ザンサクの持つ武器
023
「た、頼む!なぁ頼むよ!わいが悪かった!だから勇者様やバステア様の前にさらすのだけは辞めてくれ!頼む!」
俺がガルダラスの森でひきずりながらアワステルン王国のギルドに向かっている間筋肉男がうざいくらいに俺に頼み込む。
「何で俺がお前の言うことを聞かないとだめなんだ?いい加減腹を括ってあいつらに謝る練習か言葉でも考えておくんだな」
「本当に頼むよ!武具店のやつのことなら本当に悪かった。あいつの前でちゃんと謝るしあんたの奴隷になってもいい。だからこんな無様な姿で勇者様達の前にさらすのだけはやめてくれ!それだけで足りないなら金でも何でも出すからよー!」
何なんだ?なぜこんなにこいつはオサム達の前にこのしゅうたいをさらされるのを極端に嫌がるんだ?なぜだ?
俺は途中から筋肉男の話を無視して考え込みながら歩いていると王国の前で魔物、ウルフの群れに襲われる。
「こういう時に出てこないでほしいもんだなと」
俺は筋肉男をひきずるのをやめ、リュックを下ろして現れた魔物、ウルフの群れに対し、ある武器を取り出し、
「くらえ。自動追尾型魔法剣・ストレア!」
自動追尾型魔法剣ストレアをリュックから出してウルフの群れに対し向ける。
「じ、自動追尾型の剣!な、何でお前がそんなすごい剣を!」
「ほう。流石に自動追尾型魔法剣は知っているのか」
「当たり前だ!自動追尾型の剣はそれによって効果は違うが一本でも金貨30枚はくだらないぞ!」
「知り合いにいい人がいてね。譲ってもらったんだよ」
自動追尾型の剣とは筋肉男の言う通り剣によって効果は違う。俺の持つ魔法剣ストレアは普通は自動追尾型には魔力を込めて使うのだがストレアには魔力をストックしておけば剣を抜いただけで使用することができる。そしてストレアの特性は魔物気配を感じ取り全てを細かく斬殺するという特性だ。剣が魔物の気配を感じなくなれば自動で俺のもとに帰ってくる。まさに俺のように武器が装備できないやつのためにあるような武器だ。
「こ、こんなやつにわいは勝負を挑んだりバカにしたりしていたの、か?しかしなんで、なら何であんたは勇者様のパーティーを」
筋肉男はウルフの群れが惨殺されていくのを見ながら俺に言う。
「だから知らないよ。まぁ今となってはカムと会えたからいいことにはなったがな。あんなに性格が歪んだ奴らと俺もよくパーティーを組んでいられたもんだぜ」
俺は自分に感心しながら筋肉男に言った後ちょうどウルフの群れの惨殺が終わりストレアは俺のリュックの中に戻ってくる。
「それじゃあ気を取りなおしてギルドに戻ろうか」
俺はまたリュックを担いで無抵抗の鎖をつけた筋肉男をひきずりながらギルドに向かった。




