第五話 精霊石
「3つの精霊石は、光の勇者の秘められし力を解放するための精霊石と言い伝えられておるのじゃ」
「光の勇者の力を…?」
「あぁ。遠い昔…光の勇者と呼ばれた男がおった。その男は世界を闇から救うため、アルハラ王国の神殿に祀られていた3つの精霊石を集めた。すると、男には神々により込められた聖なる光の力が宿り、光の勇者として覚醒した…。そして、聖なる光で邪悪なるものを打ち払い世界を救った。…これが、3つの精霊石に纏わる伝説じゃ」
「聖なる光…」
「うむ。そして…お主の父親ザイホンも、その精霊石の力を使い世界を救ったのじゃ」
「え?親父も…?ってことは…!」
「いかにも。ザイホン…そして、その息子であるお主は光の勇者の末裔なのじゃよ」
「え!?俺と親父が…光の勇者の末裔!?」
「あぁ。過去の光の勇者は神に世界を救うにふさわしい者と認められ力を与えられた…。その力は、お主ら一族にも引き継がれておるのじゃ」
「俺に…光の勇者の力が…?」
「それを解放させるには先程話した3つの精霊石が必要不可欠。そして、グレイモアがそれを狙う理由はおそらく…ザイホンを光の勇者として覚醒させ侵略に利用するためじゃ…!」
「ザイホンを覚醒させる…!?」
「レオンよ、お主に頼みがある。どうか、3つの精霊石をグレイモアから回収し、奴らの手に渡らぬようにしてほしい!」
「え?俺が…ですか?」
「今すでにアルハラは侵略されつつある…。いつ奴らに精霊石を奪われこの国を乗っ取られるかも分からない。今頼れるのは光の勇者の末裔であるお主だけなのじゃ!…もちろん、無理にとは言わん。お主が断るなら、ワシらはお主の意見を尊重しよう」
アルハラ王は深々と頭を下げる。
「あ、頭など下げないで下さい!…アルハラ王、その任務お受けいたします。俺が必ず、3つの精霊石を集めてみせます!」
「ほ、本当か!?」
アルハラ王は驚いた顔を浮かべレオンの方を見る。
どうやら、レオンには断られると思っていたらしい。
「どちらにせよ、俺はザイホンを探すために旅に出たんです。それに…親父が悪に染まったなら息子である俺が責任を取るのは当たり前です。だから、むしろこちらからお願いさせて下さい。俺に、精霊石集めをやらせて下さい!」
今度はレオンが深々と頭を下げる。
「…すまぬな、レオンよ。大人の勝手な戦に巻き込んでしまって。さぁ、顔をあげるのじゃ」
そう言われ、レオンはゆっくりと顔を上げる。
「光の勇者の末裔、レオンよ!お主に王直々の任務を与える!アルハラの各地に安置された精霊石を集め、我が城へ届けてくれ!」
その言葉を聞き、レオンはその場に跪いた。
「王直々の任務、光栄です。必ずや精霊石を集めてこの城に戻って参ります!」
「よし、よく言ってくれた!我がアルハラ軍もお主を全力で支援する。兵士長!」
アルハラ王がそう声をあげると、王室の扉がゆっくりと開く。王室に入ってきたのは金色の鎧を身につけた男だった。
「は、いかが致しましたか?」
「その少年に精霊石集めの任を与えた。全力で支援するように!」
その言葉を聞き、兵士長は少し驚いた顔を浮かべる。
しかし、すぐに敬礼しはっ!と声を上げた。
「して、草の精霊石の場所は?」
「はっ、草の精霊石はアルハラ平原の西部…。古の森の奥地にある世界樹の中に安置されていると」
「世界樹か…よし、レオンよ、アルハラ平原を西に向かい古の森へ向かってくれ!そこに我がアルハラ軍の部隊を派遣しておこう」
「分かりました!」
「よし、それでは頼むぞ…!ザイホンの息子よ!」
王のその言葉を聞き、レオンは王室を後にした。
続く。
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