デミール族の来襲
時は少し遡ってロキシスがゲートを開いて天界へと向かった後、ティル達男達は狩りに出掛けて、エリナやフィオーレ達は畑仕事を、ルードは村の見廻りをしていた。
「エリナ、そっちはどう?」
「うん、いいキャベツが育っているよ。トウモロコシも綺麗。」
「そっか、それは良かった。」
「でも…大丈夫かなぁ…」
「…?」
「ロキシスがいない今、またデミール族かヒューミル族が来るんじゃないかって心配で…」
「ロキシスが言っていたじゃない。家の中へ入れば大丈夫だって。」
「でも、皆家の外で仕事しているわ。」
「エリナは心配性なのね。」
そんなことを2人で話していると、ルードがやって来た。
「2人とも大丈夫か?」
「えぇ。」
「はい、ルードさん。」
「…エリナはロキシスと一緒に行った方が良かったのかもしれない。」
「…どうしてですか?」
「いざという時、我々ではどうしようもないからだ。君に何かあったら、ロキシスはどうなるか解らない。」
「それは違いますよ。」
「ん?」
「ロキシスは…私のために戦う人じゃありません。皆の為に戦ってくれる人だと思います。だって、前に言っていました。家族のように接してくれる皆が好きだって…だから…」
「…そうだな、私の失言だ。済まない。」
「おうおう、見せつけてくれるな。」
ルード達が話していると、突然横からそんな声が聞こえてきた。声がした方を見ると、先日やって来たデミール族の2人組が立っていた。
「なっ!?」
「あっ、あんた達、また来たの!?」
「くっくっくっ、俺達はしつこいぜぇ。この間の男を出せ。」
「…ロキシスに用事なのか?」
「へっ、復讐に来たんだよ、仲間のなぁ!」
(2人とも、ここは危険だ。私が時間を稼ぐから早く家に帰るんだ。)
(で、でも…)
(良いから、行くんだ!)
「おっと、他の村人がどうなってもいいのか?」
「なに?」
「俺達が2人だけだと誰が言った?他にも仲間がわんさかいるんだぜ。下手な動きをしたら…解るだろう?」
「くっ!」
「そこの赤い髪の女、お前を人質にする。無駄な抵抗をすれば、村人は死ぬことになる。解るな?」
「エリナ、行ってはいけない。」
「うるせぇ!」
男の一人がルードを殴りつける。
「ぐはっ!」
「ルードさん!」
「動くな。大人しく俺達についてこい。さもなくば、この男を殺す。」
「…解りました。」
「エリナ!」
「…大丈夫よフィオーレ、心配しないで。」
そう言って、エリナは男達についていく。後に残されたフィオーレに男達は、
「奴に伝えろ、デミール族の城で待つとな。」
と、言付けを残していった。ロキシスが戻ってきたのは、それから半日後だった。
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