3匹の思い
一方村ではフェンリル、トリマー、フェニックスの3匹が敵の気配を察知していた。
「フェンリル、敵の数はどれくらいだ?」
「…ざっと千人ですね。」
「何!?」
トリマーが驚いて言った。
「なんですか、トリマー。臆しましたか?」
「違う…たった千人ごときだと逆に驚いただけだ。」
「まあ確かに、普通の戦いなら臆することも無いでしょう。しかし、今回は勝手が違います。」
「どういう事だ、フェンリル?」
「はぁ…解りませんか?我々の今回の任務は、エリナ様達エミルを守ることにあります。」
「そうですね、やりにくい…とまでは言いませんが…」
「強力な魔法抜きで殲滅か…手加減しなければならないな。」
「そうです。全てはロキシス様の為、頑張らなければなりません。」
そこまで3匹で話をして、外に出て行った。すると、エリナも一緒に出て来てしまった。
「エリナ様、お休みされていたのでは?」
「3人で話をしていたのを聞いたの。またヒューミル達が攻めて来るの?」
「エリナ様…ご安心ください。ロキシス様もこちらに向かっておられますし、我々がいる以上、皆さんに出だしはさせません。」
「でも…あなたたちが傷付く事になるのも嫌だよ。」
「…やはりあなたはロキ様でもあられますね。」
「え…?」
「エリナ様、笑っていて下さい。それが我々の力になりますから。」
「フェンリル…」
「そうですよ。エリナ様が笑って暮らせる世界、それこそ我らが主が望む世界なのですから。」
「フェニックス…」
「しかし、そうですな。もしこの戦いが無事に終わったならば、褒めて頂ければ幸いです。」
「トリマー…」
そんなやり取りをして、3匹は臨戦態勢を取り、フェンリルとフェニックスは獣の姿に戻った。
「トリマー、村の守りは任せますよ。」
「心得た!」
「フェンリル、行きますよ!」
フェンリルとフェニックスは村の外へと出て行き、トリマーは村の入り口に陣取った。
「さぁ、戦いの幕開けです!」
気合を入れた3匹の咆哮が、夜の闇に響き渡った。
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