宝石
翌日ロキシスは男達と共に狩りに出掛けた。
「ティル、そっちに行ったぞ!」
「おう!」
ティルはシールドアルマジロの頭部に斧を振り下ろし、一撃で仕留めた。
「ふう、何とかなったな。」
一息ついたティルに、今度は上空からブレードコンドルが襲いかかろうとしていた。
「危ない!」
皆固唾を飲んだが、ロキシスは落ち着いて、
「サンダーボルト!」
と、雷属性魔法をブレードコンドルに放つ。直撃を受けて、ブレードコンドルは倒れて動かなくなった。
「助かったぁ…」
「ティル、大丈夫か?」
「あぁ、有難う、ロキシス。」
ロキシスはティルに手を差し伸べて立ち上がらせる。その日の狩りもかなりの獲物を獲る事が出来ていた。
「しっかし驚いたなぁ。」
「なにがだ?」
「いや、これだけの獲物、今までだったら一ヶ月分ぐらいだったんだぜ?」
「それを半日足らずで獲れるようになったんだ。驚いてるんだよ。」
村人は口々にそう言う。
「なあロキシス、そろそろサーベルウルフを討伐してみたいんだけど?」
「いない奴を探して、村から離れすぎたらどうする?」
ティルの提案にロキシスはやれやれと答える。
「確かにそうなんだが…」
「それに、国すら滅ぼす程の実力を持ったサーベルウルフを相手にして、全員無傷で帰れる保証はない。だから止めておけ。」
「解った。もっと実力つけてからにするよ。」
エミルはとても素直な人種な様で、ロキシスも色々教え甲斐があると感じていた。
「さあ、獲物を持って帰ろう。」
そう言って、獲物をそれぞれ担ぐと、村へ向かって歩き出した。
その頃村のエリナの家では、
「ねぇ、フィオーレ。こんなのどうかな?」
「ん~、ロキシスには合わなさそうよ。」
「そうかな?じゃあこれは?」
「それも駄目そう。」
「うーん、難しいなぁ。」
「お姉ちゃん達、何してるの?」
「あら、リナ?どうしたの?」
「どうしたのじゃないよ。お姉ちゃん達、畑仕事サボって何してるの?」
「うん、ロキシスにプレゼントしようと思って、宝石を見繕っていたの。」
「宝石?」
「えぇ、前に山で拾ったの。御守り代わりにプレゼントしようと思って。」
「ふーん…」
「こっちの青い石なんかどうかな?」
「ロキシスはいつも赤いコート着てるから、やっぱり赤がいいんじゃない?」
「そうかなぁ。リナはどう思う?」
「解らないよ。でもロキシスお兄ちゃんだったら何でも喜ぶと思うよ?エリナお姉ちゃんのプレゼントだったら。」
そう告げてリナはトテトテと駆けていってしまった。
「そうよね、ロキシスだったらそうなるわよね。」
「そうかなぁ?」
「うん、難しく考える必要はないんじゃない?」
「そうだね。じゃあこの赤い宝石にするわ。」
そう言って、片付けを始める。そして畑仕事に戻っていった。
読んでくださっている方々、有難う御座います。




