第三話 アルハラ城へ
レオンはバーを飛び出すと、辺りをキョロキョロとみまわたす。そして大通りへ駆け出しまっすぐ進むと、入り口にあった門と同じ木製の門が目に入った。
「ここが出口か…ここを出てまっすぐって言ってたよな…」
レオンは何の迷いもなくコーリアの街を飛び出していった。
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コーリアの街を出ると、そこには永遠と思えるほど広い平原が広がっていた。
「広いな…こんなに開けた場所があるなんて知らなかった…」
森に囲まれた村で生まれ育ったレオンには、ここまで開けた場所は新鮮に思えた。レオンは平原を見渡し大きく深呼吸する。
「…必ず見つけてやるぞ、親父!!」
そう声をあげ、レオンは走り出した。
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あれからどれほど経っただろう。
レオンは夕暮れに染まる平原をふらふらと歩いていた。
「はぁ、まだつかないぞ…どんだけ遠いんだ…」
レオンは息を切らしながら前を向く。
その時だった。
「…ん?あれは…!」
目の前に聳え立つ巨大な壁。
その奥に見える尖った屋根の建物。
それを見た時、レオンは思わずニヤッと笑顔を浮かべた。
「やったぁ!!やっとアルハラ城下に着いたぞ!!」
レオンはあまりの嬉しさに、アルハラ城下へ向かい走り出す。
よく見ると、アルハラ城下の前には槍を持ち鎧を着た二人の兵が立っていた。
(怖い顔だな…)
レオンが横を通りぬけると、チラッと顔を見られたが特に何も言われる事は無かった。
レオンは少し気まずそうにしながら、アルハラ城下町へと入っていった。
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「うわぁ…すげぇ…」
城下町の門をくぐると、そこは沢山の人で賑わいさまざまな建物が並ぶ巨大な都市だった。
コーリアですら驚いたが、それよりもさらに大きな街の存在にレオンは呆然と当たりを見渡していた。
「そうだ…こんなところでぼーっとしてる場合じゃない!早く王様に会いに行かないと…!」
レオンは改めて街を見渡す。
すると、正面の道の先に巨大な城が聳え立っているのに気がついた。
「あれか…アルハラ城」
レオンはアルハラ城に向かい歩き出した。
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レオンはアルハラ城の下へ立ち、正面の入り口を見る。
そこには、アルハラ城下町の入り口にいたのと同じ鎧を身につけた兵士が二人立っていた。
「あの…王様にお会いしたいんですが…」
レオンは少し緊張しながら2人の兵士に話しかける。
「王様に…?一体何の用かな、少年」
「えっと…王様に聞きたいことがありまして…」
「うーん…それだけの理由ではアルハラ王に合わせる事はできないな」
「あの…俺、ザイホンの息子なんです!それで、ザイホンのことを王様に聞こうと…!」
「え?君があの伝説の勇者ザイホンの息子だって?」
兵士は少し驚いた顔を浮かべ顔を見合わせる。
「あのな、少年。ザイホンに息子がいるなんて聞いたことないぞ。つくならもっとまともな嘘をだな…」
兵士がそう言おうとした時、城の中から誰かが歩いてくるのが見えた。
「ちょっと待ってくれ」
兵士にそう声をかけたのは、白を基調とした派手な装飾の貴族服に身を包んだ若い男だった。
「リアス王子…!」
リアス王子と呼ばれる男は2人の兵士の間を抜け、レオンの前に立つ。
「君、今の話は本当かい?」
「へ?」
「君がザイホンさんの息子だって話さ」
「…は、はい!本当です!俺は正真正銘、ザイホンの息子レオンです!」
リアス王子は少しの間レオンの顔を見つめた後、ニコッと笑顔を浮かべた。
「よし、父上が王の間でお待ちだ。来てくれ」
「リアス王子、通しても良いのですか!?」
「あぁ、これは父上の命だ。君たちは見張りを続けてくれ」
そう言われると、兵士達ははっ!と声を上げ元の位置に戻った。
「さぁ、こっちへ」
「は、はい。失礼します…」
こうして、レオンはアルハラ城へ入ることに成功したのだった。
続く
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