ゲート
ゲートの先はアテナの宮殿だった。門番に挨拶をして中へ入り、執務室へと向かう。アテナは執務に追われていた。
「アテナ様、今宜しいですか?」
ロキシスが話しかけると、アテナはロキシス達の方を向いて言った。
「あら、ロキシス、エリナ。御免なさいね、色々立て込んでて気付かなかったわ。」
「いえ、大丈夫です。それより、召喚された人間を捕まえました。」
「全員?」
「全員ではありませんが…危険と判断した人間、即ち今回のバーンシュタイン王国へ進軍してきた人間は全てです。」
「そう…彼等の意思は?」
「1人が起きたので、元の世界に帰るか、死ぬかを選択させたところ、元の世界に帰りたいと言いました。」
「…その二択はどうかと思うわ。」
「敵として相まみえた相手に容赦などしませんよ。」
「そう…ね、確かにそうだわ。じゃあ早速元の世界へ帰さないとね。」
「戻す方法は?」
「実は、アマテラス様からもう許可を貰っているの。私が出向いてゲートで送り届ける手筈になっているわ。」
「そうですか。では宜しくお願いします。」
「じゃあ一緒に行きましょうか。」
そういってアテナはゲートを開いて、ロキシス、エリナもゲートの中へと入っていった。
バーンシュタイン王国へと帰ってきたロキシスとエリナは、レン達に事情を説明した。
「てなわけで、こちらが俺達の創造神のアテナ様だ。」
「会うのは二度目ですね。」
「は、はい…それで、どうするのですか?」
「ここからゲートを開いて、召喚されてきた人達を送るわ。」
「あれ?以外と簡単なんですね。」
「もっと複雑な手順を踏むと思っていたわ。」
マリアとレイナは口々に感想を言う。
「まあ、座標は解らないから、どこに行くか解らないけど、サクラ…だったわね?」
「はい!」
いきなり名前を呼ばれて驚くサクラ。
「あなたのいた場所に全員送るわ。どこだったかしら?」
「えっと…日本のトウキョウって言う街です。
「解ったわ。それじゃあ故郷を頭の中で思い描いて。」
そういってアテナはサクラのおでこに手を当てて、意識を読み取り、ゲートを開く。
「この先があなたの世界に繋がっているわ。」
「あ、有難う御座います。」
「サクラ、一つだけ忠告しておく。」
ロキシスはサクラを呼び止めた。
「君達が手に入れた特殊なスキルは、恐らくそのまま残るだろう。しかし、君達の世界では異能と呼ばれる力だと思う。」
「はい…」
「その力に溺れる事無く、しっかりと生きるんだ。それだけ伝えておく。」
「解りました。ロキシスさん、エリナさん、皆さん。有難う御座いました。」
「元気でね。」
そう話してサクラと6人の異世界人はゲートをくぐり、元の世界に帰って行った。
「…」
「寂しいか?」
ロキシスはエリナに聞いた。
「うん…少しね。折角仲良くなったのに、もっとお話しすれば良かったって…」
「望むなら、いつでも会えるさ。」
「え…?」
「アテナ様の術式を見て解った。そんなに難しい事じゃ無いからな。」
「そう。じゃあ会いたくなったらいうね?」
「あぁ。」
そうして異世界からの訪問者達は無事に元の世界に帰って行った。
読んでくださっている方々、有難う御座います。




