ルードとの会話
翌日、ロキシスはルードに石碑の前で昨日あった話をした。
「それでヒューミル族の街を尋ねることにしたのか。」
「あぁ。奴らが友好的か解らないから、俺1人で行くがな。」
「そうか…しかし気をつけてくれ。」
「解っている。寧ろ心配なのはこの村の方だ。」
「…?」
「ティルや男達は、強くなったが更に強い相手を倒したいと考えているようなんだ。サーベルウルフとかをな。」
「それは…危険だな。」
「万が一の事もあるから、注意しておいてくれ。村の家には全てプロテクトをかけてあるから、襲われる心配は無いと思うが…」
「何だ?」
「危険なのは変わりない。」
「トリマー殿を召喚しては?」
「今回は別の、フェンリルを召喚しておこうと思っている。何かあったら一瞬で駆けつけてくれるし、危険察知能力は俺以上だからな。」
「そうか…助かる。」
「後はエリナの事だ。」
「…エリナがどうかしたのか?」
「先日のデミール族の襲撃以降、ロキの気配が強くなっている。もしかすると、自我を失うかもしれない。」
「それは…?」
「ある意味俺の目的はロキとの再会だが、エリナを失う事も許容出来ない。これ以上彼女を危険にさらしたくは無い。」
「…安心して良いと思うぞ。」
「え?」
ルードはロキシスの肩に手を置いて、
「ロキシスが思っている以上に彼女は強い。急にロキ様として目覚めたとしても、きっと彼女もそのまま存在していると思う。それに、我々はエリナがロキ様に変わっても、家族として過ごしてきたのだ。見捨てたりはしない。」
「そうか…そうだよな…」
ロキシスは天を仰ぎ見て、
「本当に幸せ者だな、ロキは。皆から好かれて。」
そうポツリと言った。
読んでくださっている方々、有難う御座います。




