38 紅蓮のキャンプファイヤー3
黄色とは注意を促す信号。
黄色とは危険の暗示。
黄色とは、すなわちカレー。
故にカレーは危険なのだ!
だから僕はバトルバーベキューを推奨しているのだ。
バーベキューは火を使う。
イメージカラーは赤。
先程の理屈からいくと、バーベキューは赤。
赤――
信号機では、黄色より危険度の高い『止まれ』を暗示する色。
赤は、サッカーで例えるならレッドカード。
即退場を意味する危険な色である。
そう考えると、黄色より圧倒的危険に思えるが、実はそうではない。
ご存じだろうか?
赤は戦隊ヒーローシリーズでいうところのリーダーに相当するということを。
勝利の色こそ、まさしく赤なのだ。
同様にイエローを戦隊シリーズでイメージしてもらいたい。
果たしてイエローのキャラを思い出せるだろうか?
レッドは男性。ブルーも男性。ブラックも男性。ピンクは女性。
だけど何故かイエローだけは、男性だったり女性だったりと、わりと曖昧なのだ。
そしてイエローは、男性ならおっちょこちょいの憎めないキャラだったり、女性ならピンクより目立たないチームの引き立て役だったりと、わりと微妙な位置が多いはずだ。
これがイエローの役割なのである。
それが悪いと言っているのではない。
もやもやとしてハッキリとしないだけだ。
だからレッドなのだ。
戦うならレッドしかない。
レッドはリーダーの色。
レッドは決断の色。
レッドは勝利の色。
だから僕は特記事項に、この怒りが頂点に達した時、僕の右手が真っ赤に燃えると記したのだ!
間違っても、黄色に輝くとは書かなかった。
これは無意識なる意識の行動ではあるが、すなわち美しく完結するならレッドしかないということなのだ。
どうしてこの理屈を分かってもらえないのだ!?
「聖華さんに質問です」
「はい」
「あなたは戦隊ヒーローチームに抜擢されました。戦闘服は、レッド、ブルー、イエロー、どれにしますか? ちなみに真の勇者ならレッドを選びます」
「はーい。レッドがいいです」
僕はクスリと笑った。
聖華さん、あなたはカレーが食べたいと言いながら、無意識なる意識で赤を選択しました。
僕は聖華さんを指さし、
「だったら、バーベキューでしょ? 赤が好きならバーベキューしかないんですよ?」
と言った。
たった今、神からの信号があった。
『アルディーン、無茶苦茶だな』と脳内で言われたが、関係ない。
「聖華さんは、カレーが食べたいんですよね? カレーとはイエロー。イエローとは戦隊シリーズでの微妙な役。イエローになったら、もう主役には、なれません。もし戦隊ヒーローギルドからお誘いしてもらった時、イエローになる覚悟はありますか?」
赤と選択すれば、僕はバーベキュー論を熱弁して、聖華さんを紅蓮のバーベキュー色に染めるつもりだ。さぁ、聖華さん、レッドと言いなさい。
「え? え? 誠司さん、その発言、イエローさんに失礼ではないのですか?」
……。
「だってイエローさんは、敢えて一歩下がってメンバーの引き立て役をやっているんですよね? 私、そういう人、すごく憧れます。……しげるさんは、いつもこっそりと私を助けてくれるから、このミッションが終わったら、いっぱいありがとうって言うの。だから、私、イエロー、大好きです」
……僕が間違っていたよ。
……もはや……イエロー(カレー)しかない。