第六話 兵士長
レオンと兵士長は王室を出て階段を降りる。
「君、ザイホンさんの息子って本当なのか?」
兵士長は突然口を開きレオンにそう問いかける。
「…はい、俺は正真正銘ザイホンの息子です」
「そうか…まさかザイホンさんに息子がいたなんて驚いたよ。ザイホンさんには色々とお世話になったからな…。会えて光栄だ」
そう言うと、兵士長はレオンに向け手を出す。
「…こちらこそ、兵士長さんに会えて光栄です」
レオンは兵士長の手をギュッと握り、二人は少しの間握手を交わした。
「レオン君、君の任務は我々アルハラ軍が全ての力を持って支援する。だが、時には君の命に危険が迫る事もあるだろう。…それでも、この任務を受けるか?断るなら私が王に…」
「いえ、覚悟の上です。どちらにせよ、このままじゃアルハラ王国はグレイモアに侵略されてしまう…。それに、親父に会って確かめたいんです。なぜ国を裏切ったのか…」
「…そうか。君の覚悟、理解したよ。それでは平原の西側にある古の森の前の村に軍の部隊を派遣しておく。そこで兵士達と落ち合って、世界樹へ向かってくれ」
「はい、分かりました」
「外に白い馬がいる。その馬は君にあげよう。平原歩いて移動するのはなかなか骨が折れるからな。今から馬で行けば深夜には村に着くはずだ」
「色々とありがとうございます」
「いいんだよ、これは国の危機でもあるからね。さ、私は部隊を派遣するために一度アルハラ城下の軍本部へ行ってくる。君は外の馬を連れて平原をひたすら西へ進んでくれ」
「はい!」
「期待しているよ、ザイホンさんの息子殿!」
「はい!必ず精霊石を集めて見せます!」
ニコッと笑顔を浮かべ、兵士長は城を出て行った。
「…よし、古の森に急ぐぞ!」
それに続き、レオンも城を飛び出した。
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城の外には、美しくどこか高貴さの漂う白い馬が一頭柵に繋がれていた。
馬には鞍と少しの鞄が付けられており、移動するには最適の装備だった。
「君が兵士長の言ってた馬か。綺麗な馬だなぁ…。これからよろしくな!」
レオンがそう話しかけると、馬はヒヒーン!と大きな声をあげてレオンの顔をベロリと舐めた。
「うわぁ!ちょっと!」
ベロベロと舐められ、レオンの顔は馬のよだれでベトベトになってしまった。
「全く、人懐っこい馬だなぁ…」
レオンは近くにあった噴水で顔を洗い、馬の手綱を持った。
「さ、行こうぜ、古の森へ!」
「ヒヒーン!!」
二人は駆け足で城下町を飛び出して行った。
続く。
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