必要な事
ロキシスが村に着いたのは夕方頃だった。既に連絡をしていたので、ケルベロス、フェンリル、フェニックス、トリマーの4匹は、人の姿で村の入り口にいた。
「お疲れ様です、ロキシス様。」
「やあ、4人とも有難う。」
「いえ、それで奴らはどうされましたか?」
「街ごと滅ぼしてきた。」
「ハッハッハッ、流石我らが主。豪快ですな。」
「トリマー、笑い事じゃないですよ。」
「これが笑わずにいられるか、フェニックスよ。」
「まあロキシス様を敵に回す愚か者には良い末路ではありますが。」
「だろう?」
そこへエリナとフィオーレ、ティルとルードもやって来た。
「ロキシス、お帰りなさい。」
「ただいま、エリナ。」
「ヒューミルとは話がついたのか?」
ルードが尋ねるので、事の行き先をロキシスは皆に伝えた。
「そうか…」
「凄ぇな、ロキシスは。」
「それでロキシス、どうするの?」
フィオーレが尋ねてくる。
「なにがだ?」
「デミールもヒューミルも滅ぼして、後は何を滅ぼすの?」
「フィオーレ、言っている意味がわからん。」
「この大陸に最早エミルしかいなくなった様なものじゃない。自然の摂理に反しているんじゃ無い?」
「確かにな。」
「おいおい、フィオーレ、ルード。まさかロキシスがやったことは間違いだって事か?」
「そうとは言ってないわよ。」
「似たようなもんだろ!」
「ロキシス…」
フィオーレの質問に、ロキシスは答えない。エリナは心配そうにロキシスを見ていた。
「フィオーレさん、安心して下さい。」
「何を安心できるって言うの?」
「ロキシス様はこの世界で言うところの神なのです。」
「…前にもロキシスから聞いたわ。」
「神は、必要と見なした場合、ヒューミルだろうがデミールだろうが滅ぼす権利がある。」
「ロキシス様はその権利を行使したに過ぎません。」
「だからって…」
「皆、黙っていてくれ。」
「ロキシス様…」
ケルベロス達4匹は黙り込んだ。そしてロキシスが話し始めた。
「フィオーレ、確かに今回も前回もやり過ぎたとは思う。でもな、俺は大切な人や物のために全てを賭ける事を決めたんだ。罪だろうが罰だろうが、俺は全て受け入れる。それだけの価値が、そこにあると思っているからだ。」
「…それがエリナのためだから?」
「エリナのためだからだけじゃない。考えてもみてくれ。エリナがいなくなったら悲しまないのか?」
「それは…」
「俺はエリナのためだけじゃ無く、皆のために戦うと決めたんだ。そのためなら、なんだってするさ。」
「それにさ、フィオーレ。ロキシスは俺達の家族だろう?」
「そうね…ごめんなさいロキシス。」
「いや、俺の方こそご免。」
「和解したって事で、取りあえず家に帰りましょう。」
「あぁ。」
そう言ってロキシスの家へと向かって皆歩き出した。
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