滞在
ロキシスとエリナがエリナの家に戻ってみると、ルードが家の前に立っていた。
「やあ、2人とも。」
「ルード、どうしたんだ?」
「いやなに、ロキシスが動けるようになったと聞いてね。様子を見に来たんだよ。」
「世話かけたな。もう大丈夫だ。」
「そのようで良かったよ。で、もう一つの件なのだがな。」
「ん?」
「単刀直入に聞こう。ロキシス、何時までこの村に滞在するのだ?」
「…やはりよそ者だからか?」
「聞き方が不味かったな、済まない。村の皆が何時まで滞在出来るのか聞いて欲しいらしくてな。君は、我々の想像の上をいく発想を持っている。出来れば、それを教えて欲しいのでな。」
「直ぐに出て行けと言う話では?」
「それは違うよ。いつまででもいてくれて構わないという話だ。」
「俺は…」
そう言って、エリナの方を見る。エリナも心配そうな顔をしてこちらを見ていた。
「この村に滞在していいなら、ずっと居たいと考えているよ。」
「そうか。では、家を建てなくてはな。」
「…?」
「流石に結婚もしていない若い男女を一緒に暮らさせる訳にはいかないのでな。エリナの家の横のあの家をリフォームするのが早いが…」
「そうだな。何時までもエリナに世話になるわけにはいかないしな。」
そう言うと、エリナは不服なのか、俯いてしまった。そんなエリナを見て、ロキシスはその手を握り、
「隣同士だし、村の中にいるんだ。何時でも会えるさ。」
と、伝えた。残念そうな顔をしていたが、笑顔に戻るエリナ。それを見てロキシスも安心した。
「建て直しは明日から始めるから、暫くはエリナの家で泊まるといい。しかし、エリナがここまで懐くとは。君は一体何者なんだろうな。」
「さあ?俺は俺だ。」
「確かに。」
そう言って、2人で笑った。
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