相談
二人きりになって、先に口を開いたのはエリナだった。
「ロキシス、どうしようか?」
「…明日、取りあえず明日まで時間をくれないか?」
「…解ったわ。今日は私、家に帰るね?お休みなさい。」
そう言ってエリナは出ていった。
「俺は…」
今ロキシスの頭の中にあったのは、今まであったことだった。ロキと出会い、共に生活したこと、その日々を失って消沈したこと、人として生活した日々、エリナと出会い大切に思っていることなどだ。その中でロキシスはふと思ってしまう。今のままでも充分幸せなのでは無いかと。しかしそれでもロキの力を返して、自身の力だけで生きていきたい気持ちも強かった。
「俺は…どうしたらいいんだ…」
次の日の朝、ロキシスは少し村を見て回っていた。今日は休みにしていたので、皆思い思いの事をする日になっていた。
「…」
村の中心にある石碑、その前に立ってロキシスは考え事をしていた。
「やあ、ロキシス。一体どうしたんだ?」
「ティル、いきなり話しかけるのはいけないことだと思うよ?」
ティルとルードがそこにいた。
「ティル、ルード。俺はどうしたらいいんだ?」
「…?何かあったのか?」
「よければ聞かせて欲しい。」
ロキシスは悩んでいる訳を話した。
「なるほどな。」
「それで、どうしたいと思っているんだ?」
「…それが解れば苦労はしていないさ。」
「ならば仕方ない。ティル、全員を呼んでくれ。」
「ルード、何か思いついたのか?」
「今日急いで準備をするぞ。」
「何の準備だ?」
「決まっている。ロキシスとエリナの結婚式だ。」
「「…はぁ!?」」
突拍子もないルードの発言に、ロキシスとティルは驚きの声をあげた。
「夫婦になればいい。お互い大切な存在なのだから。」
「しかし…」
「しかしも案山子もねえよ、ロキシス。ルードの言うとおりだ。お似合いの夫婦の誕生だ!」
「ティル、お前まで…」
「急いで皆呼んでくる!おーい、皆…」
「おい、ティル!」
止めようとするが時既に遅く、ティルは皆を集めに村中駆け回り始めた。
「ルード、どうするんだよ!?」
「いいじゃないか。遅かれ早かれこうなる筈だった。それが早くなっただけだろう?」
「しかし…」
「じゃあエリナが他の男にとられても良いのか?」
「それは嫌だ。」
「ならば今日結婚しろ。思い立ったら即行動…だろう?」
ルードはそう告げる。そして約30分程度で、全ての準備が整った。
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