薪割り
食事が終わると後かたづけをして、再び外に出る。巨大な樹を運んできたのか、男達も村に帰ってきていた。
「おーい、ロキシス、エリナ。」
そう声がかけられた。よく見ると、ティルだった。
「食事は終わったのか?」
「あぁ。で、今からその樹をどうするんだ?」
「うーん、一定の幅に切りたいんだけど、鋸も痛んでいてな。教えて貰った通り魔法で切ろうかと思っているんだが…」
「…?」
「よくよく考えてみると、やったことが無くて上手くいくか解らないんだ。」
「なら、俺がやろうか?」
「そう言ってくれるのを待っていた。幅とかはこちらが言うから、頼むよ。」
「解った。」
そう言うと、ロキシスはティルと共に樹に近づいていった。後ろではエリナが心配そうな顔をしていたが、それには気付いていなかった。
「それじゃ、ここを縦に…」
言われたとおり樹を切断していき、僅か10分で切断は終わった。
「…」
「どうした、ティル?」
「いや、魔法って使い方次第で本当に便利なんだなって思ってさ。」
「他にやることはあるか?」
「いや、今日はもう無い。それに…」
「それに、何だ?」
「これ以上あんたを拘束してると、エリナが怒りそうだ。」
そう言われてエリナをみると、やはり心配そうな顔をしていた。そんなエリナに近づいて、
「大丈夫。そんなに魔力は使っていないから。」
そう伝えるが、どうにも納得していない顔をしていた。
「うーん、参ったな…」
「まあ無茶はまだしない方が良いだろうよ。だって、1週間は眠っていたんだからな。その間のエリナは、みていられないほど心配していたからな。」
そう言われてエリナは赤面しながら俯いた。それを見てロキシスはエリナの肩に手を置いて、
「大丈夫、無茶はしないから。」
と、伝えた。エリナはまだ恥ずかしそうに俯いていたが、直ぐに笑顔に戻った。
「エリナに気に入られているなら、あんたは悪い人じゃ無いんだろうな。」
「さあ、どうだろうな。で、この樹はどうするんだ?」
「各家に薪として配るんだよ。あんたのお陰で早く終わったからな。後は家の手伝いさ。」
「そうか。じゃあエリナ、戻ろうか?」
「待ちなよ。エリナとあんたの分だ、持って行ってくれ。」
そう言われて、かなりの量の薪を渡された。それを2人で持って家路についた。
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