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委員長の苦悩な日々 (勝島宏樹)

こんなカオス状態で勝島宏樹は…



「おい!話を聞けって!」



あの後も勝島は結構根気強く、一生懸命これからしなければいけないことを必死で話していたが、クラス中のほとんどは勝島の話をまともに耳を傾ける者はいなかった。


ただでさえ担任堀由美子が不在な日であるのに、それに付け加え女子のクラス委員である尾高美知子は本日欠席である有様。


そして、こんなふざけたクラスを何とかまともな方向へ向けることができそうな男柳生孝昌はといえば…



「ああさっき、教頭先生に呼び出されて連れていかれた」



とこのクラスで唯一柳生と友好的である藤原に聞いてみたら、結局最後の砦すら不在という有様。

そしてその藤原本人も柳生がいない今、ただのムードメーカーとなっていて、クラスの主流派グループの話題の渦に巻き込まれていて、とてもじゃないけど藤原ですら使える状態ではなかった。


まさにクラスはカオス状態だった。



俺って実はこんなにも人望がない奴だったんか?

改めて思い知らされて、もう呆然とするしかなかった。


おそらく今、この教室内で俺がまともに扱える奴は誰もいない言うことは今になってよく判った。近松もめんどくさい奴だが、一応いるだけマシという事なのだろうか?まぁあいつは奥宮一人を標的にしてるだけで、他には特に害はないからな。全員一丸となって標的一人を攻撃していれば、自然とまとまりのあるクラスになるのか?という結果論が俺の中で今出た。我ながらゲスすぎる最低な思考とは思うが、どう考えても俺だって、その標的になるのだけは勘弁だ。


非情ではあるが生きていく上では犠牲はつきもの。



少し前に柳生に似たようなことを相談したことがある。

そしたら、柳生は



「おなご一人をタコ殴りして犠牲にしたんか?お前マジないわ。情けない。」



とまでいわれてまった。


まぁそこはその犠牲が奥宮という名前を最後まで出さなかった故に俺も思ったんだが、



そういうお前だって、結局のところは奥宮を犠牲にしてるじゃないか―――!



と言い返してやりたくもなった。


が冷静にあいつの行動を見てみると、あいつはそれでもその奥宮も含めて、どの女子にも態度変えずに接しているので、やっぱり俺はあいつにだけは文句が言えないのだ。


俺だって、いじめは間違っていると言いたいさ。


でも、どうしてもあの近松には逆らえない何かがあるんだよな。

というか、なーんも実力も取り柄もない奥宮より、断然運動神経がよくて際立って足が早い近松の方が使えるんだから、ここはどう考えても使える方に人間媚を売るのは仕方のないことかもしれない。多分誰も近松に逆らえない理由の一つで俺が思い当たるのはそれである。


多分、ここから分析するに近松は奥宮が運動ができないから、イラついているんだと思う。


当然、奥宮より足の遅い女子は3・4人ぐらいはいるとこれまたクラスで一番足が早い女子の高須雅から聞いたことがある。しかし近松本人が奥宮ばかりを標的にして、いつも奥宮を見えてないため、近松もそれが誰であるかなど全く興味ないので、未だに表立ってないだけだろうな。


そんなもん人それぞれ得意不得意があるんだから仕方なくね?

そりゃ奥宮は何をやっても不得意ばかりな奴だけどさ、何もわざわざバイキン扱いする必要はなくね? 近松はどう見ても奥宮を排除しようと必死にしか見えないけど、わざわざ排除する必要あるか?それも女相手だぞ?



さっきは近松のことを統率力あるみたいな存在と一瞬でも認めてしまったが、


それ考えると近松のことがこのクラスで一番情けない奴思えてきた。


その近松に便乗して、明らかに弱そうな女一人をタコ殴りするかのようにいじめをする奴もやっぱり情けない奴でしかない。


そしてそんな近松のことをすごい奴だと認めてしまった俺も情けない奴だ。

ホント情けない…。



と俺は本音としては俺はそう思える。

正直、俺だって柳生みたいに奥宮にしろ、近松にしろ、他の奴にしろ、必要な時だけ適当に接するというスタンスを取りたいのだよな。そして自分がホントに心を許した存在とだけ仲良くするというのが、俺が思い描いている小学生ライフだ。


だから、俺はどうしても柳生みたいになりたくて、思い切って柳生に相談はしたんだ。だが答えは無情にも


「悪いが俺はそういう卑怯なことは嫌いだ。その罪をどう償うかはお前が考えろ!おやすみ。」


こんな感じだった。


なんか修学旅行はまぁあえて近松班の全員離れて、柳生たちと組んで班長になってまで夜に相談したのに何も参考にならずで。結局、モヤモヤばかりが残って修学旅行はあまり楽しいものじゃなかったなー。まぁ藤原がいろいろ空気読んで盛り上げてはくれたから、楽しくはなったけどさ。


どちらにしても小学6年生とは大人になりたい時期でもあり、うまいこと大人になれない時期でもあるのだ。



まぁ正直な話。

俺は奥宮のことも近松のことも正直どうでもいい。まぁどちらか言えば、どうでもいいと思えるようになりたい。いちいち奥宮を見るたびに「気持ち悪い」だの「近寄るな」だの「バイキン臭い」だの、面倒くさいから言いたくもない。



だがしかし、周りがしている事と同じことを言わないと、いつ自分が明日は我が身となるかもしれないと考えると面倒くさくても言わざる得ないのだ。

こればかりは俺が無事に学校生活を過ごすためには仕方のないことなのだ。

そこで少しでも手を抜いてることがバレると「おまえ、奥宮のことが好きなんじゃないかー?」という奴が男女問わず出てくる。そうなったら最後、ホントに収集つかなくなるのは目に見えている。だから、あえて言うしかないんだ。いくら俺が学級委員に選ばれる立場であっても、その拒否権は俺にはない。ホント情けない話だ。



だから奥宮ごめん…。



大人になって金と気持ちに余裕ができて、あいつらとは一切関わり合いにならなくなって、偶然お前に再会することがあったなら、高級料亭の和定食だろうが、フランス料理のフルコースだろうが、超特大のジャンボパフェだろうが、何でもおごるから今は何とか耐えてくれ! とさえ思っている。


我ながらガキくさい思考な償いだよなーとは思う。

本来なら、そんなことで罪は消えないことだって判っている。


だが今の俺がこの先、奥宮にできる償いといえば、それぐらいしか思いつかなかった。



そこへチャイムが鳴る。



結局、俺は2週間後に行われる運動会のことを4時間目までに話し合うことができなかった。



本来なら、ここでみんなをまとめていく立場なのに何もできなかった…。


俺はホント、何一つできない情けない人間だ…。



俺だって柳生みたいな男になりたい。


俺だって強くなりたい。


さて、これまでのいきさつをチェックするために「#」マークを付けました。


#    →  これまでの話に名前だけが出てきた人物

##   →  これまでの話に名前が出てきており、セリフが一言でもあった人物

###  →  これまでの話に一度でも語り手を担った人物

        当然名前も出たことがあり、セリフが一言でもあった人物




01 会澤 克之 あいざわ かつゆき  

02 荒谷 郡二 あらたに ぐんじ   

03 石原 鈴子 いしはら すずこ   

04 樹 映理奈 いつき えりな    ##

05 稲冨 子々 いなとみ ねね    

06 植村 幾己 うえむら いくみ   

07 奥宮 香理 おくみや かおり   ###

08 小津 義彦 おづ よしひこ    ##

09 尾高 美知子 おだか みちこ   ###

10 勝島 宏樹 かつしま ひろき   ###

11 加藤 清高 かとう きよたか   

12 神子 三果 かみね みか     ##

13 築 里奈 きずき りな      ##

14 木田 奈江 きた なえ      ###

15 栗田 恵子 くりた けいこ    

16 黒島 美由貴 くろしま みゆき  #

17 兼松 かつき けんまつ かつき  

18 小峰 留美子 こみね るみこ   

19 近藤 香寿美 こんどう かすみ  ##

20 子安 英明 こやす ひであき   

21 左近 創 さこん はじめ     #

22 嶋田 教平 しまだ きょうへい  #

23 杉村 規世 すぎむら きよ    ##

24 鈴木 由香 すずき ゆうか    

25 千賀 真穂 せんが まほ     ##

26 田岡 篤 たおか あつし     

27 高須 雅 たかす みやび     #

28 宅 幹一 たく かんいち

29 田代 直文 たしろ なおふみ   

30 近松 直也 ちかまつ なおや   ###

31 都道 健三 つどう けんぞう   

32 西垣 数 にしがき すう     

33 福田 寛也 ふくだ ひろや    

34 藤田 正雄 ふじた まさお    

35 藤原 巽 ふじわら たつみ    ##

36 星川 優 ほしかわ すぐる    #

37 益井 千絵子 ますい ちえこ   ###

38 三木 美鈴 みき みすず     

39 水野 由利 みずの ゆり     ##

40 村木 さゆり むらき さゆり   ###

41 谷神 康一 谷神 こういち    

42 柳生 孝昌 やぎゅう たかまさ  ###

43 山浦 淑恵 やまうら よしえ   


担任 堀 由美子 ほり ゆみこ    #


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