ロキシスの帰還
半日後、ロキシスは村に帰ってきた。村の入り口に着地すると、
「…何かあったようだな。」
直ぐにロキシスは直感し、家へと向かう。すると、エリナの家の前が騒がしかった。行ってみると玄関先で騒がしく村人達が集まっていた。
「何かあったのか?」
「あっ、ロキシス!」
ロキシスが声をかけると、村人全員がこちらを向いた。
「実はエリナが襲われそうになって…」
「なに…?」
「フェンリルさんが対処してくれたらしいんだ。」
「で、エリナは無事なのか?」
「それが…」
そこまで聞いてロキシスはエリナの家に入る。すると、フェンリルに抱きついてモフモフしていた。
「エリナ様、そろそろ離していただけますか?」
「…やだ。」
「…何をしているんだ?」
ロキシスがその光景を見て尋ねる。
「ロキシス様、助けて下さい!」
「あっ、ロキシスお帰りなさい。」
その瞬間エリナの力が弱まったのか、これ見よがしにフェンリルが離れ、ロキシスの後ろに隠れた。
「フェンリル、もう少し、もう少しだけ。」
「嫌です。ロキシス様、助けて下さい。」
「フェンリル…大変だったな。もう戻っていいぞ。」
「はっ、はい!失礼します!」
慌てて魔界へとフェンリルは帰って行った。エリナは寂しそうな顔をしていた。
その後、エリナ達から何があったかを聞き、ロキシスはヒューミルの街での話をして、ひと息ついた。
「なるほどな、家の前に皆居たのはそういう理由か。」
「まさかヒューミルが襲ってくるとは思っていなかった。」
「念の為、プロテクトをかけておいて正解だったな。」
「それで、ロキシス。どうするつもりなんだ。」
「なにがだ?」
「ヒューミルに報復するつもりなの?」
「どうせ話しに行っても我々とは無関係な話とか言われるだろうし、放っておくさ。次に何かあったら、そいつらの首根っこを掴んで連れて行くけどな。」
「うーん、フェンリルが全部食べちゃったから…」
「元々そういう風に言ってあったからな。仕方ないさ。」
そこまで話をして、その場はお開きになった。ヒューミル達との和解は遠そうだった。
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