夜中の襲撃
その日の夜中頃、ロキシスは目を覚ました。
「ちっ、どうやらまともに休ませてくれる気は無さそうだな。」
起き上がると、既にケルベロスがいなかった。
「…ケルベロス?」
すると、遠くから悲鳴が聞こえた。1つや2つではない、もっと沢山の悲鳴だった。悲鳴が聞こえて暫く後、森の中からケルベロスが戻ってきた。口には1人、男を咥えていた。
「ぐっ、殺せぇ!」
男は呻いていたが、ロキシスの顔を見るや、
「貴様さえいなければ!」
と、言い出した。
「何のことか解らんが、俺に用事があって来たんだろう?」
「貴様を殺すように言われてきたんだ。」
「なる程、ハギャの差し金か。」
男はハッとした顔をする。
「お前を生かしてやってもいい。ただし、知っていること全てを話すんだ。嘘をついたり、隠し事をするならば…解るな?」
「ぐっ…」
男は素直に全てを話した。ロキシスの存在が目障りだということ、街に呼びつけて殺そうとしていた事など洗いざらい全て話した。
「それで、この闘技大会に意味はあるのか?」
「そこまでは知らない…ただこの間にもエミルの村を襲いに行っている奴らもいる。」
「その数は?」
「…約千人だ。それ以上は知らない。」
「解った。」
そう言うと、ロキシスはヒールを男にかけた。
「俺を回復させて、どうするつもりだ。」
「さあな。少なくとも洗いざらい話した男を、無碍に扱うのは俺の道理に反するからな。」
ロキシスは立ち上がって、
「それにつけても、俺に戦いを挑んで死ぬか、このままケルベロスに食われて死ぬかはお前次第だ。どのみち、お前は街にはもう戻れないだろうからな。」
「…!?」
「口封じのためにハギャに殺されるだろう。」
「ロキシス様、どうされますか?」
「どうもしない。これから村へ戻る。それだけだ。さあ選べ、どっちの道を選ぶ?」
「…!」
男にそう言うと、ロキシスに襲い掛かってきたので、ロキシスは一撃の下に男を殺した。
「…一応戦士としての生き様を貫いた事になるだろう。安らかに眠れ。」
そう男の亡骸に言った。
「街はどうしますか?」
「後でいい。今は村の事が心配だ。」
そう言うと、後片付けをしてケルベロスに跨がり走り出した。
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