季節外れの雪(200文字小説)
季節外れの雪が降った
それは キラキラと美しく舞いながら 辺り一面の景色を 白く染め上げていく
初めは地面を
次に樹木を
続いて家屋を
町全体を 白く染め上げた雪は 最後に 私に纏わり付いて来た
小さな結晶が 幾つも重なり 私の身体を包んでいく
それは 氷へと変化して 私の心と身体を凍らせていく
季節外れの雪がもたらしたのは 氷で出来た私の棺
私を死の世界へと誘う 美しき死神
そして その甘い誘惑に抗えず 私はしずかに目を閉じる
――お休みなさい