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暗いクラスになった原因とは…(奥宮香理)

翌朝の学校



6年4組は、うまくいけばほとんど学級閉鎖になることが期待できそうなほどの出席率であった。

いろいろあり過ぎたせいか、担任の堀由美子先生も来ることはなく、授業は自習となった。




「どうするのよ!!?これ!?」




教室内で一番落ち着きがないのは千絵子だった。


昨日の件について、学校についたら聞いてみようと思ったけど、これではとてもじゃないけど、聞ける状態ではない。

もしここで、下手に話しかけでもしたら、なんかすごく嫌なことに巻き込まれそうな気がする。


まぁ事情はどうであれ、本日の出席状況といえば。


樹 映理奈、尾高 美知子、神子 三果、木田 奈江、杉村 規世、近松 直也、左近 創、星川 優、村木 さゆり以上9名が欠席だった。


聞いている限り、昨日神社の近くであったメンツがほとんどだった。



千絵子と里奈と香寿美と由利は


「あいつら逃げた」


だの


「ずる休みだよ。あの子ら。」


と詳しいことはよく判らないが、昨日神社にいたと思われるメンツは口々に不満ばかりを言っていた。


どうやら、欠席者の中でも正式に体調不良等の届け出があったのは星川と左近とさゆりだけだったらしい。いや正式にというか、表向きは誰もが納得できる事情が公表できる欠席者はこの3人だけだと聞いた。他の人は届け出がなかったり、なぜか欠席理由を伏せられていた。



だから昨日、彼女らと何等か関係があった千絵子たちから、ずる休み呼ばわりされても仕方がないとさえ思う。



この事に関して今すぐにでも、孝昌と話したいところだがここは学校なので、ぐっと我慢をしている。

孝昌の方を見ると孝昌の方もまた、私を話をしたいと思っているのか?チラチラとこっちを見ていることが判る。



ただ本日、一番ボーナスラッキーデーであることはクラスの誰もが思っていた。



欠席者が多い中に、あのクラスのカースト頂点に君臨している近松がいるということ。

こいつはクラスのカースト一位でもあるが、それと同時にいじめの主犯格でもあるので、このクラスの空気を悪くしている諸悪の根源でもあったりするのだ。



それは誰もが承知な出来事であり、今日ぐらいは自由にみんな行動すればいいかと思うが、そうもいかない。


その原因を作っているのが、近松グループに所属している小津義彦のせいである。



こいつ一人がいるせいで、このクラスはたとえ近松本人が休もうといじめの主犯格グループメンツが半分以上休もうと、このクラスは近松グループの影響抜きで、勝手に楽しくやることは禁じられているようなものなのだ。



この小津義彦が何者かといえば、ただのチビデブだ。



あの近松グループに属するただのチビデブであり、サブリーダーでもなければ何等か特別な特技があるわけでもない。むしろ、近松グループの中でも末席に近い奴だ。

外見だってあの国民的アニメ「ちびまぁこちゃん」の登場人物であるブー太そっくりなチビブタみたいな容姿であり、イケメンでもなければ威厳がある言うわけでもない。


え?ならなんでこんなチビデブごときにビビってるわけ?


と誰もが疑問に思うかもしれないが、こいつは近松の犬なのである。誰かがなんらか少しでも近松の悪口を言ったとするなら、速攻で近松に言いつける密告係担当なのである。こいつと相方の嶋田教平とコンビを組んで全部密告するのだ。


こいつらさえ、いちいち密告さえしなければ、このクラスは近松が休めば誰もが笑顔でいられて平和なはずなのだ。だが、こいつらのくだらない裏切りのせいでこのクラスの空気は年中無休と言っていいほど、おかしくなっているのだ。普段のこのクラスのほとんどの者が表面的には、近松を取り繕うための仮面をかぶり、心境的には近松のせいで気持ちを殺しているためにお通夜な状態でしかないのだ。


クラスの権力者によってクラスの雰囲気が変わるのがスクールカースト。


クラスの頂点に立つものがただの暴君だとホント教室の空気が悪くなる。

それに付け加え、そのクラスの担任の指導力が足りないとクラスの雰囲気は全部子ども任せになるゆえに無法地帯と化す。


うちのクラスの担任堀由美子がまさにそれ。


根が子供の学力だけ重視主義のため、基本子供には無関心なので、担任がいない間はホントに無法地帯になる。子供同士のけんかやいじめにだって、まともに関与することはほぼない。



だからこそ、小津のような奴が存在ができるのだ。

実はさっきまで小津のことを悪く言っていたが、小津は去年の夏休みに事故で両親を亡くしている。今はたまたま同じ学区内にある親戚のところでお世話になっているらしい。

その後かは判らないが、去年の9月の半ばごろに、小津が学校へ再度通いだした日。

小津を見て思ったんだが、1学期とは雰囲気や表情が何となく変わっていた気がした。

1学期の時はおっとりした感じで、私でも適当に放置しておけば何も害はなかった子だった。その時期ぐらいから、いきなり近松たちとつるみだし表情が意地悪くなって、私に攻撃するようになった。そして今の小津の性格はまるで、先ほども紹介したアニメに出てくる玉ねぎ頭の「ネギ沢君」みたいに陰湿で厭味ったらしい性格となっていった。


多分だが、今までは自分を守ってくれた親がいきなりい亡くなった事で、自分の身は自分で守るしかないと小津も気づいたうえでの行動だと思う。より強い相手とつるむという手段を取ったんだとクラスの誰もがそう思えるほど、その態度はあからさまだった。


それ故に多くのクラスメートたちは、小津のことは誰もが遠慮して適当に受け流して、近松の存在に毎日おびえながら生活せざる得ない状況なのだ。だから誰も小津の行動には誰も文句は言えないのだ。


何一つ取り柄がないどころか、マイナスでしかない子が親なしで生きていくいうのは、何かを捨てないといけなくなるのがこの例だ。多分、小津はわずか10歳という身空で、本来人としてあるべき「人の心」を捨てざる得なかった心境にまで追い込まれたのだろう。



そして、さらに卑怯な奴は1学期の頃から、ずっと小津と仲が良い嶋田教平だ。



こいつも何者かといえば、図体ばかりがデカいただのデブだ。



よってこの二人は女子の間では「ブタコンビ」と言われている。


酷い言われようだと思われるかもだが一応事情はある。


二人ともブタみたいな容姿をしていて、さっきの近松事情でこの二人がうざいと思っている女子はかなりいるため、問答無用でそんなあだ名をつけられたのである。


小津と同じく嶋田だってなんも取り柄がないただのデブだ。


まぁ嶋田も嶋田で、そんな境遇な小津と仲良くしているのはいいが、実はこいつそんな小津のやり方に便乗して小津とタッグを組み、近松に密告する担当になって、クラスの一軍グループである近松グループに滑り込みで入ることができた人物なのである。


嶋田はほとんど小津のおこぼれで、とりえもなくクラスの一軍に入れたというのに、図に乗っているデブがゆえに嫌っている奴も多い。


まぁどちらにしてもデブが輝けるときって所詮この時期までで、それ以降はデブを卒業しない限り陽の目を見ることはまずない。だからクラスメートのほとんどが、こいつら二人をまともに相手にしていないのはさすがに判る。


クラスメートのほとんどは小津に同情して適当に受け流しているだけなのだ。



まぁそんなわけで我がクラスは近松が原因で、誰もがホントの笑顔で過ごすことができない残念なクラスであることは間違いなかろう。クラス目標や学級歌や学級通信には「明るいクラス」というフレームがしつこいぐらいに使われているが、はっきり言ってこのクラスは闇だらけの暗いクラスだ。


何せ去年の9月の中頃で小津が学校に復帰して、近松がたまたま休んだ日があったのだが、その日はクラスの雰囲気が違っていた。誰もがいつもより生き生きしていた日があったのだ。

そして近松が三日ぐらいは休むという予定があったので次の日も朝に近松がいなかったので、同じノリでいたのだが、なんかみんな昨日とは様子が違って、教室の雰囲気が暗かった。



「ひそひそひそひそ」


「………直也がいないからって…あいつ明らかに調子に乗ってるよな…。」


聞こえてきたのは、そういうひそひそ話だった。



「てか、俺たちだってイヤなのにな…。」


「別にいいじゃんかー、あのバイキン女似も判らせてやれば―…。」


「…しっ!聞かれる!誰が直也にチクったんか判らんのだぞ!」


という話声が聞こえてきた。



どうやら昨日、近松がいなかった時のクラスの様子をわざわざ近松の家に電話をかけてまで近松に密告した奴がいる言う事が判った。



だれなんだよ!?そいつは?



とその時。誰もが「もし、見つけたら次はそいつ標的にしようぜ!」とかいう声も聞こえてくるぐらいな状況だった。



この時ばかりは、風向きがいい方向に向いてきたと思った。

だが。そんなには甘くはなかった。

なんと近松は三日は休む予定だったが、その日には病院が終わった後にすぐ学校に来た。


その時の近松はすごい形相で私をにらみつけてきた。



明らかに


「お前(奥宮香理)を心から笑顔にしてたまるか!」



と言わんばかりな勢いで私をにらんできた。



もうあの時の近松の顔はまるで人間ではない悪意ある何かのような恐ろしい顔をしていた。


その時私はすごい驚きはしたが、あとで冷静に考えてみれば、


「ああ、ああいう顔をしていれば、誰から見てもただの腫れものであり、人間扱いされないのも当然だよな。あれじゃ化け物だ。気持ちわるーw」


とさえ思えていたので、翌日にはケロッとしていた。


その態度がまた近松にとって癪にさわったのか、近松は暴力までふるってくるようなった。そしてさすがにそこからまた私から笑顔は消えた。

男はずるい!暴力さえ振るえば何でも思い通りだもんな!うちのクソオヤジにしろ!クラスの男子にしろ!最終的には暴力に頼れば勝てるのはホントずるい!


この日ほど女で産まれてきたことで後悔した日はなかった。



そう思いながらも、私の次に標的になる奴に期待していた。意地が悪い考えだが。私にはもうそれに擦り付ける道しか残されていない。いったい誰なんだろ?と私もそいつが標的いつ標的になってくれるんだろ?と待っていただけだった、その考えが甘かった。


そう、それが小津だった。


結果的に誰もが納得していなかったが、今誰もが同情するべき人物小津だったので、仕方なく私以外の誰もがそれを受け入れることしかできないのであった。


そしてその後

クラスの後ろに飾られる近松の自分目標の紙には


「絶対に学校を休まない!」


と毎回書くことになり、クラス全員が絶望の毎日しか来なくなるのであった。


おそらく近松は自分が学校を休むことによって、私が調子に乗ることを全力で阻止したかったんだろう。


それが私だけでなく、クラス全員の心からの笑顔を奪うことになっていて、ほとんどのクラスメートから恨まれてることを知らずに…。


そして近松が学校へ来ることで喜んでいるのは、


近松のことが好きとかいう頭の思考回路がおかしい女か、


近松と同じく負のオーラをまとっている陽キャぶってる実は暗い奴か、


近松の力を骨の髄まで利用している奴か


しかいないのにね。



そんな訳で、このクラスは


雨が降ろうがー、槍が降ろうがー、近松が休もうがー、


実は誰一人として、心から笑顔になれない暗いクラスでしかないのであった。



だが、その近松がこれなくなることにより、また大変なことが起こるのであった。


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