オサムからの刺客
「そんな。ザンサク様のような方がいったい何をされたんですか?」
「何も悪いことはしていないさ。こちとら生きるのに必死だからね。俺のことを気にくわない勇者オサムが俺を指名手配したのさ」
「そんな」とまたスシルタはいい急に泣き崩れる。
「どうした。そんな泣き崩れなくても」
「す、すいません。私が泣いてしまって。辛いのはザンサク様本人でしょうに。ですがザンサク様の今まで歩んできた人生を思うと泣けてしまいました」
「い、いや。泣いてくれるのはありがたいが勝手に俺の人生を想像しないでくれ。それに追放されて全部が悪かったわけじゃないし今にいて思えばいいことだらけさ。それにこうしてスシルタに会うこともできたし」
俺がスシルタに言うとスシルタは頬を赤らめ
「そ、そんなザンサク様。私に惚れているのですか。そんなザンサク様。私、そんな」
「はわわ」と顔を赤らめながらもじもじして体をくねくねとしながらスシルタは「そんなそんな」といってずっとくねくねしている。
「すまないザンサク様。聖女様、スシルタ様は恋愛を禁じられていたので妄想欲がすごいのです。主に恋愛系の」
護衛の1人が俺に申し訳なさそうに説明する。
ふーむ。俺よりそれに付き合う君たちの方が大変だと俺は思うのだが
そう思っているとスシルタの今の状態を説明してくれた護衛の1人が
「スシルタ様はその妄想欲さえなければ本当に尊敬できる方なんですよ。まぁこれもギャップと思えば可愛いものですけどね。聖女だって人間なんですからこれくらいは普通にあっても良いと私は考えています」
護衛と俺がスシルタについて話しているとカムが凄い勢いでこちらに戻って来て
「ザンサク!スシルタ!逃げてください!あそこにいる人達は1人はザンサクを殺すために来た人、もう1人は帝国から来たスシルタのおってです!」
カムが俺とスシルタ、護衛の2人に言うと護衛の1人が
「なんで私達が王国に逃げると予想されたんだ!くそ!ザンサク様!一度別々に逃げましょう!運が良ければまたこちらでお会いしましょう!」
護衛の1人が俺に言うと俺は「了解!」と返事をし、俺は囮になって隠れていた木の近く茂みから姿を現すと王国入り口前にいた1人がゆっくりとこちらに近づいてくる。
俺はリュックから拘束の鎖を取り出し待機、カムは剣を抜いて身構える。
俺たちに向けて歩いてくる両手に手袋をした男の青年は
「おやおやカムさん。なぜそちらの指名手配側にいるのですか?先ほどと話が違いますよ」
「は!私はもともとザンサクの味方。あなたみたいな変な人と一緒にザンサクを探して殺そうとか思いませんよ。むしろあなたを斬ってあげるわ」
俺は地面に転がる石ころを投げた後、男に俺を追わせるように誘導した。




