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主人公夏夜乃は、勇気を持って隣街の映画館へ向かう。
数日後、いつも通り誰もいない夕方の商店街を歩いていると、商店街のバス停が目に付いた。運転手も乗車客もいないバスが、勝手に止まって扉を開けて、しばらくすると発車して隣町へ行く。
この町は駅からは遠くて、バスや車が主な移動手段なのだ。
「そうだ」
簡単な話じゃないか、自分が少し遠出をすればいいだけの話だ。引きこもり期間が長いせいで、この町の夕方に囚われすぎて、その考えが思い浮かばなかった。
夕方が終わり家に帰り、仕事から帰ってきた父親に夕飯の準備をしながら、早速金銭を要求した。最近隣町に、映画館があるモールが新しく建設されたところだ。引越しする街の下見と、見たい映画があると言って話を通した。
ついでに色々買っておいでと、多めにお小遣いを貰えた。今更感がすごいが、引越ししたらアルバイトをするのも良いかも知れない。自分の尊厳の為にも。
「気をつけて行ってらっしゃい」
「うん、ありがとう」
翌日、休みの父親に見送られ昼頃に家を出た。商店街のバス停から、隣町の駅ロータリー行きのバスに乗り込んだ。
隣町の駅ロータリーにつき、そこから徒歩で映画館のあるモールに向かう。
無事にモールに辿り着き、人の賑わう映画館に入る。こんな所に来るのは子供の頃以来だ。あの頃はまだ母親は優しかった。
周囲の視線を気にしながら、さて、どの映画を見ようか悩む。
そこで私に、過去最大級に最高な考えが降ってきた。
「よしっ、これにしよう」
丁度夕方にかち合う時間の、国民的アニメの映画チケットを取る。あの現象がここでも起こると仮定しているが、これ最高じゃね?
高校生が一人で映画を見るのも、結構勇気がいる。だから見たい映画があっても、テレビ放送を録画していた。だがこれならば、人のいない映画館でゆっくりと映画を見れる。
このアニメの映画は家族連れが多いので、見たくても我慢していた。
最高すぎる考えにルンルンしながら、映画までの時間をウィンドウショッピングで潰した。




