エリナの料理
「さて、何を作ろうか?」
材料は大量の肉だったが、正直何を作ろうか悩んでいた。
「昨日はステーキを食べたから、ハンバーグにしようか?」
そんなことを一人愚痴っているとエリナが掌に、“私に任せて“と書いた。
「じゃあ任せるよ。」
そう伝えると、パァッと明るい表情になった。そそくさと厨房に立つエリナを見届けて、ロキシスは椅子に座る。エリナが喋れないので、この時間、余りにも暇なように感じるが、ロキシスはこんな時、カグラと話をしていた。
(ロキシス、任せっきりで大丈夫ですか?)
(任せろって言われたからな。)
(それはそうですが、何か手伝ってあげては?)
(前にそれをしようとして怒られたからな。まだ文字を読めない頃だったけど、凄い剣幕だった…)
(その時私はいませんでしたけど、見てみたかったですね。)
(…楽しんでるな。)
(2人には、お互い幸せになって欲しいですから。)
(…)
そんなことを話していると、料理が出来たらしく、エリナが運んできた。今日もステーキだった。
「いただきます。」
「…」
お互い顔を見合わせて食卓を囲み、食べ始める。一口食べてロキシスが、
「美味い。」
というと、エリナは嬉しいのか更に笑顔になる。それを見て、ロキシスも嬉しくなる。そんなことが、一ヶ月の間続いていた。家が改築完了した後でも、頻繁にお呼ばれしていたからでもあるが、エリナはロキシスの事を常に気にかけてくれていた。2人の間には、繋がりがある。それを知っているのはロキシスだけだったが、幸せな時間が続いていた。
読んでくださっている方々、有難う御座います。