残念なバステア
「バステア。もう勝敗は見えてる。馬鹿なことはやめろ」
俺がバステアに言うとバステアは
「あ?勝敗は、見えてる、だ?なんで、そんなこと、言えるんだ?」
「そりゃお前がさっきカムに斬られた傷を見ればお前の負けはわかるし、それにカムの持つ剣は自動追尾型魔法剣ストレアと言ってな。この世に10本ほどしかないと言われている魔法剣なんだぞ。お前のスキルだろうが実力だろうが勝つのは無理だ諦めろ」
「ふざけんじゃ、ねぇ。このくらいの傷、俺の、スキルで」
バステアはスキルで傷口を塞いだのか禍々しい剣のつかの部分がバステアの腹の傷口を止血する。
「は、はぁはぁ。これで、どうだ。はぁはぁ。だてに剣聖は、名乗っちゃ、いねぇん、だよ!」
バステアはまたカムに斬りかかるが、先程までの威勢の良さはなくカムがこちらに視線を送る。俺は「楽にしてやれ」という目でサインを送るとカムはバステアの禍々しい魔力の剣を破壊する。
「こ、こんなこと、が。こんなことがあってたまる、か!俺は勇者パーティーの、剣士、剣聖とまで呼ばれた男、バステア様だぞ!」
「もういい。そら、こいつを飲め」
俺はバステアにポーションを飲ませ、カムには「ストレアを渡してくれ」と言い、ストレアを受け取る。
「ふ。借りのつもりか?言っておくが俺は一切お前に礼など言わないし、負けてもいない!わかったか!」
「はいはいわかったわかった。面倒だから早く帰れ」
俺はバステアに言うとバステアは俺たちの前から帰っていく。
「どうしますか?ザンサク。スライム全然倒せてませんけど」
「そうだ、なぁ。今回は諦めるか。とりあえずギルドに戻ってリタイア報告してミナギの武具店に戻るか」
俺とカムも帰り支度をしてガルダラスの森からアワステルン王国に戻る。結局スライムは一体も狩ることができなかった。
俺たちが王国に戻りギルドに戻るとまたギルドの中が騒がしかった。
「はぁ。オサム達はいちいち騒いでないと生きていられないのか全く」
俺はギルドの中に入るとギルドの中ではバステアが地面で倒れオサムはバステアに何度もきりかかっていた。
「おい。たてよ。なんちゃって剣聖。荷物持ち如きに負け、更には傷まで治してもらいやがって」
「な、なんのことだよ。勇者様、俺は負けてない、ぞ」
「残念だがあの場にはひっそり俺たちの新しいパーティーメンバーを残しておいたんだよ。こい!」
オサムの後ろ側に座っていた女がオサムに近づく。
「この女は俺たちの新しいメンバー。あの荷物持ちの代わり、奴隷のメムスだ。メムス、バステアはボコボコにされていたんだな?」
「はい。彼はスキルを使っても荷物持ちと言われていた男にやられていました」
「っ!奴隷風情が!嘘をつくなや!」
バステアは剣を抜いてメムスに斬りかかった。




