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エルフの森の最強神(ロキシス)  作者: ミュウ
ヒューミル編
25/86

ヒューミル族の来訪

エリナ達が畑仕事に戻って1時間が経過した頃、

「もし、そこのお嬢さん方。」

エリナとフィオーレの後ろから声がした。後ろを振り返ると、そこには見たことのない男達が8人立っていた。

「ここはエミルの村で間違いないですかな?」

「そうですけど、あなた方は?」

「我々はヒューミルですよ。」

フォッフォッフォッと、男の1人のが笑って答える。

「ヒューミルの皆さんがこの村に何のようですか?」

フィオーレが質問する。

「この村の代表にお会いしたいのですよ。」

「私に用事ですか?」

そこにはルードが立っていた。

「ほう、あなたが?かなり若い村長ですなぁ。」

「こう見えて300年生きていますがね。それで、ヒューミルの方々が何用で?」

「フォッフォッフォッ。何、デミール族の城が破壊されたという話は知っていますかな?」

「ほう、デミール族の城が?それは初耳です。」

「そうですか…我々ヒューミル側の見立では、あなた方エミルの仕業ではないかと思っていましてな。」

「我々は争いごとが好きでは無い、それは知っているでしょう?」

「そうですが、何分我々ヒューミル側からすればあなた方がやったとしか思えんのですよ。」

「少なくとも我々ではありませんよ。」

「そうですか…ところで、誰か新しい住人は増えましたかな?」

「1人…増えました。」

「ほう、新しい命が芽生えましたか。おめでとうございます。」

「いいえ、遠くから来た青年ですよ。」

「ほう、ぜひ会って見たいものですな。」

そんな話をしていると、

「ルード、何をしているの?」

リナがトテトテやって来た。

「リナ、ヒューミルの皆さんに挨拶を。」

「へぇ、ロキシスお兄ちゃん以外のヒューミルに初めて会ったよ。こんにちわ。」

「…ロキシス?」

「新しい住人の事ですよ。」

「ヒューミルと言いましたな?」

「そうですが?」

「…ますますその青年と会わなくてはなりませんな。暫く居させて貰いますよ、この村に。」

「好きなだけ居ていただいて結構ですが、村人達に迷惑はかけないようお願いします。」

「我々としても、争いはご免ですからな。フォッフォッフォッ。」

そう言って、村を見て回る男達だった。その1時間後、ロキシス達が村へ戻ってきた。村人達がそれを出迎える。

「お帰りなさい。怪我はなかった?」

「ただいま。ロキシスがいたからな。ほらこの通りピンピンしているさ。」

「そう、良かった。」

村人達はそれぞれ獲物を持って家路につく。と、そこへロキシスとティルがやって来た。エリナとフィオーレがそれを出迎える。

「ただいま、エリナ、フィオーレ。」

「「お帰りなさい。」」

「いやぁ、危なかったよなぁ。俺が無事なのもロキシスのお陰だよ。」

「常に警戒心を持つべきだ。」

「何かあったの?」

「いやぁ、ブレードコンドルに襲われそうになってな。それをロキシスが助けてくれたんだよ。」

「もう、気を付けなさいよね。」

「…ロキシス、怪我は無い?」

「俺は平気さ、エリナ。」

「良かった。」

ほっと一息つくエリナを見て、ロキシスも安心して笑顔になる。と、そこへ…

「フォッフォッフォッ、随分とエミル達に気に入られている様子。」

そう声がした。その声の方を見ると、やはりヒューミルの男達が立っていた。

「あなたがロキシス…で間違いないですかな?」

「俺は気に入った人間にしか呼び捨てで呼ばせないんだ。あんた等、何者だ?」

「フォッフォッフォッ、これは失礼を、ロキシス殿。私はハギャ。この島のヒューミル族の代表ですよ。」

ハギャと名乗った男以外のヒューミルが、マジマジとロキシスを見る。

「気持ち悪い、ジロジロ見るな。」

「フォッフォッフォッ、本当にヒューミルなのですな。エミル達に気に入られているヒューミルを見たのは初めてなので、気になっておりましてな。失礼は謝罪しましょう。」

「で、何のようだ?」

「率直に聞きます。デミール族の城を破壊したのは…」

「それなら、俺がやった。」

ロキシスは素直にそう答えた。

「ほう、やはりあなたが?なるほどなるほど。それほどの力量をお持ちで?」

「ハギャ様、とてもそのようには見えませんが?」

「口を慎みなさい。私はロキシス殿と話をしているのです。」

「…失礼しました。」

「部下の突然の発言、ご容赦を。」

「いいさ、疑問に思うのは当然だろうからな。」

「ロキシス殿、どうですかな?我々と共に来ませんか?」

「はあ?」

「あなたはヒューミルならば、エミルと暮らすべきではない。彼等とは寿命が違う。我々と暮らすべきではないですかな?」

「寿命…ねぇ?生憎、俺はこの村が気に入っているからな。出ていく理由にはならないさ。それに…」

ロキシスは話を続けた。

「あんたらの魂胆は解っている。デミール族を根絶やしにしたい、しかしそれだけの力量、技量は無いから、俺を利用してデミール族を滅ぼしたいとかそう言う話だろう?」

「それは…」

「生憎、俺は指図されたり利用されたりするのが嫌いでね。帰ってくれ。」

「…エミルもあなたを利用しているだけだと考えませんか?」

「…?」

「あなたがいない間、村のエミル達に聞いてみましたよ。あなたがこの村にもたらした物事を。それが欲しくてあなたを置いているだけだとは考えないのですか?」

「…かもな。」

「だったら…」

「しかしそれは俺が皆にしてやりたいからしていることさ。言ったろ?指図されるのは嫌いだと。エミルの皆は俺に指図したりしない。頼み事を持ってくるだけだ。それに、自分達で何とかしようと努力している。まだ数か月の付き合いだが、それは。よく解った。」

ロキシスはふぅっと息をついて、

「それに、好きな人がいるんでな。俺はこの村を離れるつもりは無い。」

「…そうですか。解りました。」

「…ハギャ様!」

「しかし、気が変わったりしたら、是非とも我々の元へお越し下さい。待っていますよ。」

「…まあ、その時が来たらな。」

そう言って、ハギャ達は帰って行った。

「…ロキシス、本当に良かったの?」

「…エリナ?」

「折角仲間に会えたのに…」

「馬鹿だな。俺の仲間はここに居るし…」

そう言って、ロキシスはエリナを抱き寄せて、

「好きな人がここに居る。この胸の中に…」

「…ロキシス。」

「あ~ぁ、見せつけてくれちゃって。お熱い事で。」

「いいなぁ、エリナは。私も相手が欲しいわ。」

「何言ってんだ、2人とも?」

「ねぇ?」

ティルとフィオーレの態度を見て、首を傾げるロキシスとエリナだった。


村から離れた森の中で、

「ハギャ様、奴は…ロキシスは危険過ぎます。」

「そうですねぇ、早急に手を打ちますか…」

物騒な話をしているハギャ達の姿があった。

読んでくださっている方々、有難う御座います。

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