イヤな奴が現れた!
最悪だ。
よりにもよって、奥宮と思いっきり関わっている時にこんな奴に合うなんて…。
「なんでもねぇよ」
てか、早くどっか行け!
「誰だそれ?お前誰背負ってるんだ?」
いくら俺とはいえ、こんな体制でまともに動けれるわけがない。
マジでやべぇ。
「なんだっていいだろ!俺は急ぐんだ!そこどけよ!さっさと帰れ!」
「何怒ってるんだよ?ははーん、さては彼女だなー。お前もすみに置けねぇ。」
近松はからかってきた。
ああもう、この際、近松に背中にいる人物の顔みえてなくてこのまま素通りできるなら、このままやりすごしたかった。背中にいるのが奥宮だとバレないでいるなら、そのあとどうにでも修正はできる。
だから近松、さっさと帰ってくれ!
「顔見せろよ。」
「は?」
なんなんだこいつは!?
「おまえにそんな義理はない!さっさと行け!」
「いやだ!」
なんなんだ?こいつは?マジしつこい!
だからこそ、奥宮に対するいじめを飽きもせず3年間以上もやり続けているんか?
普通スポーツ少年なら、からっとしていてさばさばしているというイメージが世間的にはあるが、やっぱりどう考えてもそれは違う思えてきた。逆に元から運動神経がいいゆえに、他より努力をしたためしがないから、運動ができない奴の気持ちなどさっぱりわからないのだ。そしてなぜか、足の速い男子は小学生女子からはたったそれだけで大人気だ。それが原因でさらに運動神経のいい男子は自信や自己肯定感ばかりが強くなり、調子に乗り出す。まさに俺の頭の中では今その公式が成り立った。
こいつ間違いなく、自分のやる事は絶対的に正しいと思い込んでいる。
おそらく、こいつがこのまま大人しく引き下がることはまずないであろう。
どうする…。
「・・・せない・・・。」
その時後ろから、なんか声がした。
「ん?お前なんか言ったか?」
どうやら、その声は近松にも聞こえたらしい。
多分、声主は奥宮だ。
俺ですら聞き取りにくい小さな声だったはずだが、それが聞こえるとは近松恐るべし。
「…空耳じゃねぇか?」
俺はとっさにごまかしきった、
ところがその願いもむなしく
「許さん!」
ああもう終わった。
「なんだよー。お前の彼女こえぇなぁー」
と思ったら、近松も少しはひるんでくれたようだ。
その時、どこかのサラリーマンらしき二人が通りすがる。
「約束破るなよー」
「ああ」
「三日以内が期限だからなー。」
どうも、金の貸し借りをしていたかのような会話をしながら俺たちの横を素通りしていった。こういう時、赤の他人は誰も助けてくれないのはお約束だ。
しかしこういう時。誰かが通りすがっただけでも時間稼ぎだけはできる。
なのでここは…。
「あ、あのおっさんたち…」
とさっきのサラリーマンたちに近松に目を向けた。
思ったとおり、近松はサラリーマンのおっさんたちの方を向こうとしたとたんに、
俺は逃げた。
ここは何でもいいから逃げるが勝ち!
まぁ仮にこのまま奥宮を家まで送っていくことができなくても、俺のとこの道場までなら逃げ切れるかもしれんのだから。
「待てーーーーーーーーっ!!!」
不意をつかれた近松もさすがに気が付いたらしい。
「地獄の果てまで―――――」
とはいってるものの。すくなくとも近松は俺の道場には絶対に入っては来れないだろう。
あいつは去年問題を起こして、うちの道場へは出禁になっているはずだから。
そんな時、俺は運悪く体制崩して転んでしまった。
俺も反射的に奥宮から手を離してしまって、辛うじて自分の顔面護れた感じで受け身を取りながら転ぶことができた。その奥宮はどうなったかといえば、後ろに尻もちついた感じで座った状態を保っていた。辛うじて頭をぶっている様子はなかった。
万事休す。
結局はあの俊足自慢な近松の足からは逃れることはできなかった。
「おまえら、いいザマだよなー。」
俺も奥宮もすでに立っている余裕すらない状態か。
「素直に顔見せてればいいものをー。バカな奴らだ。」
そういいながら、近松は道にへたり込んでいる奥宮の方へ近づく。




