表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マリハナ文庫短編集  作者: 砂糖ショコラ
3/15

11月23日

記念作品

「神様なんて......まやかしだ......」

 老け顔の男は右手に持ったワインに注がれたAOJIRUを床にこぼしながら呟いた。

 彼の名前はウッウー高山たかやま。彼は一口料理を食べるだけでお父さんを生成する事ができるのだ。人はその能力の名を「フライキッズ」と呼んだ。


 高山の友人のデランタル沈太ちんたは、この能力を初めてみた時ショックでゲロを吐いたという。

「おろろ。」

 そして、そのゲロからお母さんが生成された。


 その能力を見たウッウー高山はショックを受けた。気を紛らわせる為に食事をとった。そして彼は再びお父さんを生成した。


 それを見たデランタル沈太はショックを受け、嘔吐し再びお母さんを生成した。


 それを見たウッウー高山はショックを受けた。気を紛らわせる為に食事をとった。そして彼は再びお父さんを生成した。


 それを見たデランタル沈太はショックを受け、嘔吐し再びお母さんを生成した。


 これが無限に繰り返され、世の中はお母さんとお父さんで溢れかえった。


 高山と沈太はこの大量のお父さんとお母さんの中からより優れた個体を選別する為に、皆に殺し合いをさせた。


 そして、彼らが住む星はより優れた戦闘力を持つ人間だけが巣食う、戦闘部族の星となった。この星に王と女王が生まれた。王は「アダン」女王は「イバ」と呼ばれた。


 アダンとイバはさらなる争いを求め、他の星へと侵略に向かった。


 アダンとイバは次々と星を侵略していき、とうとう侵略していない星は残り一つとなった。


 それは「地球」と呼ばれる星だった。


 母星に取り残された王の子は弱きものであった為、齢16で強きものの血肉となった。王の娘もまた弱きものだった。同じく弱きものとの子を3人産んだ後、夫婦共々強き者を育てる為の肥料となった。


 産まれた子供もまた弱かった為、星の神、大蟹への供物として捧げられた。


 突如、大蟹は死に、その中から三つ首の大蛇が現れた。いずれ大蛇は「ドードー中西」と呼ばれ、あらゆる街を破壊し、地図から消滅させ、肥溜めとした。


 その頃アダンとイバは地球の北半球を侵略した後、母星で再び二人の子供を作った。一人はアジュラ、もう一人はイントラと名付けられた。3年後アダンとイバは地球でのモンゴル弓兵の襲撃によって命を落とした。それを見ていたアジュラとイントラは親の分まで強くなると誓い、地球を離れた。


 この時、母星からの増援が来なかったのは、すでに増援達は鎧と武器と血溜まりになっていたからである。


 母星の科学者、ドクターケロはアダンとイバの血液を回収し、体内に取り込み怪物となった。怪物となったケロは母星へとやってきたモンゴル弓兵達を次々と食し、自らの血肉とした。



 10年後

「食べるのも秋田。」ケロはただ生物の首をしめ曇空蜥蜴どんくうとかげの巣へと投げ込んでいた。


 そこから更に年月がたち、ケロは突然やってきた謎の男グリリンの自爆によって命を落とす。


 取り残された曇空蜥蜴は、すくすくと育ち、少しずつ社会を覚えようとしていた。手始めに政治を学んだ。そして、蜥蜴たちの共存を目指し、活動を始めた。


弱き蜥蜴には野菜を与え、強き蜥蜴には強き者の踊り食いが許された。ドードー中西はぐんぐん育つ蜥蜴に安寧を覚え、残った人間を締め落とし保存したあと、自ら火山へと身を投げ、大いなる大地へと命を供した。


 時が流れ、アジュラとイントラは母星に帰ることにした。しかしそこにあったのは自分たちが知る母星では無かった。黒い翼の生えた銀色の蜥蜴が闊歩していたのだ。


 アジュラは一匹に問うた。「人間は......どこにいるんだ......?」

 蜥蜴は答えた「人間?ああ美味しかったよ。食べたかったらそこらへんのレストランにでも言ってみたら?」


 アジュラは怒った。イントラはそれを止めようとした。しかしその瞬間に二人の首から上は蜥蜴の口の中に含まれていた。


 ある日、黒い蜥蜴が産まれた。それは非常に珍しく、皆から愛された。それは蜥蜴では無い事が後から分かった。それはすぐに大きくなり、いずれ龍の姿へと変貌していった。


 黒い蜥蜴はいずれ王となり、多くの蜥蜴を従えるにつれ、新たなる秩序を作っていった。その中には「人間食の廃止」「モンゴルとの不戦協定」「大蟹の討伐」など先進的なものもあった。


 またある日、黄色い蜥蜴が産まれた。やはり珍しいものであり、皆から愛された。黄色い蜥蜴は育った後こう言った「地球......どんな星なんだろう?」


「やめとけってモンゴル弓兵しかいねえぞ。」「モンゴル弓兵がいない場所でも馬人だらけでなじめねぇぞ。」「しかも、黄色く光る銀髪の人間がいて危ないって聞くぜ。」「この前試しに送った人間が右の腕だけになって、帰ってきたって噂だぜ。」と強く止められた。


 しかし、制止を振りきった黄色い蜥蜴はやがて王に許可を得て地球へと飛んだ。降り立った場所、案の定馬人だらけだった。話で聞いていた、頭が馬で体が人間のニーンバ、頭が人間で体が馬のバジーンが歩き回っていた。


 疑問に思った、何故馬人たちはこうして無事に生きているのだろう。早速聞いた。


 答えは単純だった「俺達は美味しくないらしい。」


 一度三頭の大蛇がここにやって来た事もあったがあまりの臭さに退却したらしい。


 北方のゾ連峰という山岳にはウェズインと言う男がいた。話すと彼はかつてこの地を荒らしたドードー中西という三頭の大蛇をその身一つで滅ぼしたらしい。


 彼の移住区は最新鋭だった。彼に頼んで母星と連絡を取るため、一匹の鳩を貰った、蜥蜴は鳩に「リチャード」と名付け祖国の星に飛ばした。王は飛んできた鳩をさかなに手紙を呼んでニヤニヤした。


 ウェズインから技術と槍と斧を盗んだ蜥蜴は元いた馬人たちの大陸へと戻り、馬人に見つからない様に家を新調した。


 蜥蜴はやがてリチャードの事を思い出した。あれを犠牲無しに再現できないかと考えた。


 羨望漆黒ネットという機器を生み出し、母星と地球で言葉を送りあえるようにした。馬人にはとっくにバレていたが、特に気にしなかった。やがてジャミンゾウの咆哮に悩まされる事となったが、蜥蜴のネットワークは大きなものとなった。


 娯楽は無いが、蜥蜴にはその話術さえあれば良かった。王国の人間はそれを娯楽にするようになった。

 

 蜥蜴はやがて一人の完全人間と結ばれた。いわゆる異種婚だが馬人たちは祝福した。

 

 馬人の生活も密に変わり始めた。花を運ぶ者、猛獣を従える者、粘土板に奇妙な細かい絵を描く者。

 

 ある者は毎日の記念日を書に記し、ある者は新天地を開拓し新たなる作物を収穫し、ある者は情報発信の一環として絵画を作成した。


 かつてゾ連峰の月が輝く時、馬人は眠りについていたが、次第にその限りでは無くなった。


 ある日ウェズインが訪ねた。しかし、蜥蜴には名前が無かった。ウェズインは伝承からロリウッドという名前を提案した。蜥蜴は拒んだ。彼は最終的にドードー中西と言う化け物に挑み、モンゴル弓兵の一部になったからだ。


 ウェズインは続いて、キントルという名前を提案した。蜥蜴はまたも拒んだ。昔イバと言う女に騙され、故郷の村を滅ぼした事があるからだ。


 ウェズインはならばとこの両名を勘付かれぬように混ぜ、更に西方に浮かぶ聖なる島の名前を付け加えた。


 蜥蜴はこの名前を気に入った。それから、居住区には名前がついた。「離れ島」


 その後、蜥蜴は皆にこう呼ばれた......


 



       「江ノ島ロッキ」

あとがき:ある粘土板が見つかった。古びてはいるが一部は読める。「R......5W......D......H」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ