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鏡餅にみかんを乗せて

作者: 皇 瑠奈

『第3回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』応募作です。

『鏡の悪魔』『月夜の晩の雪だるま』『資産家密室殺人事件~』に続く4本目になります。


この作品、実は『資産家~』の前に初稿は書き終えていたのですが、納得いかなくて数日寝かせていました。

ようやく解決策を思い付き、手を入れて発表の運びになりましたが、如何でしょうか。

心の中に温かい光が灯って下さったら幸いです。

 たぷんたぷん。たぷんたぷん。

 風呂上がりで素っ裸の俺は、鏡を前に腹を揺らしてみた。

 段が出来ている。

 いつからだろう、こんな腹になったのは。

 少なくとも学生時代はもっと痩せていたと思う。


「お風呂出た?晩御飯の用意しちゃうよ?」

「あ、うん。ご飯、少なめにしといて」


 スウェットに着替えた俺がリビングに行くと、既にテーブルの上に料理が並んでいた。

 唐揚げ、フライドポテト、肉団子、餃子、フライ各種。

 揚げ物のオンパレード。

 どう見ても、近所のスーパーで買ったお惣菜だ。


 俺は壁掛け時計を見た。

 残業してきたせいもあって、もう21時を過ぎている。

 揚げ物系のお惣菜をこの時間に食べるのは、どう考えても肥満を促進してしまうだろう。


「飲むでしょ?」

 家内がそう言いながら、缶ビールを持ってくる。

「あ~、飲みたいけど明日も仕事だし。いいや」

「そか、分かった」


「ね、話したいことがあるんだけど」

「奇遇だね。俺も話したいことがあるんだ」

「じゃ、先言って?」

「腹肉が気になってる。そろそろ危険水域だ。揚げ物のお惣菜は勘弁して欲しい」

 家内の動きが止まる。


「ごめんなさい、今日は色々忙しくて」

 うつむく家内。


「忙しい?何があったのさ」


「ここ最近、体調が悪い日が続いてて・・・病院・・・行ってきたの」

 家内の言葉に動きが止まる。

「・・・どこか、悪いのか?」

 嫌な想像が頭をよぎる。


「赤ちゃん、いるって」

 頭の中が一瞬で真っ白になる。

「おおおおお!」

「検査に時間掛かっちゃって、料理作る時間が無くなっちゃった。ごめんなさい」

「いい、いい、そんなの。そっか、赤ちゃんかぁ」


 家内がペン立てから黒のマジックを持ってくる。

 俺のスエットをめくり、腹に葉付きのミカンの落書きをした。

 見事に鏡餅になっている。

「おい、何してくれてんの」


「一段目はあなた。二段目はわたし。そしてみかんは赤ちゃん。あなたには、わたしと赤ちゃんと、二人分の人生が乗ってます。太っても好きだから。頑張ってね、パパ」


 俺は笑いをこらえ、家内をそっと抱きしめた。

二個目の『鏡』になってしまいました。

ごめんなさい。


テーマを元に話を書くって、思った以上に楽しいですね。

1000文字以下の超短編なので思いついたらすぐ書けるし、小説を書き始めてから二ヶ月も経っていないド素人のわたしにとって、『規定文字数内に収めながらも、しっかり話を伝える』というのが、とっても良い勉強になっている気がします。


今回のコンテストの期限は年内いっぱい。

ド素人なので賞を狙うなどと大それたことを考えるつもりはありませんが、期間中、目一杯勉強させてもらうつもりです。

わたしのやってるMMO風に言うと、大晦日まで『write burst!!』って感じですね。


さぁ次は、どのテーマを選ぼっかな♪

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