友沼部屋奮闘記特別編 文殊の知恵
「てえへんだてえへんだてえへんだーっ!」
「おう、増田男、どうしたそんなに血相変えて」
「ああ親方、大変ですっ! 大変なことが起きてしまいました。どうしましょう?」
「どうしましょうって、お前、まさか、また襁褓山がうんこを漏らしたとか言うんじゃないだろうな」
「いいえ、そんなことじゃなくてですね――」
「あれえ? 親方に増田男、こんな所で何をやっているんですか?」
「おう、日の出山。ちょうど良いところに来たな。何か増田男に大変なことが起きたらしいから、お前も相談に乗ってくれ」
「相談に乗る? 私で役に立ちますかね?」
「おう、当ったり前よ。ほら昔っからよく言うだろう。三人寄れば何とかって」
「えっと、三人寄れば……、何でしたっけ?」
「あれ? 何だっけかなあ……? 増田男、お前、分かんないか?」
「さあ……? でも男が三人も集まって、何やらひそひそやってたら、ホモだと思われないですかね?」
「『男三人寄ればホモ話』? う~ん、何かが違うような気がするなあ……」
「そうですね。私もそれは、違うと思いますよ」
「ほら……、あれよあれ。もう……、喉元のここんとこまで出かかっているんだけど……。もんじゃだとかもじゃもじゃだとか……。ちくしょう! 出てこねえや」
「あとはあれ、男三人のグループと言えば、やっぱりたのきんトリオじゃないですかね?」
「そっか! たのきんトリオか! じゃあ俺、マッチね。マッチでぇーす!」
「それじゃあ私は、トシちゃんやります。ヘヘッ、ぼく、トシちゃ~ん」
「それじゃあ俺がヨっちゃん? ずるいぞ日の出山、俺にもトシちゃんやらせてくれよー」
「じゃあいい、俺がヨっちゃんやるよ」
「いやいや、親方がやるんだったら、私がやりますよ」
「じゃあ、俺が……」
「どーぞどーぞ」
「ちくしょうっ! これじゃダチョウ倶楽部じゃないかよっ!」