アテナとの話
引っ越しを終えた次の日、ロキシスとエリナは天界へと来ていた。
「ここが…天界。」
「どうしたんだ?」
「うん、懐かしい感じがして…」
「そうか。ほら、あれが家だよ。」
ロキシスが指差すと、エリナもそちらを見る。それなりに大きな家が建っていた。
「9年間、ロキと住んでいた家だよ。」
「ロキ様はそれより長く住んでいたのよね?でも、しっかりした家だわ…」
「あぁ。でも今回は用事は無い。また今度な。」
「うん…」
「どうした、緊張しているのか?」
「そりゃ…ね。神様と会うっていうのに普段着だし。失礼じゃ無いかなって…」
「何時でも会いに来て良いって言われているし、俺も普段着だよ。だから心配しなくて良い。」
そう話して、ロキシスとエリナはアテナの宮殿へと赴いた。流石上流の神なのか、しっかりとした宮殿だった。
「まぁ、ロキは眷属もいなかったし、そんなにでかい家なんて必要なかったって言ってたな。」
「でも…これは大きすぎない?」
「色々取りまとめている神だからな、アテナ様は。」
そう言うと、門の前までやってくると、
「お久しぶりです、ロキシス様、ロキ様。」
「やぁ、久しぶり。元気そうだな。」
「まぁ、門番しかしていませんし、尋ねて来る人もあまりいませんから。」
「…」
「どうしたんだ、エリナ?」
「う、うん…どうしてロキ様と?」
「これは失礼しました。エリナ様でしたね?アテナ様からもしロキシス様が人を連れてきたなら、ロキ様の生まれ変わりの方だから通して構わないと連絡を受けていましたので。」
「なるほど。それで…」
「ロキ様にはお世話になったものですから、つい懐かしく感じてそう呼んでしまいました。失礼しました。」
「いえ、失礼だなんて…」
「ところで、アテナ様はいるか?」
「はい。首を長くしてお待ちになっておられますよ。」
「じゃあ会いに行こうか、エリナ。」
「うん。失礼します。」
「お気をつけて。」
ロキシスとエリナは執務室まで赴く。が、そこにアテナはいなかった。
「あれ?アテナ様がいない…」
「いつもここにいるの?」
「あぁ。いつもここで仕事をしているんだが…」
「あら?2人とも、来てたのね?」
後ろを振り返るとアテナが立っていた。
「アテナ様、どちらに行かれていたのですか?」
「偶には運動しなくちゃいけないと思って、中庭で軽く運動をしていたの。」
「そうだったのですか。」
「それで、どうしたの?」
「ロキのことで話しに来ました。」
そういって、事の顛末をアテナに話した。
「そう。エリナ、良かったわね。」
「…はい。」
「あら、不服なのかしら?」
「ロキ様はそれでいいと言っていましたけど、体の中に別の人がいるって、不思議な感じがして…」
「そうね。勝手にいたずらされているかもしれないし。」
(そんなことしないわよ。)
不意にロキが話した。
(アテナ様、お久しぶりです。)
「ロキ、元気そうね。」
(はい、お蔭様で。)
「無事に復活出来て良かったわ。もしあの方法で失敗していたらどうしようかと思っていたわ。」
(それでもロキシスが何とかしてくれていたと思います。)
「そうね、ロキシスはロキのことになると凄いから。」
(今は…私だけのためだけじゃありませんよ。)
「ん?」
(エリナのためにも頑張っています。そんな彼を見ていると、幸せを感じます。)
「ロキ、恥ずかしいことを言うなよ。」
(あら、事実でしょう?)
「エリナも恥ずかしがっているじゃないか。」
エリナは照れて真っ赤に頬を染めていた。
「まあ、無事で何よりよ。ロキシス、2人とも幸せにしてあげなさいな。」
「はい、勿論です。」
「アテナ様…」
「さて、積もる話も終わったし、食事に行こうと思っていたのだけど、3人も一緒にどうかしら?」
(喜んで。)
「ロキは食えないだろう?」
(大丈夫よ。エリナが食べたらそれは私が食べたことになるから。)
「ふふふ、じゃあ食堂へ行きましょうか。」
そうして4人(?)は、食堂へ向かった。ドラゴンの肉や魚、様々な物が振る舞われ、お腹いっぱい食べた。
読んでくださっている方々、有難う御座います。




