VS勇者オサム
「ターちゃん。こいつを食べればいいの?」
クチバシの長い仮面男の腕を掴んでいる黒い異空間のような場所から顔と手を出している何かが言う。
「ああ。頼むよワームル」
「へーい」と言ってワームルと呼ばれた何かが自分の黒い異空間へとクチバシの長い仮面男の腕を自らの黒い異空間に引き摺り込んでいく。黒い異空間にクチバシの長い仮面男は腕を入れられると男の腕はゆっくりと黒い異空間に吸い込まれていく。
「ぐ、ぐぅあああ!う、腕が!腕がぁぁぁぁぁ!」
クチバシの長い仮面男が痛みのあまりに叫んでいる間にタガルムは俺たちに黒い異空間について説明する。
「やつの名はワームル。スキルは消滅の異空間。やつの入っているあの異空間にひきずりこまれるとその部位は消滅する。そしてやつのスキルはあんな感じでゆっくりと体を食べていくんだ」
「・・・なぜ俺たちに奴についての説明をする。不意打ちなり何なりするに使えるだろうに」
「ふん。こいつのスキルはこれほど協力だろ?しかしこのスキルには代償、というより制限?かな。まぁそれがあってな。ワームルは誰かを食べた後しばらくは私たちの前に異空間を繋げることができない。だから余程のことがない限りワームルは使うことはできない。自分のスキルの制御もできてないらしいからな」
「なるほど。それでやつの予知が厄介だからあいつを呼んだわけか」
「そうだ」とタガルムは俺に言う。
俺とタガルムが話している間にクチバシの長い仮面男はワームルのスキルにくわれもう両足しか残っていなかった。仲間がくわれていたというのにオサムはクチバシの長い仮面男を一切助けようとしなかった。
「おい。オサム。目の前でお前の仲間が死にそうだった時になぜ助けてやらないんだ?それでも勇者かよ」
「ふん。俺は別に奴を仲間だとは思っていない。やつは使えたから俺のもとにおいておいただけのこと。俺にはもう仲間なんて不要何だよ!」
オサムは俺に斬りかかり、俺に攻撃が当たる前にマガ爺がオサムの攻撃を防ぐ
「よう。クソ勇者。お主を斬りに来てやったぞ」
「じじい。牢から出てきたのか。なら引導を渡してやるよ」
オサムはマガ爺の剣をはじいたあとマガ爺王の間の壁に蹴り飛ばす。
「ごほっ」
「あらあらぁん。マガ爺ったら情けないわねぇん。まぁあたしがマガ爺の分までボコボコにしてあげるわぁん」
マガ爺は壁に激突したせいかその衝撃で気絶してしまう。
オサム、お前こんなに強かったのか?俺たち4人の時はこんなに強くなかったはずだが。
俺は今のオサムの強さに疑問を感じていた。