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21 バス4

 伶亜さんは、彼女らしくなく、マイクを握るとどうも照れ臭そうに歌詞をなぞった。

 そして、そそくさとマイクを聖華さんに手渡す。


 おそらく聖華さんには勝利が見えているのだろう。

 だからあんなにノリノリ。

 マイクを持っていないときまで歌っていた。



 だけど歌詞が良く見えないのか、わりと間違っている。



 そこは違うぞ。

 行け! 行け! 僕らのファイティーンを、行け! 行け! と読んだ。


 そこは『い』ではない。

『ゆ』だ!

 最高に盛り上がるスーパーフレーズを間違うなんて……。

 うううう……


 突っ込みたくなるが、ここは我慢だ。



 きっとそれは、頭の中ですべてのシナリオを構築しているからだろう。

 僕だって別のことを考えながらの行動だと、どうしてもミスは発生してしまう。



 僕にできることは聖華さんのフォローだ。



 そして僕にマイクが回ってくる。

 僕はどさくさに紛れて3フレーズ熱唱し、間奏まで歌う。


「怒りと憎しみをその刃に込め、今こそ立ち上がれ! In indomitable spirit!! 不屈の精神で這い上がるのだ! It promises to future! そうだ! 明日への希望は俺達が作るのだ! 行け! 絶対王者☆ファイティィィーーン!」



 どうだ!?

 ここまで完璧に挿入歌を歌える奴はそうはいないはずだ。

 そもそも番組では、1番しか流れないのだ。

 オリジナルCDを買っている者しか、挿入歌があることは知らないはずだ。

 CDに付随していた歌詞表にも、挿入歌のセリフまで書かれていなかった。

 しかも曲はかなり早いし、台詞のように感情までこもっている。更にところどころ英語まで含んでいる難しい発音なのだ。

 それを完璧に歌ったぞ!

 

 ふ、見たか。

 君たちとは、ファイティーン歴が違うよ。

 

 そしてマイクを前の席に渡す。



 僕の役目は終わった。

 次のターンで宍井にマイクが渡る。

 やるべきことはすべてやったのだ。


 聖華さんの作戦に、全て賭ける。

 僕は聖華さんを見た。

 聖華さんはニッコリ笑って頷いた。

 


 後は任せてと言っているみたいだ。



 

 分かった。任せたよ。

 ちょっと頑張り過ぎた……

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