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魔女と過ごした一年間  作者: 幻影の夜桜
序章 出会いの春
1/7

〜プロローグ〜 魔女の秘密

プロローグなのでちょっと短いですけど、次からもう少し長く書きます。

 放課後、とある教室。


 運動場で元気に動き回る生徒達の遠い声をBGMに採用しつつ、それでいて窓からは真っ赤な夕陽が降り注ぎ、その光に的確な調節をあてて絶妙な明るさを作るカーテンは、優しい風に吹かれてヒラヒラと揺れている。


 腰辺りまで伸びた、長くて見た目からサラサラした髪は、カーテンと同じく優しい風に吹かれて揺れている。

 横から差してくる夕陽による赤いグラデーションも、あたかも自ら放つオーラかのように馴染ませたその後ろ姿は、なんとも一言では表現しがたい美しさを生んでいる。


 まるでこの世の“美”を支配したかのような少女は窓の外を眺めていた視線を、手元にある一冊の絵本に移す。

 そしてそれを少女は、誰に語りかけるわけでもなく読み始めた。


「むかしむかし、この世界には魔女が居ました」

「魔女はその魔法で自然の理を司り、自分達と動物達に恵みを与えて栄えさせてきました」


 数人の女性が、晴天に恵まれ、動物達と楽しそうに過ごしている風景を描いたページをめくると、今度は一つのページに一人ずつ、向かい合うように女性が描かれた、少し雰囲気の変わったページが開かれる。


「しかし、栄えすぎました。あまりに増えすぎた魔女たちは、それぞれグループを作り、争いを始めてしまいました」

「その争いはあまりにも醜くて、とうとう神様が怒ってしまいました」


 次のページは、最初のページからは想像もつかないような曇天に包まれ、雲に乗った神様に許しを乞う女性たちが描かれている。


「怒った神様は、魔女達から知識と記憶を奪ってしまいました」

「知識と記憶を奪われた魔女達は、自分が魔女であることを忘れてしまいました」


 次のページは一人の女性が大きく描かれ、その身体からは明るいオーラを放っているかのようである。


「しかし、神様は一つだけチャンスを残しました」

「たった一族だけ、知識と記憶のカケラを残しました」

「その魔女は、争いの時も必死に止めようとしていました。神様は、そんな魔女に心を打たれていたのです」

「だから、いつかまた、みんなが幸せを作り、幸せになれるように」


 次のページはまた最初と同じような情景が描かれている。けれど、そのページに動物の姿はない。


「魔女であることを忘れた魔女達は、みんなで協力して生きていくようになりました」

「幸せになるために」


 そこまで読み終えた少女は、そっとその絵本を閉じた。

 そしてそれを左手に乗せると、その本に右手をかざす。そして一言二言何かを唱えると、それは光に包まれ、どんどん小さくなっていった。

 ストラップサイズにまで小さくなったそれを、ポケットから取り出したスマートフォンに取り付ける。


 少女が窓の外に視線を再び移すと、外はもうすっかり暗くなってしまっていた。

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