サクラ
夜中3時頃、ロキシスはエリナと交代して女の子を看ていた。
「…」
ロキの説明があったとはいえ、不思議そうに思っていた。
「別の世界か…物は知っているつもりだったが、まだまだ知らない事は多そうだ。」
「そうね、私だって解らないことは多いわよ。」
隣の部屋で眠っていたはずのロキが部屋に入って来て声をかけてきた。
「ロキ、寝なくて大丈夫なのか?」
「気になって眠れない…と言った方が正しいわね。エリナは寝付いているけれど。だから体を拝借しているのよ。」
「そうか。」
「で、どう思うの?」
「ん?」
「この子の事、どうするつもり?」
「どうもしない。ただ元気になって話を聞いてみないとな。」
「ふーん…」
「…?」
「まさか、浮気する気じゃ無いわよね?」
「はぁ!?愛する妻からそんなことを言われると傷つくぞ。」
「ふふふ、冗談よ。あなたはそんな人じゃ無い。それは解っているわ。」
「ったく。」
そう言うと、隣に椅子を置いて2人で女の子を看る。
「ともかく、敵かどうかも解らないしな。目覚めるまで待とう。」
「そうね…ねぇ、ロキシス。」
「…?」
「キスして。」
「…お望みのままに。」
そういって優しくキスを送りあう。と、女の子が不意に身動ぎをした。
「う…うん…」
「おや、目が覚めるかな?」
「おい、起きてくれ。」
ロキとロキシスが声をかけると、女の子は目を覚ました。
「ここ…は…?」
「良かった、目が覚めたんだな。安心して良い、ここは俺達の家だ。」
「…あなた…は?」
「俺はロキシス。君の名前は?」
「サクラです。大林桜。」
「オオバヤシ・サクラ?」
「はい…」
「うーん、家名か。サクラって呼んでも大丈夫か?」
「はい…」
そこまで話すと、サクラのお腹がぐ~と鳴った。
「お腹空いているのか?ちょっと待ってろ。」
ロキシスは厨房へと行き、料理を始める。
「御免なさいね。あの人、せっかちだから。」
「いえ…」
「紹介がまだだったわね。私はロキ。あの人の妻よ。」
「…」
「もう1人いるんだけど、今は眠っているからまた後で紹介するわ。で、サクラ?あなたは何処から来たの?」
「私…は…」
そこまで話をしていると、ロキシスがトレイを持って戻ってきた。
「ロキ、まだ体調が戻っていないんだ。積もる話はまたにしよう。」
「そうね、御免なさいね。」
そう話してロキシスがトレイをサクラに渡す。トレイにはお粥のような物が入ったどんぶりが置かれていた。
「口に合うかも解らんが、とりあえず食べてくれ。」
「…いただきます。」
そういってサクラは食べ始める。熱いのか、ふぅふぅ覚ましながら、ゆっくりと咀嚼して、
「…美味しい。」
そう呟いた。
「まあ、即席にしては上出来かな?」
「ロキシス、私にも!」
「解った、作ってくるよ。」
そういってもう一度厨房へと戻っていく。次に戻ってきたときには、サクラは全て食べ終えて再び眠っていた。
「…起こさないように、静かにしていよう。」
「そうね、あーん。」
「…ロキ?」
「私もお腹空いたもん。だからあーん。」
「やれやれ。」
そういって冷ましてからロキの口に放り込むと、
「うーん、夫の手から出される食事って美味しいわ。」
「ったく。」
そんなことがあって、ロキシスもロキも安心してその日は寝付いた。
読んでくださっている方々、有難う御座います。




