村での生活
ロキシスが村に滞在して約一ヶ月が経過した。既に家も改築して貰い、日々楽しく過ごしていた。
「ロキシス、そっちに行ったぞ!」
「あぁ。」
今は森にいる魔物や危険生物の討伐に来ていた。既に粗方討伐し終えていたが、村に危害を加える可能性のある生物が思いのほか多かった。
「しかし、獲物に事欠かないな。」
「あぁ。でもあんたのお陰で、毎日大助かりだよ。」
そんなことを話しながら、ロキシスとティルは村へと戻る。と、村の入り口でエリナとフィオーレが立っていた。
「どうしたんだ、2人とも?」
「どうしたんだ、じゃ無いわよ。エリナが、2人が中々帰ってこないって、心配していたのよ。」
「大丈夫だって。ロキシスが一緒なんだから。」
「…」
ロキシスはエリナの顔を見て、少し怒っているのではと考えた。そして、エリナの手を取り、掌に大丈夫と書いた。
「…!」
そうすると、今度はエリナがロキシスの手を取り、本当に?と書く。この一ヶ月の間に、エミルの文字を覚えたロキシスだった。最初は難しいと思っていたが、今は楽に書けるようになっていた。
「それであなたたち、その血はどうするのよ。」
ロキシスとティルがお互いを見ると、確かに2人とも返り血で汚れていた。
「クリーン。」
ロキシスは無属性魔法で、返り血を落とす。それを見てティルは、
「ずるいぞ、ロキシス。」
「今お前にもかけるさ。」
そう言うと、ロキシスはティルにもクリーンの魔法をかける。一瞬で返り血が消えて無くなった。
「流石だよなぁ。俺達もその魔法が使えたらなぁ。」
ティルだけでは無く、村の住人全員が無属性魔法を使えなかった。
「仕方ないわよ。適材適所ってことにしときなさいな。」
「そんなに難しいのか?」
「精霊に呼びかけて使える各属性は理解出来るんだが、精霊以外の魔法なんて解らないんだよ。」
どうやらエミルの皆は精霊を使役して魔法を使う種族のようで、ロキシスにはそちらの方が理解出来なかった。
「まあいいや。ところで、今日の飯はなんだろうな。」
「今日は殆どの家で肉料理よ。あなたたちのお陰でね。」
「保存場所の確保も出来たから、そう毎日肉料理じゃ無くても…なぁ?」
「新鮮なうちに食べときたいじゃない。」
「まあな。じゃあ家に帰るか。」
そう言って、4人で家に向かう。フィオーレの家の前で、
「じゃあな。」
ティルだけ別の場所に家があるので、そこで別れた。すると、エリナが再びロキシスの手に文字を書く。
「エリナはなんて?」
「今日は家に来て、ご飯を食べないかって。」
「偶には良いじゃない。」
「そうだな。ご相伴に預かるか。」
そういうと、エリナも嬉しそうに笑った。
「良かったわね、エリナ。」
エリナがコクンと頷いた。そして、2人でエリナの家に入っていった。
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