準決勝
ロキシスがゆっくりと仮眠をとり、起きたのは四時間後。それまで誰にも声をかけられなかったので、しっかりした仮眠がとれた。
「うーん、よく寝た。」
「ロキシス殿、よく眠れたようで。」
先ほど声をかけてきていた男が、ロキシスに話しかける。
「早速ですが、準決勝が始まります。準備をお願いします。」
「…解った。」
男の後にロキシスはついていった。舞台に上がると、既に対戦相手が待っていた。
「あなたが対戦相手かしら?」
「…女も出場していたのか。」
女はムッとして、
「相手が女だと不服かしら?」
「いや、悪く聞こえたなら誤るよ。」
「まあいいわ。対戦内容はどちらかが戦えなくなるまで。それで良いわね。」
「何でもいい。早く終わらせたい。」
「その余裕、何時まで続くかしらね?」
「それでは、始め!」
審判の声で試合が始まった。と、女は魔法を唱える。
「食らいなさい、ファイアーランス!」
一本の炎の槍がロキシスに襲いかかる。しかし危なげなくロキシスはそれを躱す。
「その程度でここまで勝ち進めたのか?」
そうロキシスが言うと、
「甘いわね。」
と、女は不敵に笑う。と、ロキシスの後ろから先ほど避けた槍が、再びロキシスに襲いかかった。
「…!」
難なく躱すと、やはり槍はロキシス目掛けて何度も何度も飛んでくる。
「驚いたかしら?その槍は、あなたに刺さるまで何度でも襲いかかるわよ!」
「なるほど。」
2回、3回とロキシスは槍を躱す。と、ロキシスは女に近付いていく。しかも無防備にだ。
「何をしようとも、あの槍を躱すことは出来ないわ!」
「そうかな?」
そう言うと、ロキシスは高速で動き、女の背後に立ち、羽交い締めにした。
「なっ!?」
「そら、お前の槍がこっちに来るぜ?」
女は羽交い締めを解こうとするが、女の力ではロキシスの力に敵わないのか、ジタバタするだけだった。そうしているうちに、槍は女とロキシスの心臓目掛けて飛んできていた。
「このまま私と死ぬつもり!?」
「まさか?」
ロキシスはある程度の距離まで炎の槍が飛んでくると、女を前に押し出した。女の心臓部に槍が突き刺さった。
「ぎぃやぁぁぁ!」
断末魔を挙げて女は倒れ込んだ。それと同時に炎の槍も自然に消滅したが、人体の焼ける匂いが周囲に立ち篭めた。
「しょ、勝者、ロキシス殿!」
審判のその言葉を聞いていたのは、ロキシスだけだった。踵を返して、ロキシスは壇上から降りようとすると、
「ロキシス殿、お待ち下さい。直ぐに決勝が始まりますので。」
そう告げられ、ロキシスは足を止めた。
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