5分で読める異世界転生
俺は現実世界では平凡な大学生。
しかし、ある日不注意で電車に撥ねられて、死んでしまった。
そして、次に目覚めた時――そこは異世界だった
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俺:
「ん?なんやここ、どこや?」
?:
「おお、魔王様。死んでなかったんですね、よかった」
俺:
「へ?……あんた、誰?」
?:
「誰もなにも私は貴女の側近ですよ?――どうやら、ショックで少し記憶が曖昧みたいですね」
俺:
「へー、側近なんや……てか、俺が魔王!?」
側近:
「”俺”なんて言葉遣いは、はしたないですよ。お止めください」
俺:
「おお、すまんな」
側近:
「魔王様が急にお倒れになるから、びっくりしました。私」
俺:
「えーっと……ちょっともう訳わからんな、確か電車に轢かれたはずなんやけど……」
側近:
「”電車”……?はて、何のことでしょう?」
俺:
「まあ、死んでないんやったらよかったわ。……てか、よく見たら、俺女やんけ」
側近:
「魔王様、大分混乱されているところ申し訳ないのですが……そろそろご準備を」
俺:
「うわぁ、女になってもうたでー。嬉しいなぁ……ん?準備ってなんや」
側近:
「勇者御一行が、もうすぐここへやって来るようです」
俺:
「え、急じゃない?全然ここがどこかとか分かってないのに……」
側近:
「そんなことを言っている暇はございません。魔王暦400年を迎えて……初めてのピンチですぞ」
俺:
「いやぁそう言われてもなぁ……俺運動とか喧嘩とか大の苦手やし……」
側近:
「”最強の魔王”と謳われる貴女が、そんな弱気でどうなされるのですか……あっ来ましたよ」
勇者:
「やい、魔王!やっと会えたな……」
俺:
「(小学生かな?)どうも初めまして……」
魔導士:
「故郷を焼野原にされた恨み……ここで晴らさせてもらうわ!」
俺:
「(うわぁめっちゃ別嬪さんやでぇ)あ、は、はい!」
戦士:
「あの時みたいにはいかんぞ……魔王!俺は、この頬の傷が疼く度に、貴様を思い出していたんだ!」
俺:
「(ごりごりのマッチョやな)あ、ありがとうございます」
僧侶:
「……まおうよ、貴様の時代はここで終わりじゃ……ゴホォ……ゴホォ」
俺:
「(めっちゃヨボヨボのお婆ちゃんやんけ)だ、大丈夫ですか?」
側近:
「魔王様、お下がりください。こんな奴らは私一人で十分ですぞ」
俺:
「おー、頼もしいお言葉。すんませんけど、よろしくお願いしまーす」
魔導士:
「エターナル・プリズム・ハリケーン・ファイヤーボール!!」銀色に光り輝く火炎球がぼぉぉ
側近:
「ぐへー、やられたー……魔王様、どうかご武運をー」バタン……
俺:
「えー……弱くないっすか?」
勇者:
「さぁ!これで残るは貴様一人だな!魔王!」
俺:
「うわ、やば……ちょ、ちょっとー誰か男の人いませんかー?」
戦士:
「ふん!ここにくるまでに全ての魔物は我々が倒してしまったわ!残るはお前だけだ!」
俺:
「嘘でしょ!?まだ、この世界に来て3分くらいしか経ってないのにピンチすぎるやろ」
魔導士:
「何を訳の分からないこと言ってるのよ!くらえ!サンダーボルト!」雷がドカーン
俺:
「あばばばばばば(びりっとするー)」
戦士:
「岩盤をも砕く俺の一撃を受けよ!ぬおぉぉぉぉ!」大剣で脳天をパカーン!
俺:
「いってーーー(頭ズキズキするー)」
僧侶:
「……聖なる鎖よ……眼前の敵を縛るのじゃ!」足元から突然鎖がじゃららん
俺:
「ぐえー、苦しいーー(めっちゃ圧迫されるー)」
勇者:
「これで終わりだ!うおおおおおおお」めちゃくちゃ光ってる剣でスバー
俺:
「うわーめっちゃいたいーーー(あかん、真っ二つやろ……こんなん)」
俺:
「……あれ?痛いけど、意外と大丈夫みたいや」
勇者:
「ば、ばかな!聖剣が効かないだと!」
俺:
(ちょっと窮屈やな……よいしょ!)バリーン→鎖がバラバラに砕け散る
僧侶:
「……馬鹿な……ドラゴンをも身動き一つできなくなるという聖なる鎖じゃと言うのに……」
戦士:
「何て奴だ……だが、この一撃は耐えられるか!」大剣を振りかざす
俺:
「あっ、もうそれ痛いんで勘弁してください」両手を合わせて、謝る
魔導士:
「戦士!逃げて!」
戦士:
「えっ……」
戦士は俺が両手を合わせる勢いで発生した衝撃破で、粉微塵になって消滅した。
俺:
「えー、強すぎるやろ。俺……」
勇者:
「く、くそー。よくも戦士を!でやぁぁぁ!」聖剣でぶった切りー
俺:
「うわぁ、危なー」剣を両手で防ごうとする
聖剣は俺の手に触れた瞬間、跡形もなく消滅した。
勇者:
「う、うそだ!せ、聖剣が……」
俺:
「……なんか、ごめんね」
魔導士:
「お、おかしいわ!魔王が幾ら”最強の魔王”と謳われているからってこんなに強いわけ……」
魔導士:
「うっ……」突然その場に倒れ込む
俺:
「……えっ、またなんかやらかしたか?俺」
僧侶:
「……いや、今のは儂がやった。魔導士にはちょっと眠ってもうただけじゃ」
俺:
「味方とちゃうんか?そいつ?」
僧侶:
「味方だからこそじゃよ。勝てそうにないしのぅ……ここはこの子を連れて逃げるとするわい」
俺:
「そうなんや。まあ、そうしてもらえると助かるわ」
僧侶:
「それじゃあのぅ……魔王、そして勇者様……」
年老いた僧侶は、その脇に魔導士を抱えると一瞬のうちに姿を消した。
俺:
「おぉ、消えた……テレポートかなんかかな?」
勇者:
「そ、そんな……お、置いてかないで……」
幼い勇者は一人残され、その場にへたり込んでいた。
俺:
(あかん、なんかこの可愛いショタにムラムラしてきたな……女やからかな?)
俺:
(折角だし、子づくりでもしてみるか)
こうして、俺は幼い勇者と素敵な一晩を過ごした。
そして、この時に出来た子供が後に人類を救う”伝説の勇者”となることを、誰も知る由は無かった。
5分で読める異世界転生 -終-