香寿美から巻き込まれた身だ。
それも、自分が遠くまで遊びに行くからそれがこわくて、たまたま家が近所に住んでいる私を誘っただけだ。ホント毎度身勝手な理由だ。
そのせいで、私はめちゃくちゃ怖い思いをした。
ほっんと香寿美が絡むと大抵はろくなことがない。
どちらにしても私はもう勘弁してほしかった。
あんなの二度と参加したくない。
香寿美はずるいことに自分が嫌なことは誰かに擦り付けてまで自分はそのイヤなことから逃れようとするところがある。
今回だってそうだ。おそらく香寿美はそっくりさんをやるということは事前に知っていたんだと思う。だから私を無理やり連れて行って、私を差し出したんだっということはイヤというほど判る。
もう昨日はついたとたん、すでに揃っていたメンツを見てすぐにイヤな予感しかなかったもん。
それでいて昨日、失敗したからってもう一度やり直し?
冗談じゃない!
あの時は私だって、早く終わって早く帰りたかったから、千絵子の言ったことに即返してしまったけど、今となっては昨日と同じことをもう一度やる気力すらない。
もし、やり直すにしても…
「私コインだけはもうやりたくない!」
と今回ばかりはきっぱり言ってしまった。
そうここできっぱり言わないとまた昨日のようなことになる。
「そんなの私だってやりたくないわよ。」
「そうよそうよ!」
由利も香寿美も口々に自分勝手なことを言う。
さすが二人とも、クラスでは意地悪グループと他の女子の間で陰で言われているグループに入っているだけのことはある。
自己中自分勝手は当たり前ってか?
これだから、ブスは性格も悪いんだよな。
ほんっとブスと関わっているとブスがうつりそうでイヤだ。
これはホント小2の時に悟って以来、友達ですら顔で選ぶようになった。
小2の時、一応つるんでいたのが杉原みちると毛受 彩。
みちるはケチで強欲で厚かましくて、自分はブスなくせにホント人には完璧を求めるイヤな女。おまけにクラスメートでみちる本人目線、好感目線を持っている人が誰もいないんじゃないか?と思うぐらい人のことを悪くしか言わないのでうんざりしていた。
彩の方は名前に反してじめじめして暗くて、その上自意識過剰で「ヤダぁ―あの男子ずっと私のこと見てくる―気持ち悪―」とか「帰りの方向が一緒の子で、クラス違ううのにずっと私たちにくっついてくる子がいて困る―」など、とにかく何かにつけて「やだぁーやだぁーやだぁー」の口癖がしょっちゅう言っている子だった。
私はその帰り道にくっついてくる子がいて困ると言っていた子がその奥宮香理だった。でその香理本人と5年になって一緒のクラスになったので、一応話だけを聞いてみると、
「私、同じ通学路を行く同い年の女の子が少なくて、誰も一緒に帰る子がいないから、せめて途中まででもいいから、5メートルぐらい近くに女の子がいてくれたら心強いなと思って…。」
という理由だった。
それも
「一応、3年生の時から黒島さんと同じクラスで、一応声がけしたんだけど、すごい勢いで逃げられちゃったんだ。私は同じクラスの女子同士協力し合いたいと思っただけなのに…。」
どうもそれがあったせいで、奥宮香理は全然違うクラスで関係ないが、それでも彩に少しだけ頼っただけらしい。おまけに彩はまたとんでもないことに…
「それもさ、日曜日の塾の帰りに毛受さん見かけたんだけどさ、そのあとすぐ自分の弟使ってまでミカンぶつけてきてさ、あの子ほんと信じられない。あの通学路メンバーでは少しはまともな子だと信じてたのに…。」
結構不憫な子だなーと新学期早々に思った。
小学生で家が同じ方向に帰る子が全くいないのはホントきつい。
さすがに両者ともにそれはひどいよな。
でもまぁ香理とは一緒に帰りたくない気持ちも判らんでもない。
さすがにクラスのいじめられっ子という、カースト順位最下位の人物なんかと一緒にいたくはないんだろうね。
でもまぁいじめられっ子いうものはなぜか、何も知らない他所のクラスの子にまで何となくオーラ一つでそれがバレてしまうものなんだよなー。だから彩も嫌がったのかもしれない。
さすがブスだ。性格悪い!
あの美由貴は器用で何でもできる子かもしれないけど、顔はブスだ。ホントに見た感じだけでもグリム童話の魔法使いのおばあさんを若くした感じの意地が悪そうな顔をしているのは判る。なので性格もブスだ。
でも実力だけはあるので、ブスでも嫁の貰い手なくても生きていけるタイプだろうなとは思う。
まぁ彩とはあれからクラスが判れてしまったし、家が遠かったんであれっきり別れてしまったけど、さすがにあれは彩が自意識過剰すぎるとしか言いようがないわー。
おまけに実際、彩のことが好きだという男子がいたという噂も全く聞いたことがない。
あんな他人のことを全否定しかできないような二人とあの時はよく付き合っていられたなと我ながら思う。
だからブスは嫌いだ。
とか何とか思っている私も明日は我が身なのは判っているのでいじめられっ子なんかにかまっている余裕はありません。確かに最初のうちだけは香理と喋っていたけど、香理と喋っていると不利になることが分かった時点で速攻で手のひら返して逃げたから、あまり人の事は言えない。
でも仕方のないことだ!か弱い私にそれ以上何ができるか?と聞かれれば何もできないでしょ?そりゃ。
で他人のことをそこまでブスだとたとえ心の声だとしても言えてしまうあんたは何者なの?
とここで疑問に思っている人も多いと思う。
ご想像の通り私はといえば自分で言うのはなんだが、かわいいと思っている。
一応、クラスのかわい子四天王には入ってると言われているから別に少しぐらいは調子に乗ってもいいでしょ?
だからこそ、私がぶりっ子キャラでも誰も文句は言えないでいるのは判る。
それもかわいい子だけができる特権なのだ。
だから、私はこのかわいいことを特権として、絶対にコイン担当はやらない!
絶対に避けてみせる!
「あのさ、里奈ちゃん。」
千絵子の声で我に返る。
「昨日、あんなことが起きてしまったばかりで悪いけどさ、私もイヤなんだわ。
勝手なこと言わないでくれる?」
千絵子にしては落ち着いたいい方で、私の意見は却下されてしまった。
しかしここで負けてはいられない。
「でも、もう私イヤなのよ…。(つд⊂)エーン。」
必殺泣き落とし作戦。
これで動かなかった奴はいないってわけではないけど、かなりの高確率でうまくいったことがある。
「はぁ…」
千絵子はため息をついていた。
「あのさ…」
もう、このまま呆れを通り越して見逃してほしい。
「いいかげんにしろ!ブス!」
と言われて…ハッと気が付いたときには…




