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エルフの森の最強神(ロキシス)  作者: ミュウ
生活編
9/86

雨の中で

その日は生憎の雨で、ロキシスは外に出ず、家の中でカグラの手入れをしていた。

(どうだ、カグラ。)

一通りの手入れを終えて、ロキシスがカグラに聞く。

(とても気持ちよかったです。)

(そうか、それは良かった。)

雨が降ると仕事も無いので各々やりたいことをやっているはずだった。しかし、

(暇だな。何処かに行ってみようか?)

(でしたらエリナの所へ行ってみては?)

(昨日も食事を御馳走になったし、なんか毎日だと飽きられそうな気がするからな。偶には遭わなくて良いと思う。)

(…)

(どうした?)

(女心が解っていないですね…)

(…そうか?)

そんなことを話して、カグラを壁に立て掛けて再び椅子に座る。リフォームの際に、体に合わせた家具を作って貰っていたので、快適に過ごしていた。

(やはり暇だ。ちょっと出掛けてくる。)

(お気をつけて。)

そう言って外に出る。朝からかなりの量の雨が降っていたが、今は落ち着いたのか少し降っているだけだった。

(少し、村の様子を見てみるか。)

そう考えて村の真ん中へと行ってみる。すると、誰もいないと思っていたが、ルードが傘や雨具も使わずに立っていた。そういうロキシスも、魔法でバリアを張って雨を凌いでいるのだが…

「おや、ロキシス。」

「よう、ルード。散歩か?」

「まあそのようなものだ。ロキシスはどうしてここに?」

「雨のせいで仕事も無いからな。暇をもてあましてここに来た。」

「フッ、そうか。」

ロキシスがルードと話をしていると、ふとルードが村の中心にある大きな岩を見ていることに気が付いた。

「この岩って、意味があるのか?」

「…この村で亡くなった人達の墓だ。」

ルードは少し残念そうな顔をしてそう言った。

「…辛い話をさせてしまったな。」

「構わないよ。生きとし生けるものは、皆死んでいく。自然の摂理だ。」

「…ここにエリナの両親も?」

「まあ、そうだな。」

「…?」

「エリナは…この村の本当の子ではない。」

「!」

「森で両親に拾われて来たのだ。子供がいなかったから、そのまま子供として育てられたがね。」

「そうだったのか…」

「その2人も、以前あった空襲の際に…な。」

「空襲とは?」

「…ヒューミルとデミールの諍いがあってな。その飛び火が飛んできた。その際にエリナを庇って死んだのだ。」

「…そうか。済まない。」

「何故ロキシスが謝る?お前は何もしていないだろう?」

「しかし…俺はヒューミルなんだろう?」

「…お前は何か隠しているだろう?」

「…」

「それは恐らく、ヒューミルでもデミールでもない。別の存在なのだと、そんな感じがするのだよ。」

「…」

「いずれ話してくれるとありがたいが、今はそれを聞くつもりは無いよ。今は、以前聞いた話を信じ、この村の一員として過ごして、心の傷を癒すと良い。」

ロキシスは何かを言いかけたが、それだけを伝えて、ルードは家へと帰って行ってしまった。一人残されたロキシスは、

「いずれ話す…か。そうなったら、俺はこの村にいられるのかな?」

一人愚痴って、家路につく。家に帰ると、カグラが話しかけてきた。

(お帰りなさい、ロキシス。エリナが来ていますよ。)

(エリナが?)

(あなたがいないと解って、奥の部屋に行ってしまいましたが?)

奥の部屋に行くと、エリナはベッドですやすやと眠っていた。

「…」

起こさないように上から毛布をかけて、手を握りしめて、

「…君を育ててくれた両親に感謝だな。」

そう言うロキシスだった。

読んでくださっている方々、有難う御座います。

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